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異世界転生係で神畜の女神やってます  作者: 大鳳
最終章 黙示録編

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頼りにならない助っ人

ーバアァーン!ー


 物置の居住スペースと階段を隔てる扉が勢いよく開かれた。そして

「ちょっと待ったぁーっ!」

 ゴロゴロと部屋に転がり込んできたエルフィーネがソーマを指差しながら

「アンタ、あの少年じゃ無いわね! さっさと白状なさい!」

 遅れてやってきた名探偵の様にエルフィーネはソーマに詰め寄っていく。

「いい加減にしときなさい」


ーガシッー


「は、離せ!」

 エルフィーネは外見アルフレッドのソーマの襟首を掴むと適当にそこら辺に投げ捨てた。


ードスッ! ごロンごロン……ー


「うへえっ!」

 無様に物置の床に転がったソーマは情けない声を上げる。

「あんたも! しっかり目を開けてあいつを見なさいよ! あれが愛しい彼に見える?」

 アルフレッドが放り投げ捨てられてオロオロと戸惑っていたフィーナにエルフィーネが喝を入れると……

「アル……?」

 起き上がったフィーナは床に転がされているアルフレッドに駆け寄ろうとするが

「フィーナさん! そのエルフのお姉ちゃんおかしいよ! 構っちゃ駄目だ!」

 アルフレッドも立ち上がりフィーナに訴えてきた。しかし……

「あ……あなたは誰? アルは……アルは何処ですか!」

 彼らしからぬ言動にフィーナも目の前のアルフレッドが別人だと気付いた様だ。しかし、フィーナはアルフレッドの有り様に取り乱しかけている。

「くそっ、もう少しだったのに邪魔が入ったか。まぁいい、お遊びはここまでだ」 


ーブウウゥゥンー


 アルフレッドは身だしなみを整えると詠唱もなしに転移の魔法陣を出現させた。

「それじゃこの世界は消し去るとするよ。君らもどうせ短い命。ゆっくりと楽しんでいってよ」

 アルフレッドはそう言うと歪んだ笑みを浮かべたまま

「僕を止めようとしても無理だよ。今の君はただの人間と大差無い事は分かっているんだからね」


ーブウウゥゥンー


 フィーナに気になる言葉を残して何処かへと転移してしまったのだった。

「アル……」

 あまりの事態の急変にフィーナは頭がまるで追いついていなかった。そもそも、ソーマがどうして生きているのか?

 確か魔物の身体に乗り移っていた彼はグレースの光の矢によって倒されていたはず……。

 それに、ソーマが転移間際に残していった言葉も気になっていた。どうして神力の無い今のフィーナの窮状をピタリと言い当てる事が出来たのか……?

 しかし現実にはフィーナに時間を与える事はしなかった。

「ば、化け物だあーっ!」

「奴等街の外から入ってくるぞ! 城壁を越えて入って来やがる!」

 声は表の正門の方から聞こえてきた。途端に聞こえてくる人々の悲鳴と逃げ惑う街の人達の声。

「バケモンだと? こりゃ酒飲んでる場合じゃねぇな!」

「お、俺達も出るぞ!」

 冒険者達が通りに駆け出していく音、何者かと戦い始める音が聞こえてくる。

「まったく、この街ったら呪われてんのかしら?」

 エルフィーネは弓矢を装備するとさっさと物置の窓から外へ出て行ってしまった。

「わ、私も行かなくちゃ……」

 今の自分に何が出来るかは分からない。だが、今の平和な王都を守る為にフィーナは物置から宿屋を抜けて通りへと駆け出していくのであった。



「こ、これは……?」

 通りに出たフィーナが見たのは、数日前の王都襲撃の時に王国軍に撃退されたはずの魔物達の死骸だった。

 彼等は行きている時はしぶとく王都に入り込もうとしてくる。しかし、動きも遅く多数の冒険者達の敵では無く、王都に入り込んだ死骸は順調に駆逐されつつあった。

(こんな事が出来るのは……!)

 フィーナが知る限り死骸を操れるのは一人しか居ない。フィーナはソーマを止めるべく、他の冒険者達に続いて正門から外へと飛び出していくのだった。



「くそっ! こいつら数が多いぞ!」

「しかもしぶといぜ! 頭潰した程度じゃ止まらん!」

「なら身動き出来なくするまでだ!」

 正門の外に出たフィーナが見たのは多数の冒険者達、そしてそれを遥かに上回る夥しい死骸の集団だった。

「ファイアーボール!」

「ファイアーストーム!」

「フレイムランス!」

 外に出てきたのは戦士ばかりでは無く、魔法使いの冒険者達も続々と戦闘に加わっていき何とかして数の劣勢を跳ね返そうとしている。

(わ、私はどうすれば……)

 可能であれば死骸を操っているであろうソーマと対峙したいが、まず彼が何処に居るのかも分からない。おまけにこのままでは死骸達の数の暴力に負けてしまうかもしれない。

 王都からは衛兵達も続々と駆けつけているが、それでも数の劣勢を跳ね返せる程では無い。

(相手が死霊なら……!)

 フィーナはすぐさま神への祈りの言葉を唱え始める。


ーキュイイイィィ……ー


 フィーナが胸元に組んだ両手が徐々に光を放ち始めている。その様子に周りの冒険者達から

「見ろ! 聖女様が俺達を救って下さるぞ!」

「聖女様を守れ! 敵を寄せ付けるな!」

「任せとけ! 一匹たりとも通すかよ!」

 周りの冒険者達が死骸を防いでいる最中

「不浄なる魂達に生の区切りと安息をお与え下さい……ターンアンデッド!」


ーパアアァァ!ー


 フィーナを中心に広がっていく眩い光は包みこんだ死骸に囚われた魂達を次々と有るべき場所へと還していく。

 天界が管理する魂は天界へ魔物の魂なら魔界へと平等に輪廻の輪の中に。

(やっぱり今の私じゃ……)

 神力で使うターンアンデッドとでは、祈りと詠唱で発現させる神聖魔法では範囲も効果もまるで及ばなかった。だが

「さすが聖女様だ!」

「化け物達があっさりと崩れていったぞ!」

「あたし達も気合い入れるよ!」

「おおーっ!」

 周りから冒険者達が頑張る声が聞こえてきた。彼等に負けている訳にはいかないとフィーナは奮起させられるのだった。

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