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異世界転生係で神畜の女神やってます  作者: 大鳳
第八章 貴族令嬢編

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雪山の私設国際救助隊

「いい気味だわ。成り上がり亜人のクセに私より目立つから悪いのよ。あ〜、スッキリした〜!」

「おい! フィーナは無事なんだろうな!」

 フィーナが雪崩に巻き込まれた後の静寂が訪れた雪山の光景を、満足そうに見届けたタチアナ。

 そして焦りの表情を見せているアレス王子の姿があった。

「タチアナ! フィーナは生きてるんだろうな? 兄貴に見せつけてやる前に死んでたらタダじゃおかないぞ!」

 「大丈夫よ。シェイドに探させてるから。見つかったら好きにしたら?」

 腕組をして雪崩の後を見据えているタチアナの答えを聞いたアレス王子は

「その答えを聞いて安心したぜ。あのクソ兄貴の目の前でフィーナを寝取ってやるんだからな」

 アレス王子は独り言の様に下衆な欲望を吐露する。

「ククク……、そうすれば兄貴のプライドはボロボロさ。あいつは俺の手で初めての敗北を味わうのさ!」

(そして、私は傷心の王子にうまく取り入ってやるわよ……フフッ)

 欲望のままに自分の願望を語り続けるアレス王子と、彼の知らない自身の野望を心に誓うタチアナだった。



 その頃、遅れたフィーナを待っていたシュレイザとアリアだったが、自分達の後方から雪崩の音が聞こえてきた事にフィーナの安否が心配になった二人は尾根を引き返していたのだった。

「おい、おもしれー女。無理して付いて来なくても良いんだぞ?」

 シュレイザ先輩が後ろを歩くアリアを気遣って声を掛ける。

「ん〜、だいじょ〜ぶ。それよりフィーナが心配だもん」

 二人はホワイトアウトを起こしている尾根を黙々と歩いていく。


ーザッザッザッザッー


「ありゃ、どうなってんだ?」

 しばらく歩いてきた二人の前に現れたのは登山の時に使った登山道だった。

 一本道な以上、フィーナに行き合わないのはありえないのだが……

「このままじゃ俺達まで遭難だ。仕方ねぇ、下山するぞ」

 このまま当て所無く探しても自分達が遭難する可能性すら出てきてしまった。

 シュレイザ先輩は再度、尾根を進んでメアリー先生達に追いつくべく登山を再開する。


ーザッザッザッザッー


 二人が風雪の中、尾根を歩いていると


ーヒュンヒュンヒュンヒュン!ー


 二人の耳に聞き覚えのある機械音が頭上から聞こえてきた。だが見上げてみても空は白いだけで何も見えない。

「幻聴か……?」

 風の音が強いため聞き間違っても何も不思議は無い。

 落胆したシュレイザ先輩が再び歩き始めようとしたその時


ーズシャッー


「はぁ……はぁ……」

 後ろを振り返るとアリアが地面に膝をついていた。

「おい、こんなトコでへばってる暇はねーぞ。おもしれー女」

 シュレイザ先輩が檄を飛ばし何とかアリアを動かそうとするが

「神は我々を見放したかぁ〜!」

 吹きっさらしの尾根で低体温症が進んでしまったのか、アリアは理由の分からない事を口走る様になってしまった。

「くそ、このままじゃ……どこかで一息つかないと」

 尾根から辺りを見回してみるが身を隠せる様な洞窟など都合良くあるはずも無い。

「これは……?」

 シュレイザは尾根の登山道から枝分かれしていく小道を見つけた。見た感じ尾根から下って山から降りていく下山道になっている。

 尾根で風に晒されたままより山の斜面でやりすごせるならその方が良さそうだ。

「しかたねぇ……アリア、掴まれ」

 シュレイザ先輩は地面に膝をついて動けなくなっているアリアに声を掛けるが

「くそっ、後で文句言うんじゃねぇぞ」

 反応が無かったアリアを担いだシュレイザ先輩は尾根から退避するために小さな下山道を降りていく事にするのだった。



「レアさん、フィーナさんはこの辺りに居るんですか?」

 山脈の上空に浮かぶ飛空艇の甲板にてノルンがレアに確認をしていた。

「そうね。フィーナちゃんに渡してあるリングの反応はこの辺りだもの」

 周囲は雪雲に覆われている上に眼下は白い霧で視界が全く効かない。それでなくとも今は日没を過ぎてしまっていて視界は最悪な状況だ。

「う〜ん、えい!」


ーパアアァァ!ー


 レアが神力を発動させると眼下の雪雲は全て消滅。

 また、光の精霊ウィル・オー・ウィスプを呼び出し強力な光で山脈を照らさせた。

「さ、ノルンちゃん。フィーナちゃんを助けに行ってあげて」

 レアはこの異世界の女神でもある立場を良い事に、神力を潤沢に使いまくっている。

「レアさん? あの、これ……」

 ノルンはいつもの黒いフレンチメイド服に降下用のフルボディハーネスを装備させられていた。

 彼女達の居る飛空艇の甲板には人員降下用のホイストまで追加増設されており、ノルンのハーネスも含めて乙女ゲー準拠のこの異世界には全く似つかわしくなかった。

「この格好、いくらなんでも痴女過ぎじゃありませんか? 少しはTOPと言うものを……」

 ノルンが珍しく顔を赤らめてレアに抗議している。

 フルボディハーネスを装備したとは言っても基本フレンチメイド服なのだから……まぁ、丸見えなワケである。

「大丈夫大丈夫! こんなトコ誰もいないでしょうから」

 レアが言う通り降下予定区域に他に人影は無く、白銀の銀世界が広がっているだけだが……

「それにフィーナちゃんが助けを呼ぶって事は、近くに助けてくれそうな人が居ないって事でしょうから」

「そういう問題じゃ無いんですけど……」

 レアの意見が納得出来ないノルンが遺憾の意を述べるが

「さ、早くフィーナちゃんを助けてあげて。もし死んじゃったら天界行ってなんやかんやしなくちゃならないわよ?」

 レアは話は終わりとばかりにフィーナが死んでしまった時の手間暇を語ってノルンを急かしてきた。

 確かに、フィーナが死んでしまったら膨大な天界に居る死者の魂群の中からフィーナの魂を引っ張り上げなければならず

「わ、わかりました」

 普段、転生課で死者の魂を管理している側である彼女には、その面倒臭さが身に沁みていた。

 それならばと、ノルンは機械人形達が操作するホイストのワイヤーケーブルを自身のハーネスを決着させる。

「ファイブ、フォー、スリー」

 ため息混じりに準備を進めるノルンの側でレアがネイティブな発音で謎のカウントダウンを始めている。

「じゃあ、行ってきますんで……」

 ノルンはレアに呆れながら彼女に付き合う事無く、地上への降下を始めるのだった。

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