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異世界転生係で神畜の女神やってます  作者: 大鳳
第八章 貴族令嬢編

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火種

「わぁ〜、すっご〜い!」

「ホントね〜、あんなにチリチリだったのにこんなにサラサラ〜」

「あなたも早く見てもらいなさいよ〜」

 アフロヘアの人魚の数は見違える程に減少していた。いつの間にかパトリシアの神聖魔法は打ち止めになってしまっていた。

 が、フィーナの方はレアの寵愛もあってか神への祈りを捧げる限りヒールがきちんと行使されていた。

「フィーナ、そろそろ僕が代わろう。君は休んだらどうかな?」

 人魚達にヒールを掛け続けて人列を捌いていたフィーナだったが流石に疲れが見え始めていた様で、彼女を気遣った金ピカ鎧のバケツ頭なアルフレッド王子が声を掛けてきた。


ーファサァ……ー


 金ピカバケツヘルムを脱いだアルフレッド王子の金髪サラサラなイケメン顔を覗かせた途端

「きゃ〜! あれは王子様よ! 間違いないわ〜!」

「む、昔話通りじゃない? それにしてもカッコいいわぁ〜!」

「アンタ達、昔話にあるからって王子様溺れさせたりするんじゃないわよ?」

 人魚達からやいのやいのと黄色い歓声が上がってきた。まさか、人外の魚類から憧れの眼差しに晒されると思ってなかったアルフレッド王子は面食らっていたみたいだが

「ありがとう。貴女方のお眼鏡に叶うなんて光栄の至りだよ」

 慣れた様子で相手を立てるイケメンの妙技を披露する。そんなアルフレッド王子の爽やかなイケメン仕草は人魚達を熱狂させるには十分だった様だ。

「ねぇねぇ、あの王子様に人魚の秘薬で足生やして誘ってみたらどうかしら?」

「何言ってんのよ。人魚の秘薬なんて不良品、使った娘がどうなったか知らない訳じゃないでしょ?」

 人魚達はフィーナ達そっちのけで人魚達に伝わる秘薬について議論を交わしている。

人魚達の間では人間のイケメンに見初められた人魚が幻の秘薬を使って陸に上がろうとしたというおとぎ話が伝えられているらしい。

 しかし、その秘薬は不完全なモノだったらしく、人魚が人間の様になる事は無く人魚の状態のままで足が生えた姿になってしまったそうで……

「その娘は一生、涙で岩肌を濡らしながら暮らしたって話じゃない」

「あ〜、私はパス。そんなリスクは負えないわよ」

「でも、今だったら技術が進んでるかもしれないじゃない?」

「私、人魚の秘薬を作ってくれる魔法使い探してくる!」

「わ、私も〜!」


ーバッシャーン!ー


 誰かの一言をキッカケに人魚達は一斉に小川の中へと消えていってしまった。

「困ったな……。僕には既に婚約者が居るというのに」

 アルフレッド王子が自然な動作でフィーナの肩に手を回し、自分の側にひきよせようとする。


ージュッ!ー


「あづっ!」

 フィーナの肩に手を乗せようとしたアルフレッド王子はサラマンダの返り討ちに遭い、グローブを脱ぎ捨てて掌をフーフーする結果となった。

「あ、こっちで冷やしたらどうだ?」

 小川に残っていた半魚人が熱さに悶えるアルフレッド王子を気遣って声を掛けてきた。

「この度は本当にご迷惑をお掛けしました」

 すぐそこで平身低頭、土下座していたメアリー先生が半魚人に詫びの言葉を入れに来た。

「いや、こちらも変に驚かせてしまった。申し訳なかった」

 謝るメアリー先生に同じ様に半魚人も頭を下げる。経緯はどうあれ人魚達が生き生きと小川に戻っていった効果だろう。

 フィーナやパトリシアによる神聖魔法が功を奏したらしい。全てが丸く収まりかけた現状を苦々しい顔で見つめている存在があった。

(くそっ、魔物なんてパーッと吹き飛ばしちまえば全て終わるのに……)

 何も出来ずに女の子達に寄り添われているのみのエリオットだ。

 強力な魔法を使って全て解決!と、軽く考えていたエリオットにとって、半魚人達と話し合いで和解してしまった今の状況は面子を潰されてしまったに等しい。

 それも、自分を慕う女の子達の目の前で、である。魔法で何でも解決出来る自分……それを根底から崩されてしまった気しかないエリオットに今の状態は恥でしかなかった。

「おい、お前達もこっちきて半魚人さん達に頭を下げろ」

 メアリー先生がエリオット達を手招きして呼ぶ。その行動がエリオットの心に暗い炎を灯す事になるとは思わずに……

「魔物なんかに頭を下げられるか!」


ーシュウウウゥゥゥー


 逆ギレと思われるエリオットの叫びと共に膨大な魔力が彼の周りに充満していく。それを見たフィーナは瞬間的に

「パトリシアさん、光の壁は使えますか?」

 パトリシアにホーリーウォールが使えるか尋ねる。対するパトリシアはコクコクと頷くのがやっとだったが……

「はっ!」


ータッ!ー


 フィーナはパトリシアが頷くのを見ると同時に魔力を充満させていくエリオットに向かって飛び出していた。

「みんな、吹き飛べーっ!」


ーバシュウッ!ー


 半ばヤケになっている様にも見えるエリオットの右手から渦巻く炎が駆けてくるフィーナに向けて放たれた。

「はっ!」


ーガバッ!ー


 地面に伏せるフィーナの頭上を渦巻く炎の塊が通り過ぎていく。


ーダッ!ー


炎が通り過ぎたのを感覚で察したフィーナは立ち上がり、エリオットとの距離を一気に詰める。そして

「はあっ!」


ースパアァァァン!ー


「うぐあっ!」

 フィーナのハイキックにより足の甲で顎を思い切り蹴り上げられたエリオットは白目を剥いて地面に崩れ落ちる。

「エル君!」

「エリオット!」

 力無く地面に崩れ落ちようとするエリオットをシーディを始めとする周りの女の子達が反射的に彼を支える。その時


ーパアアァァ!ー


 フィーナ達の背後で光の壁が展開された音が光とともに伝わってくる。


ードオオオォォォン!ー


 間伐入れずに鳴り響く爆発音と共に爆煙の熱気が伝わってくる。パトリシアのホーリーウォールが彼女達を守った証だった。

「ホーリーウォール!」

 ここでフィーナがエリオット達を守る様に光の壁を発動させる。


ーパアアァァ!ー


 パトリシアのホーリーウォールに反射されて防がれたエリオットの魔法の行き場を無くした爆炎の炎は、フィーナのホーリーウォールに防がれて空に向かって受け流されていくのだった。

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