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異世界転生係で神畜の女神やってます  作者: 大鳳
第八章 貴族令嬢編

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ドワーフ猛進

「皆、お待たせ〜! 美味しいご飯だよ〜!」

 二階から焼きたてパンがどっさり入った籠を手にアリアを先頭にフィーナ、パトリシアもそれぞれ降りてきた。

 当然、彼女達の手にも焼きたてパンの籠が握られている。

「皆さ〜ん! ここで一息、お昼にしましょ〜!」

 最後尾のサリアはお茶のセットを手にしている。彼女達は一階に降りるとすぐに昼食の準備を進める。

 一階にある適当なテーブルにパンの籠、ティーセットを載せたところでグランヴェール鍛冶屋店のランチタイムが始められた。

「ふい〜っ、腹が減ったわい」

「なんじゃ、やっぱり酒は無いんじゃな」

 ドワーフの二人組はパンを両手に確保しながらも酒が用意されてない事に落胆している。

「仕事中なんだからお酒出せる訳無いじゃん」

 ドワーフのオッサン二人をアリアがピシャリと嗜める。

「なんじゃい、ドワーフにとって酒は水と同じなんじゃぞ!」

「そうじゃそうじゃ、人間だって喉が渇いたら水を飲むじゃろ? それと一緒じゃ!」

 ドワーフ二人は無茶苦茶な論理の飛躍をやり出した。そんな二人に

「お水です、どうぞ」

 フィーナが何食わぬ顔で水を二人に差し出す。

「いや、ワシ等は水が飲みたい訳じゃなくてな……」

 そんな事を言いながらも差し出された水を手に取るドワーフの二人。

「な、何じゃお主! そのけったいな格好は!」

 水を受け取ったドワーフのバルが思わずフィーナの出で立ちを二度見する。

「そ、そうじゃぞ! エルフがそんな俗っぽい格好する訳が無い!」

 エルフに対しては何かの偏見があるのか、フィーナの前ではいつも騒々しい二人である。そんな折

「そのエルフのお嬢さんに売り子して貰ったら終売繁盛するかもな。ハッハッハッ!」

 ミートパンを食べながらアリアの父ソドムが冗談とも本気とも取れない事を言い出した。

「お父さんったら!

フィーナ私の友達なんだからね! 娘の友達そんなふうに見るのサイテー!」

 秒で娘に嫌われたソドムは自業自得と言える。

「フィーナもその格好で表出歩いちゃ駄目だよ? この街、特に女の子には危ないんだからね?」

 そんな話から始まり、話題はフィーナが先刻絡まれた大男達の話題に

「そんな奴等が客の中に紛れ込んでやがったのか。家の娘の友達になんて連中だ」

 アリアから詳細を聞いたソドムは怒りを滲ませる。

「そんな奴等がまた来てみい、ワシ等が追っ払ってやるわい!」

「腕がなるわい! ワシ等に手を出したらどうなるか身体に叩き込んでくれるわ!」

 店主のソドムに同調する感じでドワーフ二人組も大男達に対しては敵愾心をあからさまにして隠そうとしない。

「よし! 今からその不届き者を懲らしめにゆくぞ!」

「そうじゃそうじゃ! ワシ等の恐ろしさ見せつけてやろうぞ!」

 二人の脳筋ドワーフは既にやる気満々となっている。そこに冷や水を掛ける様にアリアが

「あなた達、相手の顔知らないじゃない。行ってどうすんの?」

 適切な指摘を行う。しかし、二人はそんな指摘で止まる様な脳筋ではなかった。


ーガシッー


「エルフっ子征くぞ」

 バルがおもむろにフィーナの右腕を掴む。

「え、あの……」

 事態が飲み込めていないフィーナを他所に


ーガシッー


 もう一人のドワーフ、ガスがフィーナの左腕を掴み

「ほれ、善は急げじゃ。悪人どもには目にもの見せてやらんとな」

 ドワーフ二人はフィーナを引き摺りながら店の外へ向かって歩き始めた。

「あ、あの……そこまでして頂く訳には……」

 フィーナは捕まった宇宙人の姿勢のまま小男二人に引きずられていて成す術が無かった。

「フィーナさん……」

 ドワーフ二人に連れ出されていくフィーナを見たパトリシアは

(フィーナさんはもう少し強く断る事を覚えた方が良いと思うの……)

 心の中で強く思う。しかし、それは今この場では直接口に出すべき意見であった。



 血気盛んなドワーフに引き摺られたフィーナが無事に鍛冶屋に帰ってきたのはその日の夕方だった。

「近くにはもう居なくなっておったのかもしれん」

「冒険者ギルドにも顔を出してみたんじゃがのう。もしかしたら全員しょっぴかれてしもうたのかもしれんのう」

 二人のドワーフは不完全燃焼といった感じで残念そうにしている。

 また、二重の意味で被害者となったフィーナは

「あの、私はもう大丈夫ですから……お気遣いありがとうございました」

 ぐったりと疲れ果てていた。悪意の無い市中引き回しの刑を受けた様なものだ。

 彼女が精神的に疲れていても何も不思議は無い。そんな彼女の癒しとなったのは

「ごめんね〜、あの人達止めてあげられなくてさ〜」

「フィーナさん、大丈夫だった? どこまで行っちゃったのか心配してたんだけど……」

 いつも通りに出迎えてくれた変わらない友人達の姿だった。

「まぁ、ドワーフの爺さん達が睨みを利かせてくれた様なモンだし、今後は安全になるだろうぜ」

 まるで他人事なソドムの意見。店主である彼がドワーフ二人組を止めなかったのは『フィーナに手を出したらうちのドワーフが黙っちゃいないぞ』という事を街中に知らしめる副次効果を期待しての事だったのかもしれない。

 実際にフィーナが春休みの間グランヴェール鍛冶屋店にお世話になっている期間において、誰に絡まれる事もなく平穏無事に過ごせたのは紛れもない事実となるのだから……

 しかし、フィーナが受けた市中引き回しの刑が齎した効果は翌日から目に見える形で彼女を困惑させる事になるのであった。

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