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異世界転生係で神畜の女神やってます  作者: 大鳳
第一章 アルフレッド編

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英雄達の凱旋

 フィーナが王城に呼び出された日から二日、宿の女将さんには諸事情で王城から通知が来たら一週間は暇を貰える様にと話をしてある。

 別段隠す事でもないので慰霊の為の式典に出席する旨を伝えると、女将さんから返ってきた返事は

「お偉いさん方とぶっといパイプを作ってきておくれよ、アッハッハッ!」

 だそうだ。留守の間のアルフレッドの面倒も引き受けてくれるそうでそこも一安心である。

 アルフレッドと別行動を取るのは少し不安も残るが、さすがに今更彼が高熱に見舞われる事も無いとは思う。

 それより、一週間も学校を休ませるというのも気が進まない。そこで、アルフレッドにどうしたいのかの意志を確かめたところ

「わかりました。るすばんしていますから、気を付けて行ってきてくださいね」

 と、いう返事が返ってきた。自分も行くと言われるものとばかり思っていただけに少し拍子抜けであった。

 学校に通う事で彼にも少し変化が出てきたのかもしれない。

 それにしても、エルフィーネ達がゴブリン退治に西方に向かってから三日以上が経つ。さすがにそろそろフィーナが不安を感じ始めていた頃


ーカランカランー


「たっだいまーっ!」

 店のドアベルが鳴ったと同時に元気なエルフィーネの声が聞こえてきた。そしてゾロゾロと入ってくる冒険者達の団体御一行様方。

 その中にはミレットやプロージットを含めたオオカミ達の姿もある。新人冒険者達も誰一人欠ける事無く戻ってきていた。

 おまけにどういう訳が出発時より人数が増えている。総勢二十人弱の冒険者達はそれぞれのパーティーごとにテーブルに着いた。

「店員さーん! お酒人数分ちょーだーい!」

 エルフィーネはかなり上機嫌である。よほど首尾良く仕事がおわったのだろうか……?

 フィーナはお酒をテーブルに運ぶついでに新人冒険者達に話を聞いてみる事にした。

「今回のお仕事、うまくいかれたんですか?」

 フィーナの問いに新人冒険者達は明るい表情で答えてくれた。

 やはりゴブリンは十匹程度では収まらず四十匹位は居たらしく、敵が拠点としていた巣ではかなりの激戦となったそうだ。

 また、彼らの他にも近隣の村から直接頼まれた冒険者パーティーが先に現場に来ていてピンチに陥っていたらしい。

 そのメンバーが今回新しく増えている六人組なのだが……新人達にとっては仕事の成功による達成感よりも人助けを出来た事による満足感の方が大きい様だ。

 フィーナは続いて白銀の群狼パーティーの席にお酒を届けた。フィーナが木製のジョッキをテーブルに置くとリーダーのファングが愚痴り始めた。

「まったく、戦士だからって俺達を前衛でこき使いやがってあの年増エルフ」

「そーだそーだ」

「それなのに報酬は人数割っておかしくね?」

「あいつ後ろから弓矢撃ってただけだもんなー」

 愚痴ってはいるものの、オオカミ達の表情もやはり明るい。困難な仕事を達成した事で連帯感の様なモノも生まれているのかもしれない。

 フィーナがオオカミ達のテーブルから離れようとした時、ミレットが声を掛けてきた。

「せんぱーい、今日もお泊り良いですかぁー? 今回はこの子も一緒で……ニャ」

 ミレットは今回もフィーナ達が住んでいる物置に泊まりたいらしい。しかも今回はプロージットまでお泊まり希望である。

 仕事を終えたばかりなのだから宿代くらいあるだろうに……と、フィーナにはミレット達がわざわざ物置に泊まりたがる理由が分からなかった。

 フィーナの物置にお泊まりするにはお店の手伝いをする事が交換条件である。女将さんにはそう釘を刺されている。しかし、プロージットも泊まるとなるとまたもや彼女用のメイド服が必要となる。

(何色が良いかな……?)

 フィーナは彼女に合いそうな色彩を考えながら厨房へ向かう。

 突然の団体客の来訪に、ランチタイムとディナータイムの隙間時間にまったりしていたキッチンは戦場へと変わった。

 女将さんと旦那さんがキッチンの中でせわしなく動いているのが見える。

 普段ならアルフレッド達が学校から帰ってくるこの時間帯はフィーナも休憩時間なのだが、今日ばかりはそうも言ってはいられないだろう。

 フィーナは再び六人分のジョッキを手に冒険者達のテーブルに戻った。

 最後のテーブルの冒険者達は初めて見る顔だった。戦士風の装備の者が三人、魔術師、神官、スカウトがそれぞれ一人づつ、オーソドックスなバランスの取れた編成だ。彼らの装備品から察するに新人冒険者ほど経験が浅くは無いが、オオカミ達と比べるとまだ経験が足りない脱初心者パーティーと言ったところだろうか。

 フィーナは彼らからも話を聞いてみる事にした。

「お客様方、この辺りは初めてですか? ゆっくりしていって下さいね?」

 世間話ついでに話していくと、彼らはパーティー名をバッファローウイングというらしい。

 どこかの国の料理名の様な気がするが彼らがそれでヨシとするのならフィーナに口を出す理由は無い。

 彼らは旅の途中で西方の村に立ち寄り、そこで村の娘がゴブリンに拐われた事を知らされゴブリンの拠点の洞窟に乗り込んだらしい。

 しかし、敵の策に嵌って危機に陥っていたところをエルフィーネ達に助けられたという事であった様だ。

 新人冒険者達とバッファローウイングの面々からのエルフィーネの評価は天井無しに高騰してる様に見える。

(…………)

 脳内ピンク系な普段の彼女の事は口に出さないでおくのが友人としての気遣いだろう。

 フィーナはフライドチキンの盛り合わせを次々とテーブルに運んでいく。

 大皿料理なので厨房との往復回数が少なくて済むのは助かるがお皿一枚分がかなりの重さなのは非力なフィーナにとってはかなりの重労働だ。フィーナが各テーブルに料理を運び終えた頃

「それでは今回は無事にゴブリン討伐を終えられた事を祝して乾杯をしたいと思いまーす! はい、かんぱーい!」

 エルフィーネが乾杯の音頭を取ると、冒険者達が歓声とともに仲間同士で乾杯を始めた。

 ちょっと騒々しかったが女将さんは放っておく様にと目で合図を送ってきた。

 フィーナがアンと共に騒々しい冒険者達を横目に仕事を進めていると


ーカランカランー


 入り口の扉が開き学校帰りのアルフレッドとリーシャが入ってきた。二人は騒ぐ冒険者達に圧倒されながら彼らのテーブルの間をぬってフィーナの所までやってきた。

「おかえりなさい、二人とも。今日は忙しいので剣の稽古は出来そうにありません、ごめんなさい。」

 フィーナは二人にいつもの剣の稽古が出来ない事を伝え謝る事しか出来なかった。

 そんな時エルフィーネがジョッキを手にニヤニヤしながら近付いてきた。

「おおー、あの時の少年じゃないか。すっかり逞しくなっちゃって~」

 エルフィーネがアルフレッドの前にしゃがみこもうとしたところでフィーナが二人の間に割って入った。

「さ、アル。酔っ払いのお姉さんは放っておいて着替えてきて下さい」

 アルフレッドはフィーナの言葉に頷くとリーシャを連れて店の裏口へと向かっていった。

「なによー、人を不審者みたいにー」

 エルフィーネはフィーナの対応に頬を膨らませてぶーたれている。

「せっかくの学生服にお酒をこぼされでもしたら困りますからね。そもそも彼に何かご用ですか?」

 エルフィーネの前に立ちはだかる様にして彼女を問い正すフィーナ。

「久しぶりだし男前になってきたからハグしてブチューってしてあげようと思っただけじゃない。フィーナちゃんのいけずー」

 悪びれもせずにセクハラ未遂を告白する白金の英雄。

 冗談の通じないフィーナにこの発言は悪手であった。

「な……な、何を言ってるんですか! 不潔です! アルはまだ子供なんですよ!」

 顔を真っ赤にしてエルフィーネを怒鳴るフィーナ。

 そんな彼女を見てエルフィーネはフィーナをからかう事を酒の肴にしようと決めた様だ。

「あらぁ? フィーナちゃんったらいつの間にか彼を愛称呼びなの? やるねーにくいねーこのこのぉ〜♪」

 エルフィーネはフィーナを肘でぐりぐりしながら煽り全振りの言葉を続ける。

 一方、湯気が見えるんじゃないかと思える位フィーナの顔は真っ赤になってしまっている。

「あらあら〜、フィーナちゃんも満更でも無いのかなぁ〜? あの位の男の子なんかすぐに大人になっちゃうもんね〜♪」

 エルフィーネはここぞとばかりにフィーナを煽り倒していく。

 まともに言い返す事も出来ないフィーナにとって本日は閉店まで長い勤務となった。

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