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異世界転生係で神畜の女神やってます  作者: 大鳳
第三章 小田信永編

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水の神殿

 アクアレイクの湖の神殿に住まう水の精霊様への挨拶にやってきたフィーナとシルフの二人組。

 その石造りの神殿はピラミッド型の台形の土台の上に小さな社が置かれているといった感じで、台形の台座のあちこちから水が湖へと流れ出していた。

 神殿へと続く細い通路を歩きながらフィーナは一人戦々兢々としていた。

 以前砂漠でサンドワームと戦った際、ウンディーネに明らかなオーバーワークを課してしまったからだ。

 こんなにエルフ達に崇められている聖霊に自分はなんて事を……と内心ビクビクしていた。

 砂漠で水を集めさせていた時のウンディーネは明らかに疲れた顔をしていた。

 今から考えればウンディーネにやってもらった体で自分が神力で水を集めれば良かったのかもしれない。

(はぁ……)

 こんな過去がシルフに知られでもしたら……考えただけでも気が重くなる。

 水の神殿に向かうフィーナの足取りが徐々に重くなっていくのは気の所為などでは無かった。



 水の神殿の社はピラミッド型の台座の上に何本もの石の柱で支えられた石造りの屋根を持つ古代ギリシャの神殿の様な見た目をしていた。

 神殿にやってきているのはフィーナ達だけではなく、街の住人らしいエルフ達が何人も参拝に来ている。

 子供達も駆け回れる位の広さがある神殿の中は陽の光のおかげで明るく、どちらかと言うと観光地といった感じになっていた。

 神殿の最奥には台座があり、ウンディーネを形造った石像が置かれていた。

「ほら、跪いて! きちんとウンディーネ様にお祈りするの!」

 石像のある場所までやってきたフィーナはシルフに言われるがまま、跪き敬虔な信徒の様に手を合わせお祈りを始めた。


ーシュウウウン……ー


 フィーナが祈りを捧げ始めると神殿のあちこちから水滴が集まり始め、それらは次第に石像と同じ人魚の様な姿形を形成し始めた。

「エルフの王女ですね。よくぞ参られました……」

 人魚の姿を形作り始めた水の集合体は神様然とした態度でフィーナ達に語り掛けてきた。

「これからも礼を尽くす貴方達の為に水の恩恵をもたらす事を約束しま……え?」

 姿形を形成し終えたウンディーネはかなり上から見下ろす様にフィーナに語り掛けていたが、きちんと確認していなかったのか改めてフィーナの顔を見たウンディーネは台詞の最後で二度見をし

「ええええぇぇぇーっ! どどどどうして貴女が……!」

 フィーナの正体に気付いたらしいウンディーネは明らかに狼狽し始めた。

「あの……砂漠では大変なお仕事を押し付けてしまい申し訳ありませんでした」

 あの時のウンディーネと同一人物かは分からない。

 だが、フィーナは他に方法が思いつかなかったとは言え、かなりの無茶振りをしてしまった事をウンディーネに詫びるのだった。

「いえいえいえ! そんな滅相もない! 精霊なんていうのは使われてなんぼですので! こここ……これからもよろしくお願い致しますわ!」

 ウンディーネはそう言うと逃げる様に霧散してしまった。

 自分は女神であってもレアの様な異世界を司る神ではないのだからそんなに畏まる事は無いのに……とフィーナは一人考えていた。

「ウンディーネ様、どうしちゃったのかしら……? あなたもしかして何か変なコトしてないでしょーね!」


ーギューッ!ー


「いたたたたた!」

 ウンディーネの様子がいつもとまるで違っていた事に気付いたシルフは、原因はフィーナに有りと彼女の長い耳を思い切り引っ張り始めた。

 シルフの見立て通り、原因はフィーナにあるという推測そのものは合っていた。

 しかし、理由に関しては完全に明後日の方向に間違っていた。シルフの中ではフィーナがウンディーネに粗相をした事になっている様だ。

(……出来ればシルフさんには気付いて欲しいなぁ)

 シルフに引っ張られた耳を擦りながらフィーナは叶わない希望を心の中で願うのだった。



 フィーナがウンディーネの住まうアクアレイクを訪れてからの数日間、フィーナは城に戻る事無くグリンウッド国内のあちこちにある集落を回らされていた。

 仮にも王女であるのに徒歩で全国行脚させるのはどうかと思うのだが、森が国土の殆どを占めるエルフの国では馬車は全く使いものにならない。

 そもそもの話になるのだが、グリンウッド国内には野生の馬そのものが居ない。

 例外としてユニコーンはたまに見掛けるそうだが、とても馬車に使えそうな性格はしていないとの事。

 それでも、ディアナ王女には懐いてる個体もあるらしいのだが、シルフからは

「あなたがユニコーンを? よしなさい蹴っ飛ばされるのがオチだから」

 と、バッサリと切り捨てられてしまった。

(そんな事は無いんですけど……)

 シルフの自分に対する評価が秒単位で下がり続けている事にフィーナは軽い不満を覚えていた。

 確かにエルフの王女としては至らない部分があるのは自覚している。

 しかし、いきなり王女役を押し付けられて完璧にこなせるはずも無い……と、喉まで出かかっている言葉を抑えていた。

 口にすればまた、耳を引っ張られるのが目に見えていたからだ。

 こんな事ならサラマンダーに近くに居てもらって、シルフにはさっさとディアナの所に帰って貰うべきだったとフィーナは密かに後悔していた。

「ほらー! チャッチャと歩く!」

 シルフに叱咤され重苦しい気分でフィーナは森の中を進んでいくのだった。



 一方、ガイゼル王国との国境へと向かっていたディアナだったが、運良く乳製品を運ぶ荷馬車隊に声を掛けてもらえたので荷馬車の荷台にて一人揺られていた。

 荷馬車隊の人間がディアナに声を掛けたのは、女の子の一人旅が心配に思えたというのもあったが、彼女の首元で輝くライトグリーン色の冒険者証の存在が大きかった。

 荷馬車隊は常に野盗の襲撃に怯えている。普通なら護衛を雇うところなのだが、この辺りは敵対する国家間なので冒険者達は比較的仕事の多いガイゼル王国や帝国を拠点とする様になってきていた。

 その為か、わざわざ辺境の土地までやってくる様な冒険者は減っていたのが実情だった。

 そんな中、ベテラン以上の評価を受けている冒険者証を持つ者が一人とは言え同行するというのは荷馬車隊にとって何よりも心強い存在である。それが例え張子の虎であったとしても……

「悪いねぇ、姉ちゃん! 野盗が出たりなんかしたらよろしく頼むぜ?」

荷馬車隊のメンバーに話し掛けられたディアナは

「お、お任せ下さい! 野盗なんかお茶の子さいさいですわ!」

 これで野盗が現れでもしたらディアナのメッキは剥がれとんでもない結末を迎えていただろう。

 しかし幸か不幸か、国境付近は敵の奇襲に警戒する意味合いもあり、ガイゼル王国に雇われた傭兵達が目を光らせているせいか野党襲撃の可能性は少なかった。

 それでもディアナがガイゼル王国内に無事に入る事が出来た上に平穏無事に首都に向かう事が出来たのは一種の奇跡なのであった。

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