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異世界転生係で神畜の女神やってます  作者: 大鳳
第二章 ザック編

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強制送還

(出張は中止だ! もういいから戻れ!)

 天界のフレイアから直電とはよくよくである。

 フィーナが事情を尋ねてみたところ、異世界転生係の待合室で魂達が順番待ちしているのを別の部署の部長クラスの偉い神に見咎められてしまったというのだ。

「担当の係の女神は何をしているんだ! けしからん!」

 と詰められてしまい、世間体も悪いし面子もあるから早く戻れと言う事らしい。

 ここまでがフレイアに怒鳴られながらもフィーナが聞き出せた天界の……というよりはフレイアの事情である。

(あの……こちらの仕事もキリが悪いのでもう少し……)

フィーナがおずおずと時間の猶予を願い出たところ

(これ以上私に恥を掛かせる気か! 殺す気か! あのバーコード部長ときたらネチネチネチネチ…)

 どうも、天界への帰還に関しては問答無用らしい。嵐はフィーナが帰らない限り収まりそうに無い。

(あの、お世話になった人に挨拶したらすぐ帰りますので……)

 かなり低姿勢で頼んだのが功を奏したのか異世界での一夜分くらいは待ってくれるそうだ。

 もっとも異世界と天界は時間の概念が違うので向こうでは一瞬のはずなのだが……

 フィーナが天界のフレイアとやり取りしている間にフレデリカ一行は帝都の冒険者ギルドに辿り着いていた。そのまま彼女達が冒険者ギルドに入ると

「あぎゃ!」

一目散と言った勢いでサラマンダーがフィーナに飛び付いてきた。

 サラマンダーはフィーナの胸に飛び込んできたら顔をすりすりと押し付けてきて匂い付けをする猫の様な仕草を見せている。火の精霊なのにである。

 そんなサラマンダーを受け止めたフィーナが彼の来た方を見てみると……そこのテープルではザック達がいつも通りに食事をしていた。

 彼らもこちらに気がついたのかイレーネがブンブンと手を振っている。

「あ、帰ってきた! お〜い!」

 フィーナ達はイレーネに呼び寄せられるがままに彼女達のテーブルに向かうのだった。



「お、無事だったか。で……どうだった?」

 ザックが席に着いたフレデリカ達に仕事の首尾を聞いてきた。その問いに答えたのはリーダーのフレデリカだ。

「はい。依頼内容とは違いオーク達の数は三十を超えていました。お恥ずかしい話で私達は教会に逃げ込むので精一杯でした。追い詰められて……もう駄目かと思いました」

 淡々と話すフレデリカだが、オークに馬乗りにされていた事は心の傷とはなっていない様だ。救助が間に合って良かったとフィーナは心の底から思う。

「教会に籠城した私達は村が静まったのを感じました。それで、外に出てみたら女神様がいらっしゃったのです。その時にはオーク達は全て滅ぼされていました」

 女神が現れた行になるとフレデリカは興奮冷めやらぬと言った感じで、やや早口で喋っていた。聖職者のローズもフレデリカの話に乗っかる様にして女神をベタ褒めしている。

 そんなザック達のやり取りをフィーナは他人事の様に聞いていた。今の彼女の頭の中にあるのはどうやって皆に別れを切り出すかというものだった。

 時間の余裕は既に無くフレイアの気分次第でいつでも天界に戻されてしまう現状だった。

(…………)

 フィーナが皆に話を切り出すタイミングを伺っていると

「フィーナさん? 何か考え事?」

 フィーナの様子がいつもと違うのに気が付いたのかイレーネが声を掛けてきた。

「あ、あの……すみません! 私、パーティーを抜けます! ごめんなさい!」

 フィーナは突然立ち上がると脈絡もなくメンバー達に自分が離脱する事を伝えた。彼女らしくない強引さには訳があった。

(残り二十秒……にじゅーう……じゅーく……)

 天界で痺れを切らしたフレイアがフィーナの頭の中でカウントダウンを始めてしまったのだ。こっちの都合はお構いなしのフレイアに抗議をするも無情にもカウントダウンは続行中……それが現在のフィーナの状況なのである。

 フレイアの性格からしてカウントダウンが終わったら強制送還は問答無用のはず。

 皆の見ている前で消えるのは何が何でも避けたい一心でフィーナは焦っていた。

 しかし、完全に寝耳に水なザック達にはさっぱり状況が分かっていない。

「おい、いきなりどうしたんだ? 俺達に何が駄目なところがあるなら……」

 ザックが不思議そうに尋ねる。また

「マリーが説教ばかりするからだぞ? もう勘弁してくれってさ」

「私、そこまで厳しくしてないですよ!」

 ガイとマリーはじゃれ合っている様にしか見えない。

「そういう事じゃないんです! ちょっと急用が出来てしまって……帰ってこいと言われてるんです」

 ザックの問いに答えるフィーナはかなり早口で余裕が全く無い。

「必ず戻ります。イレーネさん、それまでサラマンダーさんを見ていて頂けませんか?」

「え? あ、はい。……て、ちょっと! フィーナさん?」

 フィーナはイレーネにサラマンダーを預けると挨拶もそこそこに冒険者ギルドを飛び出した。

 あまりにも性急過ぎるフィーナの行動だが彼女の頭の中では

(やーっつ……ななーつ……)

 カウントダウンがすでに一桁しか残っていなかった。夜の帝都に飛び出したフィーナはひたすらに裏通りを目指す。とにかく人の目の無いところを……

(ふたーつ……ひとーつ……しゅーりょー!)


ーパアアァァー


 カウントダウンが終わると同時にフィーナの身体は光に包まれあっという間に消え去ってしまった。



 天界に戻ったフィーナはレアの仕事場、異世界が整然と並べられている真っ白な空間に転移させられていた。

 目の前にはイライラしたご様子の赤髪の女神フレイアが立っている。

「あ……ただ今戻りました!」

 フィーナが一応の戻ってきた事の挨拶をするが

「わかったわかった。お前は早く仕事場に戻って業務を片付けろ」

「え? 今からですか?」

 思わずフィーナはフレイアの指示を聞き直してしまった。

 体感的にかなりの時間を異世界で働いていたから少しは休みたかったのだが。

 第一オーク戦の後徹夜明けで帝都に戻ってきての今である。せめてお風呂には入りたいところなのだが……

「何か問題でもあるのか?」

 フレイアの圧にフィーナは言葉を失ってしまった。

「し、仕事に戻ります……」

 フィーナは雷を落とされてはたまらないとばかりにレアの仕事場を後にした。そんな彼女にミレットが飛び乗り器用に肩に座った。

「センパイも色々と大変なんですねぇ〜……ニャ」

 肩にのったミレットはフィーナのこき使われ方に同情してる様だった。

 フィーナはさっきの異世界に早く戻る様に早く仕事を終わらせようと、自身の仕事場に急ぐのだった。

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