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異世界転生係で神畜の女神やってます  作者: 大鳳
第二章 ザック編

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新編成

 冒険者ギルドでの話し合いの結果、ザック達パーティーとフレデリカ達のパーティーは合同で仕事を受けていく事となった。

 可能であれば報酬額に応じてパーティーを二つに分けたり三つに分けたりと柔軟に運用していく方針で決まった。

 最優先は生還と仕事の完遂だが、フレデリカ達新人冒険者達に経験を積んでもらうのも重要である。

 フレデリカならザック辺りにリーダー役としての立ち回り方を教わりながら経験を積むのも良いだろう。

 聖職者のローズであればマリーに付いて教わるのが一番だろうし、アリッサであればイレーネが指導するのが適任だろう。

 もっとも、イレーネは天才肌なので指導が上手かどうかは不確定なところではあるが。

 スカウト役のフィーナには教育すべき人間は居ないので割と気楽なご身分ではある。

 フレデリカ達が一人前になればザック達が全滅する未来はさらに遠ざかるはずだ。

 それより、今のフィーナは、ザック達の未来に差し迫った全滅の可能性の有無が知りたいところではある。

(一度、天界に帰るのも有りかもしれないですね)

 具体的にザック達が全滅する未来が決定していなければフィーナが行うべき仕事も無い。晴れて御役御免と言う訳だ。

「フィーナ、お前には申し訳ないんだが……」

 ザックが唐突にフィーナに話し掛けてきた。口振りからしたら人数が増えすぎたから外れてくれみたいな話だろうか?

 それとも役立たずだから追放するなんていう異世界では日常茶飯事でよくある話だろうか?

 ザックの神妙な顔からは彼が何を言わんとしているのかさっぱり分からない。

「な、なんですか?」

 内心ドキドキしながらフィーナはザックに聞き返す。そして口を開いた彼から出た言葉は

「スカウト一人だから休み無しになると思う。戦力が心許無い方にカバーに入って貰うつもりだから、これまで以上に頑張ってくれ」

 追放や離脱ではなく酷使宣言だった。言われてみればスカウトが一人しかいないのに外したりなんかはするはずも無い。

「それで次はどんな仕事にするんだ?」

 ガイの関心は次の仕事の内容に移っている様だ。

「仕事の希望がなければ俺とフレデリカで見繕ってくるがどうだ?」

 ザックの意見に対し特に反対意見は上がらなかった。ただでさえ混雑し易いギルドの掲示板前にゾロゾロと皆で行く訳にもいかない。

「じゃ、少し待っててくれ。仕事見てくる」

 そう言うと、ザックはフレデリカを連れて行ってしまった。

 明らかに年季の入っプレートメイルを着たザックと、綺麗な装飾が施された銀色の光沢が美しい鎧を着たフレデリカでは二人の見た目に釣り合いが取れていない。

 そんな二人をイレーネはジト目で追っている。

「イレーネさん、電撃魔法の使い方なんですけど……」

 そんな彼女の隣にはアリッサが陣取っており魔法の使い方、詠唱のタイミングなど経験のある冒険者でなければ分からない様な事を質問攻めにしていた。

 一方のマリーもローズから同じ様に質問攻めにされていた。残ったレイチェルはガイに前衛の心得的な事を尋ねている。

 イレーネもマリーもガイも後輩から物事を聞かれて答えるのに悪い気はしていない様だ。

 一人ポツンと残されたフィーナは周りが談笑混じりに会話しているのをサラマンダーを撫でながら眺めている事しか出来なかった。

(そういえば……)

 長い事食事を摂っていない事を思い出したフィーナはギルドの料理用カウンターから食事を調達してくる事にした。

「ちょっとお料理、適当に持ってきますね」

 フィーナは談笑しているメンバー達に声を掛けるとギルドの料理用カウンターに向かった。

 ギルド内にある料理用のカウンターには沢山の大皿料理が並べられており、料金を払って好きな大皿料理を各自のテーブルに持っていくシステムなのだ。

 フィーナは角銀貨を一枚職員に渡し、五皿の大皿料理を自分達のテーブルに持っていく事にした。

 前回の異世界で飲食店店員の仕事もしていたフィーナにとっては大皿料理を両手に運ぶ事など造作も無い事だった。

「甘辛チキンと野菜の盛り合わせでーす。そして、こちらは焼き魚と煮野菜の盛り合わせで〜す」

 フィーナは料理をテーブルにのせ次の大皿料理の配膳の為にカウンターに向かう。

 彼女が購入した大皿料理は五皿である。次は焼き肉と野菜の盛り合わせ二皿と大量のバゲットが盛られた大皿を運ぶ事にした。

 一人で三皿はさすがにフィーナの細腕では無理があるのでバゲットはサラマンダーに運んでもらう事にした。

 フィーナが料理を運び終える頃にはザックとフレデリカもテーブルに戻ってきており、改めて食事の始まりとなった。

 料理を運んだ後も食器を運んだり取り皿を運んだりお酒を運んだり、食事が始まってもフィーナとサラマンダーは大忙しだった。

 しかし、大忙しの割に甲斐甲斐しく給仕をするフィーナはどこかやる気に満ち溢れており、冒険者をやっている時より活き活きしていた。

「フィーナさーん、お酒ちょーだーい」

「こっちの皿下げてくれ。後ジョッキも」

 イレーネとガイからの要望にもフィーナは嫌な顔一つせず料理用カウンターとの間を往復している。

 冒険者ギルド内は混雑しているのだが、そんなものものともせずにお酒を運ぶ様はベテランの風格さえ感じさせた。

「皆さん、駄目ですよ。フィーナさんにばかり頼っていては」

 マリーが今にも説教を始めそうな勢いでガイやイレーネに注意を始めた。

 そして、自分でもフィーナの作業の手伝いを始めた。しかし、如何せん不慣れな事もあり、そういう作業に適した服でもない事がマリーの危なっかしさに拍車を掛けていた。

「マリーさん、ありがとうございます。でもあまりご無理はなさらない様にお願いしますね」

 フィーナはマリーの動きを見ながら彼女を心配している。やはり、新人特有の危なっかしさというものがあったからだ。

 しかし、二人で給仕を進めるとやるべき仕事はすぐに無くなってしまった。

  こうしてフィーナはようやく席に付いて食事が出来る様になった。

 甘辛のチキンと野菜を自分の取り皿に取り、チキンの一つを口に放り込むと甘辛いタレの味と共に鶏肉のジューシーな肉汁が口の中に感じられた。

(ああ……、幸せ……)

 フィーナは改めて異世界への出張の醍醐味を感じていた。

 天界では同じ物を食べる事は出来てもこの雰囲気を再現する事は不可能に近い。

 同席するパーティーメンバー達の会話を聞きながら楽しく食事を行えるのは、やはり異世界への出張中でしか出来ない事なのだ。

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