表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生係で神畜の女神やってます  作者: 大鳳
第二章 ザック編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

232/821

帝国への帰り道

 地下水脈から脱出したフィーナ達が街に着いた時にはすでに夜になっていた。

 この街では宿の受付は夜間にはしていない様で疲労困憊なフィーナ達は当て所無く街を彷徨う事となった。

 生憎、冒険者ギルドも夜間は閉められており露天の野宿しか選択肢が無い状況だった。

 冒険者である以上、野宿の経験が無い訳ではないのだが……街に居るのだから宿でゆっくり休みたいと考えるのが人情である。

 フィーナ達は野宿に適した場所を探しつつ、まだ受付をしている宿屋がないか、目を皿の様にして街を徘徊していた。

「今回の仕事ってどうなるのかしら? 一応、原因は分かった訳だけど」

 イレーネが誰にともなく話し掛けてきた。

「事実をありのままに伝えるだけさ。それより明日は武器屋を探さないとな。いつまでも短剣一本じゃ落ち着かねぇ」

 ザックがガイを横目で見ながら返答する。

「俺の戦斧……結構高かったんだぜ? また買い直しかよ……」

 おニューの武器を失った事が現実感を増してきたのかガイはすっかり落ち込んでしまっていた。

 いつも豪放磊落なガイにしては珍しい表情である。

「落ち込む事ありませんよ。戦斧があったお陰でイフリートの攻撃を防げたんですから」

 落ち込むガイにマリーがフォローを入れる。マリーのフォローに気を良くしたのかガハハと笑うとガイはいつも通りに戻るのだった。

 砂漠の街を当て所無く歩く一行だったが、やはり空いている宿屋は無い。ならば酒場でもと思っても酒場も無い。

 まるで二十四時間のコンビニが無い地方の町に来たかの様に、フィーナ達は困ってしまった。これはいよいよ野宿確定か……と、力無く街を歩いていると

「お? お前さん方元気でやってるかい?」

 馬車が三台、ザック達の目の前で停車した。

 見れば、馬車の面々は砂漠の王国に来る際に護衛の仕事をしていた隊商のリーダーとその一行だった。

「俺達は明日、帝国に向かうんだが護衛の仕事やるかい? 報酬は金貨十枚だが」

 帝国に帰る方法が無かったザック達にとっては願ってもない提案だった。二つ返事で了解と言おうとしたザックだったが……

「フィーナ、レアさんは大丈夫なのか? 俺達だけ帰っちまって」

 成り行きとは言え一緒に行動していたレアの事を気にしてくれている様だ。

「あの人なら大丈夫です。殺しても死なない様な人ですから」

 フィーナのこの言葉には誇張など何一つ含まれてはいなかった。

 サンドワームに頭からガブリと持っていかれても平然と生還した強者である。

 その光景を目の当たりにしていたザック達にもフィーナの言葉を疑う要素はどこにもなかった。

 まぁ、レアを置いて帝国に帰った事を事後報告して面倒な事になっても困るのでフィーナからも一応断りの連絡を念話でしておく事にした。

(レアさん、聞こえますか? フィーナです)

 思わず口にしない様に最新の注意でレアに語り掛ける。すると何秒も経たないうちに

(はいは〜い! 可愛いママンに何か用かしら〜?)

 ハイテンションなレアの声がフィーナの脳内に響いてきた。

(あ、ママは今、イフリートさんの新居を探しに南の火山島に来ていまーす!)

 ご丁寧にも現在地まで語ってくれた。口振りから察するにイフリートの新しい住処はまだ見つかっていない様だ。

(私達、今日明日には帝国に帰っちゃいますからね?)

 流石にもう何日もレアの事を待つためだけに砂漠の街に滞在したくは無い。

(大丈夫よ〜、テキトーに追いつくから♪)

 そう言うと、レアは交信を切ってしまった。彼女の様子からフィーナが心配する事も無さそうである。

 こうしてフィーナ達は三台の荷馬車に分乗して車中泊そのまま帝都に向かう事となった。



 砂漠の街を立ってからの馬車旅は順調そのものだった。往路とはまるで違い盗賊の襲撃もサンドワームの奇襲も何も無かった。

 やはり歩きと馬車では快適性は全然違い、分乗したフィーナは他に誰も居ないのを良い事に神力でこっそり涼んでいた。

 また、イレーネはマリーと馬車に同乗しており彼女達もイレーネの冷気魔法で涼みながらの馬車旅だった。

 一台、ザックとガイのむさ苦しいコンビの荷馬車だけが、涼めないまま砂漠の暑さに耐えなければならない旅路となった。

 そんな過酷な馬車旅も三日を過ぎると目出度く帝国領に入る事が出来た。

 帝国領は砂漠との境界付近を除けば過ごしやすい気候である。

徐々に増えてくる緑に、フィーナ達の気持ちも涼しいものとなっていくのだった。

 帝都の西門に着いた所でザック達は馬車から降ろしてもらい、金貨十枚の入った小袋を受け取った。

「それじゃ、また機会があったらよろしく頼むぜ?」

 隊商のリーダーはそう言うと、馬車を引き連れて帝都の街中へと消えていった。

「さて、とりあえず冒険者ギルドに行くか」

 護衛仕事の往路分の報酬を受け取らなければならないし、はぐれてしまったビリーとも合流しなければならない。

 ザックの提案に一行は冒険者ギルドに向かうのだった。



 冒険者ギルドに到着したザック達は往路分の報酬を受け取る為にギルドの受付へと向かう。

 冒険者ギルド内はキング戦の直後とは違い大勢の冒険者達が行き交っていた。

 すっかりいつもの帝都の冒険者ギルドに戻ってしまっている。

「いらっしゃいませ! 本日はどの様なご要件でしょう?」

 対応してくれた受付嬢にザックは仕事達成の証明書を提出する。

「こいつの報酬を頼むわ」

 受付嬢は証明書を手にすると、少しの時間の後、小袋を手に戻って来た。

 小袋に入れられていたのは金貨七枚。単なる護衛の仕事としては破格の報酬だ。ザック達が報酬の金貨を確かめていると

「あ、そういえばビリーさんなんですけどね。別のパーティーの人達に誘われて旧市街地の方に行かれたみたいなんですよね」

 受付嬢が思い出した様にビリーの近況について話し始めた。

「なんだか、新人の冒険者の方々と旧市街地の地下でお宝を探しに行くとか……ギルドの仕事としてはただのゴキブリ退治なんですけとね」

 受付嬢の話によるとビリー達新人冒険者達は初心者向けの依頼である巨大ゴキブリ退治を引き受けたらしい。

 そのついでに金目のものがないか物色もしてくるそうなのだが……。

 ちなみに金目のものを見つけて自分の懐に入れればこの世界においても業務上横領になる。

 しかし、ギルドに一旦預けて持ち主が現れなければ発見者のモノとなる。

 現代の硬貨などでは横領もバレにくいのだが、旧市街地で見つかる様なモノは古銭や年代物がほとんどなのだ。

 したがって、換金しようと呑気に店に持っていったりなんかすればたちまち怪しまれてしまうのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ