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異世界転生係で神畜の女神やってます  作者: 大鳳
第二章 ザック編

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砂漠の街

 フィーナとイレーネ、レアの三人による即席の飲みの会は明け方まで及ぶ事となった。

 会話のメインはフィーナとアルフレッドに関する私生活内容であった。

 レアが知っている内容は全てイレーネに筒抜けになってしまったと言える程、殆どを知られてしまった。

 知られていないのはその世界がこことは別の異世界であるという事くらいしか無い程に。

(…………)

 レアに面白可笑しく話されてしまった為、ほんの僅かに残っていたフィーナの自尊心は脆くも崩れ去ってしまっていた。

 イレーネにとっては物語を聞く感覚で聞いていた様だが、当のフィーナにとっては思い出話を脚色されて話されていた。

 そのせいか事実と違うところが多々あったのだが、訂正するのも無駄だと判断し嵐が過ぎるのを待つだけしか出来なかった。

 レアの話が一通り終わったあたりでイレーネが

「でも、アルさんはきっと幸せだったと思いますよ。離れ離れは悲しい事だと思いますけど……」

 果実酒のグラスを空けながらではあるが、彼女は真剣な顔をしてフィーナに話し続ける。

「今もフィーナさんに思われてるんですから、その気持ちは何処に居たってきっと伝わってると思いますよ。あ、私生まれ変わりとか信じてる方なんで」

 酔いが回っているのか饒舌に話し続けている。イレーネは普段の言動から見ると、現実主義者の印象があったが意外とロマンチストなのかもしれない。

 終始弄られるだけだったフィーナだったが、イレーネの最後の言葉には救われた感じがした。

(そう……ですね。私が居なくてもきっと大丈夫……)

 自分は出来るだけの事はした。自分が居なくなった時の事も考えて準備もしていた。

 そんなアルフレッドだからこそ、きっと逞しく生きていく事だと思う。

 そんなやり取りをしていたら、いつの間にか窓の外が明るくなっていたというのが昨夜の経緯であった。



 朝ごはんは小麦粉のツブツブにトマトソースを掛けたもので、昨日の料理との違いは具材くらいのものだった。

 例えるなら昨日の夜が普通のカレーだったとするのなら、朝のものはキーマカレーと言ったところだろう。

 今朝もザック達の期待していたパンに類するものは献立には無かった。

 それがわかった途端にどんよりと重苦しい雰囲気の食卓になってしまったのは誠に遺憾な出来事であった。

「ごちそうさま〜……」

 皆のテンションが低いまま朝食はした。決して不味いわけではなくただ物足りないだけなのだ。

「おばちゃ〜ん、パンとかって無いの?」

 と、イレーネが女将さんに尋ねてみるも

「最近、井戸が枯れてきちまっててね。取水制限があるからパンは焼けないんだよ」

 こんな答えが女将さんから帰ってきた。砂漠の街で井戸が枯れるというのは一大事である。

「ここの井戸水は南の山脈の雪解け水やらなんやらのはずなんだけどね。南の鉱山でもなにかあったらしいし……神様の怒りにでも触れちまったかねぇ」

 女将さんは食器を下げながら最近の街の暮らしについてボヤいていた。

(レアさん、何かやったんですか?)

 女将さんの言う神様にフィーナは直接事情を聞いてみる。当のレアは何も知らないと言った感じで

(わ、私じゃないわよ? それに、異世界の事を全部把握してる訳じゃ無いもの)

 自分は潔白だとレアは主張する。しかし、原因はどうあれ街の井戸が枯れるのを見過ごす訳にはいかない。

「南の鉱山で何かがあったならギルドに依頼くらいあるだろう。行ってみようぜ」

 ザックの提案によりメンバー達は冒険者ギルドに向かう事となった。



 冒険者ギルドに向かったザック達だが、目的の鉱山の調査依頼がしっかりと貼り出されていた。

 仕事内容は連絡が取れなくなった鉱山の調査、原因の特定、障害の排除、と中々に要求項目が多い。

 その割には報酬が角銀貨五枚と中々にしょっぱい。

 帝国とは基本的な貨幣価値が違うからというのもあるのかもしれないが……冒険者ギルドに同郷の者が少ないのもそういった理由なのかもしれない。

「鉱山までは歩いて一日だそうだ」

 街からも南にうっすらと山脈が見えているくらいには近い。

 しかし、砂漠で問題となるのは水であり現在この街では取水制限が敷かれている。そうなれば

「一応、水も売られてるが一日分金貨一枚ってなんだよ。鉱山への往復だけで赤字じゃねーか」

 ガイが冒険者ギルド内で売られている水の値段を見てぼやいた。

 完全に報酬の額を費用が上回っており、これではお金を払って仕事をしてくる様なモノだ。

「フィーナさん、ウンディーネにお水ってお願いできる?」

 イレーネがフィーナに小声で聞いてきた。そんな彼女の問いにフィーナは勝手に無責任な返事をする訳にもいかず


ーシュウウウゥゥゥ……ー


「ウンディーネさん、私達のパーティーは一日にこれくらいの水が必要になるんですが、集めてもらう事は出来ますか?」

 革袋の僅かな水を依代に呼び出したウンディーネにフィーナが身振り手振りを交えながら説明すると

、ウンディーネはうへぁ……という様な表情をしてみせた。

 しかし最終的には自分を鼓舞する様にやってみせると頷いてくれた。

「ウンディーネさん、頑張ってくれるそうです」

 フィーナの答えにより、ザック達のこれからの方針が決定した。

 これから鉱山地帯に向かい音信不通の原因を探って来る事となった。

「それじゃ、行くとするか」

 ザック達は全員フード付きのマントを装備して南にあるという鉱山地帯に向けて出発する事となった。



 砂漠は流石に熱く目的地の山が見えているから道に迷う事は無いとは言え、当然ながら日差しは強烈である。


ーザッザッザッザッ……ー


 砂漠用のマントは日差しを防ぐ事を主眼に置いている為、白っぽく薄手なので多少は日差しを和らげてはしてくれるものの、やはりかなり暑い。

 フィーナが暑いのだから、鎧を着込んでいるザックは相当なものだろう。

 正直、馬でも借りれば良かったのだろうが費用の関係で諦めざるを得なかったのが悲しいところだ。

 もちろん金に糸目をつけなければいくらでも馬など借りられる。その気さえあれば馬車も借りられるだろう。

 しかし、収支でマイナスとなる行為はメンバーの誰もが気が進む選択肢ではなかった。

 砂漠を行くもう一つの気がかりと言えばサンドワームの存在だった。

 それに関してはレアがノームを呼び出し地中を調べてもらいながら歩いているのでそこは大丈夫なはずである。

 元々のサンドワームの生息地はここから東に行った砂漠の一角らしいので襲われる可能性は低いはずだ。

 また、ノームには地下水脈の状態も調べてもらっていた。砂漠の街への水の供給が少なくなっている原因が何かあるかもしれない。

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