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異世界転生係で神畜の女神やってます  作者: 大鳳
第二章 ザック編

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力技

 地中の敵をどう倒すか、岩の上の面々は皆で集まって打開案を話し合う事にした。

 レアが犠牲になった事とフィーナのウンディーネが集めた水を人々に飲ませた事で冷静さを取り戻したというのもある。

 イレーネの魔法で何とかならないかという意見が多かったが、彼女から地中を攻撃する方法は無いとキッパリ言われてしまった事で一同途方に暮れているところである。

「じゃあ、奴らを地上におびき寄せてそこを叩くってのはどうだ?」

 盗賊の一人が自身の考えを口にした。

「おびき寄せるってどうやってだよ? お前、散歩でもしてくれんのか?」

 隣の盗賊が冗談交じりに反論する。確かにおびき寄せるのはいい考えだろうが、肝心のおびき寄せる方法が無ければただの机上の空論でしかない。

(…………)

 フィーナはその光景を心此処にあらずといった様子で眺めていた。

 正直なところ、レアが行方不明となってしまっている事にかなり動揺していた。

 なんだかんだと天界からサポートしてくれたレアが居ないというのは本当に自分の力だけで困難に対処しなければならない事になる。

 あまりに初めての事とレアがどうなってしまったのかが気になり過ぎて何も手につかなくなってしまっていた。

 膝を抱えて座りながらフィーナはやや放心しながらレアなら大丈夫だと思う反面、直接交信を試みても無反応というのがフィーナの不安を増大させていた。

「フィーナさん、大丈夫ですか……?」

 マリーが一人でポツンとしていたフィーナに遠慮がちに話しかけてきた。

 肉親を失ったばかりのフィーナになんと話しかけたら良いのか分からず、気を使っていたのだろう。

 それでも彼女が声を掛けてきたという事は、それほど心配されてしまうほどにフィーナが酷い顔をしていたに違いない。

「す……すみません。今は何も考えられなくて……」

 話し掛けられたフィーナはマリーの顔を見る事無く返事をした。

 泣いてこそいないが暗い顔をしているのは自覚していた為、今皆で頑張ろうという時にそんな顔を見せたくなかったというのがあった。しかし

「私は簡単に頑張って下さいとかは言えません。ですが、悲しんでいる方を放っておく事は出来ないんです」

 マリーはそう言うとフィーナの額に手を添えて何かの文言を唱え始めた。


ーパアアァァー


 彼女の手がぼんやりと光り始めるとフィーナの心から悲しみは消えないまでも動揺する落ち着かない気持ちは徐々に薄れていった。

「こ、これは……?」

 何を受けたのか分からないフィーナが戸惑っていると

「私の先生が教えて下さった神様の奇跡の一つです。先生は精神に与える癒しと言っておられました」

 マリーは自分の先生から教えてもらった一般的にあまり知られていない神からの奇跡である事を語った。

 精神を落ち着かせる方法がある事はフィーナですら知らなかった。人々の発想力にフィーナが驚いていると


ードオオォン!ー


 痺れを切らしたのかサンドワームの内の五匹が地中から半身を出し、岩場の上の人々に襲い掛かってきた。

 しかし人々のいる場所までは頭部が届かない様で舌を伸ばしてちょっかいを出す程度しか出来ていない。

 その舌によるちょっかいも頭部から伸ばしているだけなのでザックとガイ、小刀を持った盗賊達に全て防がれていた。

 イレーネも千載一遇の好機とばかりに魔法の詠唱を始めていたが、何かを察知したのかサンドワーム達は土の中へと戻っていってしまった。

「フィーナさーん! ウンディーネさんに水を集めて貰って良いですかー? おもいっきり沢山お願いしまーす!」

 何かを思い付いたのかイレーネがフィーナに指示を飛ばしてきた。

「ウンディーネさん、暑いですが頑張って下さい」

 何かを考えたりする力が低下しているフィーナは言われるがままウンディーネに水を集めさせる。

 砂漠で水を集めさせるのはブラック企業も真っ青な無理難題かもしれないが仕方が無い。

 神力でフォローしつつウンディーネに労働を強いるフィーナは少なくない罪悪感を感じていた。

 ウンディーネの献身的な尽力によりウンディーネの頭上には前回を上回る量の水が集められていた。

「イレーネさん! これで良いですか!」

 フィーナは集める水の量がこれで良いかイレーネに尋ねる。確認を求められたイレーネはウインクと共に親指を立てフィーナに了解の意思を示した。そして

「その水、出来るだけ高い場所に上げて下さーい! 上げられるだけ上の方に!」

 新たな指示が飛んできた。フィーナは訳が分からないまま言われた通りにウンディーネに空に上がって貰うように指示した。


ーシュウウウゥゥゥ……ー


 フィーナの指示にウンディーネは素直に従い集めた水と共に上空へと登っていく。

 大きかった集めた水の玉が豆粒に見えるほど登った辺りでイレーネから

「はーい! 大丈夫でーす! それじゃマリーはみんなの頭の上に聖なる壁の魔法の準備おねがーい!」

 今度はマリーに要請である。イレーネが何をしようとしているのかさっぱり見当がついていないフィーナはただ流れを見守るのみ。

 少し落ち着いたとは言えレアの事が気にならなくなった訳ではない。むしろ、未だに連絡がない事に事態の異様さを感じ始めていた。

 出来る事なら天界に戻って今すぐ上司にレアの行方不明を伝えたいと思う。

 しかし、ここで天界に帰るのは自分が女神である事がバレるバレないに関わらず出来るはずが無い。

 一生懸命に生きようとしている人達を見捨てる事など出来るはずがない。

 第一、フィーナはまだ死力を尽くせていない。出来る事があるのに人目を気にして実行していないだけなのだ。

 それは光弾を無数に生成して辺り一帯にバラ撒くという力技である。

 神力ギリギリまで使う程生成すればきっと撃ち漏らし無くサンドワームを一掃出来るとは思う。

 人目が無くなる夜間なら多分実行は出来るはず……と最悪のプランは考えてある。

 それでも駄目なら皆が寝ている間に帝国領にまとめて転移してしまう方法もある。

 それは流石に最後の手段ではあるのだが……転移してここを切り抜けられたとしても後々同じ事が繰り返される可能性がある。

 やはり問題は解決しておきたい……フィーナがそんな事を考えているとイレーネの魔法の詠唱が終わった様だった。


ーブウウウゥゥゥンー


 彼女の足元には魔法陣が展開され青白い光を放っている。


ーブウウウゥゥゥンー


 同時にマリーの足

元にも金色に輝く法陣が展開されていて、何が起きるのかと隊商のメンバー達も盗賊達も皆が固唾を呑んで見守っていた。

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