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異世界転生係で神畜の女神やってます  作者: 大鳳
第二章 ザック編

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退場

「魔術師の嬢ちゃん、やるじゃねぇか!」

「俺達はこんなパーティーを相手にしようとしてたのか……」

「味方だから頼りになるが敵だったらと思うとそら恐ろしいな」

 サンドワームを倒すキッカケを作ったフィーナには注目は集まらず、派手に敵を葬り去ったイレーネに周りからは歓声が上がった。

 隊商のメンバーも盗賊達もやんややんやとお祭り騒ぎの様だ。

「姉ちゃん! すげえじゃねぇか!」

「ちんちくりんなのにやるなぁ!」

「他のバケモンも片付けられねぇか?」

 魔法を撃ち終えたイレーネに男達が群がり、まるでアイドルのライブ会場の様な有り様となっていた。

「魔法を使ったイレーネさんはすっごく疲れてるんでーす! 今は休息を取らせてあげて下さーい!」

 質問攻めにされているイレーネを守る為に男達に距離を取らせるマリーはまるでイレーネのマネージャーの様だった。

 握手会が終わって楽屋へ戻るアイドルを気遣うかの様に、二人は岩場の日陰の部分に行ってしまった。

 サンドワームを一匹仕留めはしたが、付近にはまだまだ潜んでいるのは明白だった。

 それらを全て始末しなければ誰もこの岩場からは逃げる事は出来そうに無い。


ージリジリジリジリ……ー


 加えて炎天下の砂漠であるという現実がここに居る者達に重くのしかかり始めた。

「これから俺達はどうすりゃ良いんだ?」

「根気強く待っていればまた誰が通り掛かるに決まってるさ!」

「だが、そいつらが襲われたらどうする?」

「俺達、全員ここで干からびてお陀仏だ」

「カシム! てめぇの口車にのって呪われた街道に行ったからバチが当たったんだ!」

「なんだとぉ! お宝ザクザクだって喜んでたじゃねぇか!」

 血気盛んな盗賊達は諍いを始めた。それを止めるべき首領は生き残った部下達の数を改めて確認して呆然としている。

 四十人は居た大盗賊団がほんの僅かな時間の間に数人程度に減ってしまっていたのだ。

 もはや、盗賊団としての組織自体が存続不可能な程に崩壊してしまっていた。

 諍いというのは伝播するもので、盗賊達の争いは隊商のメンバーに、そしてザック達パーティーにも波及しようとしていた。

 岩場に逃げる事を提案したザック達に隊商のメンバーや盗賊達がこれからどうするのか詰め寄り始めたのだ。

「おい! これからどうすんだよ!」

「こんなトコに連れ出されて、干からびて死ぬなんてゴメンだぞ! 責任取れよ!」

「こんなに急いで逃げる事無かっただろ? もう少し馬車で粘っても良かったんじゃ……」

「せめて食料くらい運び出しても良かったんじゃないか?」

 盗賊達だけでなく隊商のメンバーも不満を口にし始めた。自分達の今後と命が掛かっているとは言え、既に馬車が破壊されている現実は彼らの中では無かった事になってしまっている。

 詰め寄ってくる大勢の人間に対し口が上手くないザックとガイでは彼らを上手くあしらう事など出来るはずもなく、岩場の上は一触即発の事態となっていた。その時

「止めなさい! 喧嘩してる場合じゃないでしょう!」

 集団の様子を遠巻きに見ていたレアが一喝した。

「あなた達は人間でしょう! 力を合わせて助け合ってこそでしょう? ゴブリンやオークとは違う理性のある生き物なんだから!」

 レアは中々力を使おうとしていなかったが、もしかしたら人々の力で困難を乗り越えて欲しいと考えているのかもしれない。

 壁に直面した人間を全て神が助けていたら、人間は成長しないしずっと手が掛かるままだ。

 人間の成長は彼女の仕事の負担を減らす事にも繋がる。そういった意図があっての行動をしているのかもしれない。

 「サンドワームを倒すには地上に出すしかないの! その為には皆で方法を……」


ーバクッ!ー


 突然彼女の背後に現れたサンドワームがレアを頭から丸呑みにしてしまった。サンドワームは頭を上に向けながらレアを飲み込みつつ地中へと戻っていってしまった。

「れ、レアさん!」

 フィーナが状況を理解した時にはレアを飲み込んだサンドワームは完全に地中に逃げてしまっていた。

(ミレットさん? レアさんはそっちに帰りましたか?)

 突然の事に慌てかけたが、天界のミレットに確認するフィーナ。丸呑みにされても天界に帰ってしまえば問題は無い。

 こちらの世界で身体の一部が捕まえられていたりだと、転移は出来ないが丸呑みされただけなら大丈夫なはずだ。しかし

(えーと、帰ってきてないですね。何かあったんですかぁ? ……ニャ)

 ミレットはこちらで起きた事は何も知らないらしい。分かった事はレアがまだサンドワームの体内にいるかもしれないという事である。

(レアさん聞こえますか! 早く脱出を! レアさん!)

 フィーナは岩場の淵に移動してレアを捕食したサンドワームが潜っていった地面を必死に探す。

 しかし、別段印がある訳でも無く穴が残っている訳でもない砂漠の砂地に痕跡など残っているはずもなかった。

「フィーナさん! 何かあったんですか?」

 日陰から戻ってきたイレーネとマリーがフィーナの様子がおかしいのに気が付いたらしく駆け寄ってきた。

 頭の中で必死にレアに呼びかけていたフィーナはイレーネ達が近付いてきたのに中々気づかなかったが

「フィーナさん!」

「え? あ……!」

 イレーネに大きく肩を揺さぶられてフィーナはようやく我に返る事が出来た。

「あ、レアさんがサンドワームに拐われて……」

 状況が信じられないフィーナは震えながらイレーネ達に今起きた事を説明した。話を聞いた二人も青ざめてしまったが

「今は生き残る事を考えましょう! フィーナさんも気をしっかり持って!」

 イレーネはフィーナの両肩に手を置いて言い聞かせる様に大きな声を掛けた。

 彼女達からすればフィーナの実母がサンドワームの餌食になってしまったという事で、普通なら掛ける言葉にすら迷う状況のはずだ。

 それでもフィーナが何をすべきか最優先すべき事を教えてくれている。

(そ、そうですね。今は生き残る事を考えないと……)

 慌てかけていたフィーナはなんとか自分のすべき事を思い出す事が出来た。

 とりあえず砂漠に居る以上は必要なのは水!と、ウンディーネに水の収集を指示するのだった。

 しかし、水を確保したところでいつまでも強い日差しの下、岩の上にいる訳にもいかない。

 せめて土の上だったら穴を掘る事で日差しを防ぐ方法はあるのだが……。

 まさか神力でテントやコテージを作り出す訳にもいかない。しかも岩の上に避難したとは言え完全に安全という訳ではない。

 地中からの舌による奇襲を防げるだけで、本体そのものを地上に出されたらこの岩の高さでは気休めにもならない事が分かってしまった。

 やはりなるべく迅速にサンドワームを始末しなければならない訳だが……

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