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異世界転生係で神畜の女神やってます  作者: 大鳳
第二章 ザック編

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前哨戦

 他のパーティーは魔法で先制攻撃を仕掛けているのにイレーネはまだ魔法の詠唱を続けて魔力を溜め続けていた。

 魔法の先制攻撃の余勢をかって、戦果拡充の為に戦士達が突撃を開始したのにも関わらずである。

「イレーネ! なんで撃たないんだよ! チャンスだぞ?」

 魔力を溜めるばかりで一向に撃つ気配が無いイレーネにビリーが催促する。

「いーの。他所は他所、うちはうちなんだから」

 ビリーの催促にもイレーネは全く動じない。マイペースそのものであった。

 敵集団に向かっていたパーティーが敵を剣の間合いに捉える程接近したその時、敵集団から少なくない数のタイラントスパイダーが飛び上がりパーティーの頭上を越えて背後に回った。

 どのパーティーも戦士を戦闘に突撃していた為、後列は近接戦が苦手な者ばかりだった。

「それ行け! マジックミサイルちゃん!」

 タイラントスパイダーに前後を挟まれた冒険者パーティー達に向けてイレーネがマジックミサイルを放った。


ーピュピュピュピュピュン!ー


 無数に放たれた緑色のマジックミサイルの塊は正確無比に後ろを取ったタイラントスパイダーに向かって飛んでいく。


ーバーン! バーン! バァーン!ー


 着弾と同事に魔力爆発を起こしタイラントスパイダーを次々と吹き飛ばしていった。

「イレーネさん! これ!」

 マリーがマジックポーションをすかさず差し出した。イレーネは微妙な表情でそれを受け取り


ーゴクッゴクッ!ー


一気に飲み干しそして一言。

「にがーい! フィーナさーん、お水ー!」

 一言どころではなかったイレーネの反応にフィーナは水の入った革袋を差し出した。

 イレーネは革袋の飲み口から水を勢い良く飲み始め

「っぷはぁ〜! 生き返るわ〜!」

 満足そうな笑顔で革袋をフィーナに返してきた。

「あ、それ全部あげます。また使うでしょうから……」

 フィーナはそう言うと敵集団に向かったザックとガイの援護の為に自身も前線に向かう事にするのだった。



 フィーナが前線に着くと、ザックとガイがタイラントスパイダーに斬り掛かっていた。

 今日は二人共金属製の楯を構えており、防御に重点を置いているのが明白だった。

 糸による攻撃も楯で受け止め剣で断ち切る戦い方をしており、ビリーの援護も手伝って危な気なく戦えていた。

「よう! ザック! ちまちま戦ってたら俺達が獲物取っちまうぜぇ〜?」

 近くで戦っている真紅の暴凶星団のラルフが煽りがてらザックに声を掛けてきた。

「覚悟しろや! この蜘蛛野郎!」

「死にさらせ! 化け物が!」

「何匹でもかかってきやがれ! 片っ端からぶっ殺してやる!」

 ラルフの仲間の戦士達もノリノリでタイラントスパイダーの集団と戦っているものの非常に危なっかしい。

 彼らの武器は戦斧だったり両手剣だったりハンマーだったりと重量のある両手用の武器ばかりで防御など全く考えていないものだった。

 当然多数を相手取っていつまでも優勢でいられるはずもなく

「うわあ〜っ!」

「糸が糸が! 離しやがれ!」

「くそっ! ラルフ! なんとかしてくれぇ〜!」

 案の定である。三人とも糸に巻かれてしまっていた。

「サラマンダーさん、あの人達の救助をお願いします。」

 フィーナは溜め息混じりに彼らの救助をサラマンダーに指示した。

 知らない仲では無いし眼の前で死なれても気分が良いものではない。

 当のサラマンダーもあまりやる気か無いのか三人に巻き付いた糸を雑に焼き払っていた。

「あちゃちゃちゃちゃ!」

「うぎゃあ〜っ! 髪が燃える〜!」

「もう少し配慮ってモンを……あちい〜!」

 軽口が叩けるならまだ無事な証拠ではある。

 とりあえずまた糸に巻かれても困るのでサラマンダーは赤色巨星の面々の所で援護させる事にした。

 フィーナの位置からは戦場が程よく見渡せた。前線でタイラントスパイダーと戦うザックとガイとビリー。

 後方で魔法の連発を試みるイレーネとマリー。サラマンダーの援護下にある赤色巨星の面々。

 さらに他の冒険者達の動向や後方の軍隊の様子までしっかりと見通す事が出来ていた。

(この調子なら問題は無いかもしれませんね)

 フィーナが周りを見て敵も近くに居ない事に安心していると敵集団の後方に土煙が上がっているのが見えた。

 しかし、他には何かがあった様子も無くフィーナは周囲の確認を続けていた。


ーブワッ!ー


 突然すぐ近くの何も無い場所から土煙が発生した。事態が飲み込めないフィーナが後ろに飛び退くと土煙の中から糸が飛んできてフィーナの足に絡みついた。

「あっ!」


ードサッ!ー


「うぐっ!」

 フィーナは成す術無く地面に尻もちをつかされてしまった。

 土煙が収まった糸の先にはタイラントスパイダーが地中からフィーナの様子を窺っているのが見えた。

 タイラントスパイダーは地中も移動出来るらしい。

「くっ!」

 フィーナはすぐさまタイラントスパイダーに向け光の矢を放つ。


ーバシュウゥゥゥ!ー


 光の矢を受けたタイラントスパイダーは胴体を抉られて動きを止めた。足に絡みついていた糸を神力の炎で焼き払ったフィーナは

「土煙に気を付けて下さい! 地面の下から来ます!」

 地中から敵が来る事を周囲に呼びかけた。

 フィーナが周りに呼びかけた事で声の届く範囲に居た冒険者達は地中からの奇襲に警戒出来る様になった。

 その後は、土煙の中から現れたタイラントスパイダーは半ばリスキルに近い形で冒険者達に討ち取られていったのであった。

 最初期の奇襲で何人かの冒険者が地中に連れ去られてしまったが全体的に見れば被害は少なかった。

 後ろからマジックポーションガブ飲み魔法で支援するイレーネの働きもあって、タイラントスパイダーは徐々にその数を減らしていった。

 だが、その時地響きと共に土埃が戦場に舞い上がった。


ーズシィィィン!ー


 土煙を舞い上がらせ地中から現れたのはかなり大型のタイラントスパイダーだった。

 五十メートルはあろうかという巨体から繰り出される脚による薙ぎ払いは近くに居た冒険者達をいとも簡単に薙ぎ払っていた。

 また地面に倒された冒険者の中でも運の悪かった者はキングの脚によって簡単に踏み潰されていた。

 そのあまりの大きさと凶暴な戦闘力に冒険者達は恐慌状態になりかけていた。

 キングの八つの目に睨まれた若い女の子の冒険者などは蛇に睨まれた蛙の様に身動きが取れなくなっている。

「冒険者達! 左右に散れ! 本隊が突撃する!」

 フィーナ達の後ろから下士官の叫ぶ声が聞こえてきた。

 さらにその後ろから大盾と長槍を構えた重装歩兵の密集方陣が戦線に上がってくるのが見えてきた。

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