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異世界転生係で神畜の女神やってます  作者: 大鳳
第二章 ザック編

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後始末

 ガイに担がれたフィーナは洞窟の外に運ばれたところで下ろされた。

 地面にへたり込んだフィーナをマリーに任せるとガイは再び洞窟へと潜っていく。

(あ……!)


ーボウッー


 少し落ち着きを取り戻したフィーナはサラマンダーを呼び出し洞窟内のメンバーの援護に向かってもらう事にした。

「フィーナさん、大丈夫ですか……?」

 マリーは洞窟に残った皆の事が気になっている様だが、それでもフィーナに付き添ってくれている。その時


ーガサガサー


 森の向こうから何かが近付いてくる音が聞こえてきた。マリーが錫杖を手に物音のする方向を注視していると

「あ……マリー。皆は?」

 集落で別れたビリーがやってきた。彼は状況が何も分かっていなかったが

「ビリー! 冒険者ギルドに行って助けを呼んできて! 中にタイラントスパイダーが居るの!」

 マリーがビリーに助けを呼ぶよう告げると彼はいわれるがままに集落の方向へ駆け出していった。

 集落に近い洞窟にゴブリンが居ても問題だがタイラントスパイダーが住み着いていたのであっては大問題であり、そのまま見過ごしなど出来ない案件である。

 冒険者ギルドに救援を要請すれぱきっと人員は向かわせてくれるだろう。

 もしかしたら帝国軍案件になるかもしれない。それだけの非常事態になりかねない状況であるとは言える。

「み、皆さんは大丈夫なんでしょうか……?」

 フィーナは洞窟に潜っているザック達の事が気になり始めた。マリーがここに居るから全滅は無いとは言え、不安で有る事に変わりは無い。

 少し待っても誰かが戻ってくる気配は無い。マリーが意を決して洞窟に入ろうとした時

「たあぁぁぁーっ!」

「バーニングウォール!」

「うおりゃあぁぁーっ!」

 洞窟の奥から三人の戦う声が聞こえてきた。三人の無事に安堵するフィーナとマリーだったが、入り口の近くで戦闘の音が聞こえると言う事は敵もこちらに迫っているという事になる。


ーゴオォォォー


 洞窟の奥に火の手が見えたと思った時にはザック達が次々と洞窟から飛び出してきた。最後尾はイレーネとサラマンダーだった。

「サラちゃん! ありがとー!」

 イレーネはサラマンダーに何かお礼を言っている。

 洞窟の中で何があったかは分からないが二人の間に信頼関係を築く様な出来事があったのだろう。

 サラマンダーはイレーネに手を振るとフィーナの前にやってきて軽く会釈をして消えていった。

「でもどうすんだ? 火が収まったらあいつらも飛び出してくるぞ!」

 ガイが洞窟の様子を伺いながら叫ぶ。

「ここで待ち構えて一匹ずつ叩くか?」

 ザックの提案はあまり現実的ではない。敵がわざわざ一匹ずつやられに来るだろうか?

 洞窟の入り口はそれほど広くは無いが天井も入れればタイラントスパイダー二匹は通れるくらいの広さはある。

 待ち伏せはあまり良い選択肢であるとは言えない。

 また、魔法の火で防ぎ続けるのも持続時間という点で考えると救援が来るまで保たせるには無理がある。

 燃やし続けるのが難しいならいっその事、入り口を崩してしまえば良いんじゃないかとフィーナは思い付く。

 土の精霊ノームにお願いすれば落盤事故くらいは起こせそうだ。

 しかし、それではただ単に臭い物に蓋しただけで何の解決にもなっていない。

 タイラントスパイダーが地面を掘れるのかは分からないが埋めたところで気分の良いものでは無い。

 火も駄目、土も駄目……次にフィーナの思考が行き着いたのは当然水だった。しかし水でどう防げばいいのか……?

 土の精霊に洞窟の通路を整備してもらい一部が水没するようにすれば……いやいや、手間が掛かり過ぎる!……と、フィーナの思考はすっかり迷子になってしまっていた。

「おいイレーネ。お前、氷で壁作ったりとか出来ないのか?」

「魔力で水を生み出すのにどれだけ苦労すると思ってんのよ。冷気だけならともかく氷の壁なんてムーリー!」

 ザックとイレーネのやり取りがフィーナの耳に聞こえてきた。

「水なら……私が精霊さんにお願いします!」



 フィーナは腰に下げてある水袋の水を依り代に水の精霊を呼び出した。

 水を纏った女性の姿をした青い色をした精霊がフィーナの眼の前に浮かび上がる。

「ウンディーネさん? あそこの洞窟の入り口に水を沢山集めて貰えませんか?」

 フィーナの指示を聞いたウンディーネは位置につくと素直に水を集め始めた。その間、イレーネとマリーもそれぞれの役割を果たすため魔法を唱えていた。

 イレーネは水を凍らせるための冷気の呪文。マリーは聖なる壁二枚を洞窟の入り口に張る準備である。

「ホーリープロテクト!」

 マリーの聖なる壁は程なくして完成し洞窟入り口の地面から天井まで完全に塞いでしまった。

 そうしている間にもウンディーネはひたすらに水を集めており洞窟の入り口を塞ぐほどの巨大な水の球が生成されていた。

 そしてマリーの聖なる壁が再び展開され水の玉を聖なる壁二枚で挟み込む格好となった。

 しかし、フィーナはまだウンディーネに水集めを止める様には指示しない。

 やがて水の玉が聖なる壁二枚に挟まれた空間を完全に満たした時、フィーナはようやくウンディーネに水集めを止めさせたのだった。

 そして最後はイレーネの冷気の魔法に全てが賭けられる事になった。イレーネの足元には青く光る魔法陣が浮かび上がっている。

「皆! 離れて! 特に水の精霊さん、凍っちゃうからね!」

 洞窟の入口の外で中からの襲撃に備えていたザックとガイ、そしてなんとなく集めた水の側にいたウンディーネが急いでフィーナ達の元に移動する。 魔法の範囲に誰も居なくなった事を確認したイレーネは

「アブソリュートフリーズ!」


ーキィィィン!ー


 イレーネが魔法を完成させると、彼女が杖を向けた方向の一定範囲が完全に凍りついていた。

 ウンディーネが集めた水はもちろんの事、範囲内に会った草木や地面…空気中の水蒸気に至るまで全てが凍りついていた。

 少し離れているフィーナでも肌寒く感じる程だ。中の様子は分からないが、これなら洞窟の入り口を突破される心配は無い。

 フィーナ達はこうして洞窟の入り口を見張りながら、ビリーが連れてくるであろう救援を待つのであった。

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