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走るのが好きなのでAGIに全振りしました  作者: 藍色黄色


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第99話

【アイセ】Ideal self online part2223【アイディアルセルフオンライン】


221名前:理想の自分

なんかすごいのいた

002.jpg


222名前:理想の自分

きれいな鹿だな。銀河の星雲みたいだ


223名前:理想の自分

俺もその鹿見た。すっごい存在感だったな


224名前:理想の自分

となりに立ってるの例のくノ一の子じゃね


225名前:理想の自分

じゃくノ一のペットか


226名前:理想の自分

いやペットではなかったぞ。詳細情報みたらただのエネミーだった。そんで名前ゼルニーオな


227名前:理想の自分

エネミーがおとなしく船乗ってんの草


228名前:理想の自分

ゼルニーオってレイドボスと名前一緒じゃん


229名前:理想の自分

胴体が星雲っぽい模様なのも一緒だな。同一個体か?


230名前:理想の自分

アルボロスの方は消滅しただろ何言ってんだ


231名前:理想の自分

じゃ別個体か。声かけたらユニーククエスト受けられたのかな


232名前:理想の自分

もったいないことしたな。もしかしたらペットにできたかもしれないのに

もう少しでイベントくるのにもったいない


233名前:理想の自分

>>232

大事なことだからって二回言うなよへこむわ


234名前:理想の自分

あーあ、レイドボスが味方になったら最強だったのに。


235名前:理想の自分

だからもう言うなって

俺もう一度船乗ってくるわ。ゼルニーオいてくれますように


236名前:理想の自分

無理だろうなぁ。船乗ったってことはどこかに行く最中だったろうし

まあ何というか元気出せよ。またいいことあるさ





 私はラティカからの船で妖華に戻った。


 港につくなりカラスが飛んできた。足にくくりつけられていた手紙を読むと、そこには小夜さんが目覚めたと記されていた。


「小夜さんの様子を見に行きたいんだけどいいかな?」

「ああ。だが私まで一緒に行くと騒ぎになりそうだな」

「そうだね。どうしよっか」


 せっかくできたペットだけど、ゼルニーオは見世物にされるのを嫌がるだろう。


 でもマイルームで待機も味気ないなぁ。


「用事が終わるまで角の中で待機するてもあるぞ」

「そんなことできるの?」

「すでに私の分霊が入っているのだ。封印の縄を解けばできない道理はあるまい」

「確かに。待ってて、今縄を外すから」


 ポーチから簒奪者さんだつしゃ枝角しかくを出して実体化させた。縄をほどいてゼルニーオにかざす。


 神秘的な様相が霧と化して角に入った。


「すごい、本当に入れるんだ」


 テイムできたし縄はもういっか。


 縄と角をポーチに戻して邸宅におもむいた。長久さんとあいさつを交わして別棟まで歩く。


 案内を受けた部屋には小夜さんがいた。


 凛とした顔つきに微笑が浮かぶ。


「ヒナタ、よく来てくれた。元気そうで何よりだ」

「体はもう大丈夫なんですか?」

「ああ、すっかり元通りだ。二度と仮面が出せないくらいにな」


 思わず苦笑いする。


 クールな雰囲気にそぐわないブラックジョーク。小夜さんも冗談を言うんだなぁ。


 長久さんがごゆっくりと告げてどこかに歩き去る。


 私は小夜さんと同じテーブルをはさんで座った。お茶と茶菓子を持ってきた男性に会釈して小夜さんに向き直る。


「まずは謝らせてくれ。鬼に堕ちていたとはいえ襲ってすまなかった」

「いいですよそんなの。傷なんて負いませんでしたから」

「気持ちの問題だ。多大な迷惑をかけたことに変わりはないし、謝らないと私の気がすまない。詫びの品を用意したいところだが、鬼の討伐にじゅんじるつもりだったからふところに余裕がなくてな。何かこれというものがあったら言ってくれ」

「そうですね……」


 お詫びなんていらないけど、断るとわだかまりが残りそうだしなぁ。


 そうだ。


「じゃあ、また小夜さんの弟子にしてください」


 小夜さんが目を丸くした。


「弟子?」

「はい。一度破門にされたでしょう? なのでまた弟子にしてほしいなって」

「いや、あれは私から遠ざけるために言ったのであって、本気で破門にしたわけではないぞ」


 それは知ってる。


 分かった上で言葉をつのらせる。


「それならとっておきの忍術を教えてください。それがお詫びの品ってことで」


 小夜さんが目をぱちくりさせる。


 やがてくすっと小さく笑った。


「あ、小夜さんが笑った!」

「何を突然。私だって笑うぞ」

「ずっと笑わなかったじゃないですか。小夜さん笑うとあどけなさ出ますね」

「やめてくれ、恥ずかしいだろう」


 白い肌がお風呂でのぼせたみたいに紅潮する。


 あらためて見ると宮嵜さんに負けないくらい肌が白い。ずっと人目を忍んで鬼を狩り続けてきたからあんまり日光に当たってないのかな。


 小夜さんがわざとらしく咳払いした。


「分かった、弟子にするからもうやめてくれ」

「照れる小夜さんかわいいですね。あ、弟子の話はなかば冗談なので、本当に迷惑だったら断ってくれてもいいですよ」

「いいや、ここまでされたからには今さら撤回など許さん。覚悟してもらおう」


 小夜さんの表情がすん、と真顔に落ち着いた。


 あれ、これ私怨しえん入ってない? 


 ちょっといじりすぎたかな。


「あの、小夜さん?」

「どうしたヒナタ、冗談だぞ。そうこわばった表情をするな」

「そうですよね。あははは」

「はははっ」


 乾いた笑いが室内の空気をにぎわせる。


……ほんと? 


 本当に冗談? 信じていいんだよね?


「冗談はさておき真面目な話をしよう。ヒナタに技を教えることはやぶさかじゃない」

「本当ですか」

「ああ。だが忍術ではない。感じるのだ、鬼との決戦が近いことを。おそらくそう遠くない内に大きな争いが起こる。おそらく忍術の完成は間に合わない」


 それってイベントのことかな。


 確かに今からだと間に合わないかもしれない。忍術っていかにも難しそうだし。


「しかし別種の技なら教えられる。今のヒナタからは妖力に近いものを感じる。あの話をした後だ、よもやアーケンから施術を受けたわけでもあるまい」

「そうですね、さすがにあんな人の誘いには乗りません。従属の契約でしたっけ? それをゼルニーオと交わしたことが影響してるんだと思います」

「それは宝玉に宿っていた悪霊の名前だろう? 祓わなかったのか」

「はい。言葉で分かってくれたので」

「そうだったか。契約を交わしているなら裏切られることもないだろうし、むしろ好都合だな。ヒナタには仮面の作り方を教えよう」

「本当ですか⁉」

「ああ」


 意図せず口角が上がる。


 ついに私もあの高速移動ができるようになるんだ。胸の奥が高鳴って止まらない。


「いつからやります? 今ですか?」

「元気いっぱいだな。予定は空いているしそうするか」

「はい!」


 私は小夜さんと別棟を後にする。


 長久さんに話を通して邸宅を出た。

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