パーティーメンバーの中で一番地味(?)な斥候ですが、一応(自称)腹黒策士キャラです。
お久しぶりです。
スランプ中島田です。生きてます。
中々抜け出せすトロトロ書いてますが、今後もお付き合いくださいませ!
それでは、リーフ視線(短め)です。
よろしくどうぞ( ・∇・)ノ
明日の午前中に予定があるからと、冒険者ギルドで依頼達成報告をするや否や、ギルドから紹介を受けた宿屋へと向かっていったレインとソフィア。
その後ろ姿を見送ったーー結構長く一緒に依頼を受けていたのに「じゃあな」とあっさりと別れられた《獅子の牙》一行は、なんとも言えない気分のまま……ギルドに併設された酒場で打ち上げを開始するのだった。
「取り敢えず、依頼達成お疲れ!」
エイジンの音頭に合わせて、皆がグラスを持ち上げる。
リーフは赤ワインを注いだワイングラスを揺らし、そっと口をつけーー。
ーーゴンッ!
ようとして、テーブルにグラスを叩きつけたアリステラの所為で、手が止まる。何事だと思ってそちらを見てみれば……アリステラは顔を赤くしながら、ムスッとしていて。
まぁ、そんな顔をしていれば他のメンバーも気づく訳で……彼女の隣に座ったルルが、キョトンとしながら首を傾げた。
「……どうしたの?」
「…………折角、一緒に依頼をこなしたのに……! 打ち上げに参加せずに行っちゃうなんて……薄情ですよ……!」
「「………」」
「それもっ! あんなアッサリお別れするなんて! もうちょっと何かないんですかぁ、むぅぅぅぅぅ!」
変な鳴き声をあげながら、不満を爆発させるアリステラの姿にリーフとルルは思わず〝コイツ、酒飲んでのかな?〟と不安になる。この国の成人は十六歳であるため、彼女が酒を飲んでも問題ない。
だが、成人祝いで飲んだ時に、アリステラはとんでもなく酒に弱いことが発覚した。今回もそれかと思って、ルルがグラスの中の匂いを嗅ぐが……どうやら普通のお茶らしい。
それをアイコンタクトで伝えると、リーフは驚きに目を見開く。
つまり、これは素面ーー……。
どうやら場酔い(?)したらしい妹分の様子に、リーフとルルは〝おぅ……〟となんとも言えない顔になった。
だが、エイジンはなんとも思っていないらしい。それどころか「確かになぁ〜」と暢気に頷いていた。
「アリステラの言い分にも一理あるよな。まさかあんなにアッサリさよならするとは思わなかったぜ。一回ぐらい、Sランクと模擬戦してみたかったんだけどなぁ」
「でしょう!? いや、私は模擬戦したくないですけどね!」
リーダーに同意されたアリステラは、手を振り回しながら「薄情だー!」と叫ぶ。
まぁ、確かに。レインの無双によってかなり早くトトリスに着いたが、それでも三週間近い間、共に依頼をこなした仲である。到着早々、〝ハイ、サヨナラ〟で別れるなんて……薄情と言っても過言ではないだろう。
しかしーー……。
(………多分、本当に街を離れる時にちゃんと挨拶するつもりだから、今回はアッサリと別れたっぽいんだけどな……)
リーフはワイングラスを傾けながら、そう心の中で呟く。
あの二人があんなにもアッサリと別れたのは、滞在期間中にまた自分達に顔を合わせるつもりだからではないかと思う。
実際に明日、リーフが二人と待ち合わせしていることを約束しているし。
だがーー……。
(それはあくまでも僕の予想だし、本当かどうかは分からないから言わないけどね。というか……明日会うことを話したら、コイツらついて来ちゃいそう。それは流石に……不快に思われるだろうなぁ)
同じ冒険者として。同じ依頼をこなした仲間として。
多少は仲良くなったとは思うけれど、それでも。あの二人は煩わしく思えば、容赦なく関係を切り捨てられる人間だ。
そんな空気を、リーフは二人から感じていた。
(………僕が案内を買って出たのは、今回の依頼で楽をした……というのもあるけど。本当はこのパーティーに目をかけてもらうためでもあるし。逆にSランクに目をつけられるのは本末転倒だ。折角出来たコネを無駄にするのは良くないからね。やっぱり明日の待ち合わせのこととか、余計なことを話すのは止めとこう)
と、打算から明日のことを話すことを止めたリーフ。
(…………はぁ〜。僕ってば、パーティーのために頑張って良い仕事してるなぁ〜)
冒険者パーティー《獅子の牙》の斥候ーーリーフ。
このメンバーの中で一番地味っぽそうな彼だが……実際はほどほどに(自称)腹黒策士キャラなのであった。




