とある神界で行われる反省会(未満)
今回で書き溜めがなくなったので、明日からの更新は少し止まるかもしれません。
まぁ、気長にお待ちください!
ではでは、今後とも〜よろしくどうぞ( ・∇・)ノ
この世界は女神によって見守られているーー。
…………と、地上の人々は考えているのだが。
正確には、(前任の)女神は見守ることしかしてくれないーーというのをだいぶ湾曲して伝わったのが、〝世界は女神に見守られている〟という概念であった。
しかし、見守るだけしかしない女神が悪い訳ではない。
見守るだけでも、世界は滞りなく続いていくのであるし……女神は世界に生きる命達を、この世界自体のことを慈しんでいた。
大好きで大切で、悲しいモノや苦しいモノがいれば、つい手を差し伸べてしまいたくなることもあったけれど……それでも女神は見守ることだけに徹した。
ーーそれは何故か?
女神は、自身の干渉によって彼らの運命を歪めることを……世界に傷をつけることを、良しとしなかったからだ。
女神の力は巨大だ。つまりは、影響が大きい。
良い方向に行くこともあるが……悪い方向に行くことも、救いようがないほどに歪んでしまうことだってある。
病気で死ぬはずの者が助かってしまったり、本来善良なはずの人間が大量虐殺者に成り果てたりもしてしまう。
それに、この世界はまだ産まれたばかりで……分かりやすく言うならば、赤子のようなモノだった。小さな命ーー世界に生きるモノ達ーーに差し伸べられた手であったも、その影響を大きく受けてしまう。赤子同然であるがゆえに、女神の力に耐え切れず、消えない傷が残ってしまう可能性が高かった。
本人にそんな意図がなかったとしても、歪むことを回避することは出来ない。それほどまでに、女神の力は大きく。世界は幼かった。
ーー女神が手を差し伸べてしまったら、凡ゆるモノの運命が歪んでしまう。
ゆえに、女神は世界に生きる人々を見守ることしか出来なかった。
だが……当代の女神は違う。
当代の女神は、異世界からの転生者であり、この世界のことを物語の一つとして知っていた。
そして、物語の中にいた一人の少女に同情し……彼女を助けるために、手を差し伸べてしまった。
その結果ーー……女神に干渉された人々の運命は……世界は、歪んでしまった。
「あー……ほら、やっぱり。これ、お前が干渉しなかったら元々、その乙女げーむとは違う道行になってたのに……お前が干渉したからこそ、乙女げーむの道行に近しい展開になっちゃってるじゃん」
真っ青な空にふわふわとした雲で出来た神界。
その中央にある白亜の神殿で……一組の美男美女が向かい合っていた。
男の方は、白髪に白眼の老人のような色合いをした二十代後半ぐらいの青年だった。ゆったりとした白い布を巻き付けるような服を着ており、豪奢な椅子に座って溜息を溢している。
女の方は、黒髪黒目の美少女だった。青年と同じような衣装を身に纏っているが……決定的に違うのか、彼の前で正座させられているということ。
彼女は涙目になりながら、ぷすぷすと鼻を鳴らした。
「ふぇぇぇん、ソフィーたぁぁぁぁんっ!」
「餓鬼か、泣いて許されると思ってるのか。というか、そっちのことばっかりじゃなくて、レインっていう男のことも反省しろよ。お前と同郷だからって理由だけで、巻き込まれたんだろうが」
「ソフィーたぁぁぁぁぁん!」
「あー……こりゃ駄目だ……なんでこんなのに女神の任を託したんだ……そりゃ適性があるからだよなぁ……でも、こりゃ駄目だろ……」
青年は眉間を押さえて、頭を振った。
この女神の精神年齢が幼過ぎて、頭痛がする。話が出来ないという訳ではないのだが……彼女が心酔している〝悪役令嬢〟のことになると、こいつは一気にポンコツ化してしまう。
女神就任時に〝まだ幼い世界だからね。手を出しちゃ駄目だよ〟と前任の女神から注意をされていたというのに……悪役令嬢のためにと簡単に、それを破った。
「…………はぁ。コイツは、自分がしたことの重さを理解してんのかねぇ……?」
ソフィアに〝悪役令嬢〟という運命を押し付けたのは、間違いなく目の前にいる女神だ。もしも、女神がソフィアを助けようとしなければ……彼女は〝悪役令嬢〟になんか、ならなかった。
そうすれば、あの冒険者が巻き込まれることもなかった。
国王が悪役令嬢を女神から託されることもなく、王太子との関係も今とは違ったモノになり……例え、聖女なる者が現れても、ソフィアには幸せな王妃生活というものが待っていたことだろう。
「…………あー……本当、損な役回りだ……あの二人がクレーム入れに来るまでに、コイツの調きょーーごほんっ。教育、終わっかなぁ〜……」
今回の一件を重く見た前任の女神より、教育係(兼見張り)として派遣された使徒の青年は……大きく溜息を零しながら、未だにピーピー泣く女神に再度、溜息を零した。
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