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【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


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ドア・イン・ザ・フェイス

「千夏、欲しい服はあるか? 買ってやるよ」

「えっ!? そんなの申し訳ないです!」

「遠慮すんなって。とりあえず試着してみたらどうだ?」

「あ、秋人さんがそう言うなら……」



 千夏は悩ましげな顔で、店内を歩き回る。



「これ、私に似合うでしょうか?」



 しばらくして千夏は一着の服を手に取り、気恥ずかしそうに俺に見せてきた。似合うとは思うが、長袖である。これでは肝心の右腕が見られない。ここは俺が誘導しよう。



「んー。千夏はせっかくスタイル良いんだし、これなんかどうだ?」



 俺は敢えて露出度の高い服をチョイスした。



「こ、これを私が着るんですか!?」

「嫌か?」

「えっと、選んでもらったのに申し訳ないですけど、あまり肌は出したくないというか……。スタイルにも自信ありませんし……」

「なら、これはどうだ?」



 今度は露出度をやや下げた服をチョイス。これも肌を出すことに変わりはないが、心理的に「さっきの服よりはマシだから着てみよう」となるかもしれない。いわゆるドア・イン・ザ・フェイスというやつだ。さあどうだ!?



「す、すみません。この服もちょっと……」



 なんてこった、これでも駄目か。痣のこと関係なしに、千夏はもっと自分に自信を持っていいと思うけどな。しかしここまで肌を出すことを躊躇うとは、やはり何か秘密があるのか……?



『意外と手強いわね……。こうなったら強硬手段、水着よ秋人!』



 は!? 何言ってんだこの六歳児!?



『水着だったら必然的に肌を出すことになるでしょ? ちょうど近くに水着コーナーがあるわよ!』



 この流れで水着なんて着るわけが――いや、このまま引き下がるよりは多少強引に攻めた方がいいかもしれない。



「千夏、水着を試してみよう!」

「突然どうしたんですか!? まだ水着という時期でもないですし……」

「今の内から選んでおいて損はないだろ! さあ好きなのを選んでくれ!」

「私、水着はほとんど着たことがなくて……」

「だったら俺が選んでやろう! これか!? それともこれか!?」



 俺は様々なビキニを千夏に見せつける。こうなったら何が何でも千夏には水着を着てもらう。なんか個人的な願望も含まれてる気がするけども。



「こんな大胆な水着、私にはとても……!!」

「大丈夫、絶対似合う! とりあえず試着だけでも! さあ!!」

「ううっ……」



 その時俺は、周囲の人達が痛々しい視線を俺に向けていることに気付いた。



「見てよあいつ、嫌がる女の子に無理矢理水着を着せようとしてんだけど」

「うわっ、ひくわー」



 いかん。冷静に考えたらかなりやばい奴になってるぞ俺。26歳の姿のままだったら確実に通報されている光景だ。



「す、すまん。次行くか」

「いえ、こちらこそすみません……」



 俺達はそそくさとデパートを出たのであった。



「ごめんな、結局何も買ってやれなくて」

「あ、いえ! 気にしないでください!」

『さっきのはアタシもちょっとひいたわ……』



 お前の案だろ!! くそ、声に出してツッコめないのが凄くもどかしい。



『気を取り直して、次の作戦いくわよ! そこから五分ほど歩いたところにグランドワンがあるから、そこに行って!』



 春香の指示通り、俺達はグランドワンに向かった。ボウリングやカラオケなど、様々なアミューズメントが楽しめる施設である。



『作戦その二、思いっきり遊ばせよ! 身体を動かせば暑くなって、上着を脱いだり袖を捲ったりするはずよ!』



 なるほど。次は北風と太陽でいうところの太陽、というわけか。



「千夏は何がしたい?」

「秋人さんにお任せします。私、こういう施設ではほとんど遊んだことがないので、何があるのかよく知らなくて……」

「そうか。ならまずはボウリングからだ!」



 俺と千夏はボウリングを始めた。女子の前だしカッコイイところを見せてやるぜと言いたいところだが、ボウリングは生前の学生時代にちょろっとやったくらいでほとんど経験がなく、案の定ガーターを連発してしまった。それでもスペアは何度が出せたので健闘した方だろう。



「うーん、スコア98か。100いきたかったな」

「凄いですよ秋人さん。私なんて50もいかなかったのに」

「……ところで千夏、その格好だと暑くないか?」

「いえ、全然大丈夫です!」



 くっ、駄目か。どうやらもっと遊ばせる必要がありそうだ。



『秋人、大変よ!!』



 突然インカムから春香の大声が響いた。何かあったのか!?



『スコアが200を超えたの! 凄くない!?』

「そっちかよ!」

「……秋人さん?」

「ああいや、何でもない」



 思わずツッコんでしまった。てかお前もボウリングやってたんかい。200オーバーは確かに凄いけども。


 今回も俺が春香の分の料金を払うというオチを済ませ、次はカラオケルームに場所を移した。



「おお、精密採点で93点って凄いな」

「そ、そうでしょうか……?」



 千夏は想像以上に歌が上手く、目的も忘れて聞き惚れてしまった。ちなみに俺の最高得点は82点。カラオケもあまり経験がないし、普通はこんなものだろう。



『秋人、大変よ!!』



 はいはい、どうせカラオケで高得点が出たんだろ? もうツッコまないぞ。



『100点が出たの! もう本格的にアイドル目指しちゃおうかしら!』



 ほらな……って100点!? 出そうと思って出せる点数じゃないだろうに。春香って料理できるし運動神経いいし歌唱力あるし、何気にスペック半端ないな。



おかげさまで10万字突破しました。頑張って書き続けますので今後ともよろしくお願いします。

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