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【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


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【空気】のスキル

ニコニコ漫画でのお気に入り登録数が早くも10000を超えました!ありがとうございます!

「ビルはここから三キロは離れてるぞ、あの距離から狙えるものなのか……!?」

『生前の赤来は国際大会を何度も制覇してる凄腕スナイパーよ! そこに仮転生体の身体能力が加われば――って今はそんな話をしてる場合じゃないでしょ!』

「だな……!!」



 俺はすぐに公園を出てビルの方へ走り出した。必ず脱落させると宣言しておきながら朱雀に背を向けるのは不本意だが、事情が変わった以上はやむを得ない。あのまま公園に留まるのは危険な気がするし、なにより先程の空気弾丸の威力を見れば、赤来を放置したまま朱雀と闘うことなどできるはずもない。



「念の為に聞くけど、春香と変身女って面識はないんだよな?」

『当たり前でしょ! あったらそう言ってるわよ!』

「……だよな」



 春香の元リーダーと朱雀の現リーダーがどちらも赤来なら、二人が元々仲間だった可能性もあると一瞬考えたが、さすがにそれはなかったか。おそらく赤来は春香と神崎がチームを抜けた後で、新たに朱雀を仲間に引き入れたのだろう。



「さっきので犠牲者が出てないといいが……」

『あのレストランの営業時間は二十二時までだから店内に人はいなかった。周辺住民にも被害はない』



 春香に代わって真冬が答え、俺は胸を撫で下ろした。問題は赤来をどうするか。ビルまで走るのは時間が掛かるし、【重力】を使って空中を移動しようものなら、みすみす空気弾丸の標的となるだけだ。


 となると【入替】で奴の近くにある物体と俺の位置を入れ替えるのが一番か。だがこの距離だと発動は難しいし、どちらにせよある程度ビルに近づかなければ……!!



  ☆



 その一方――ビルの屋上では、不敵な笑みを浮かべる赤来の姿があった。



「俺様の弾丸を回避するとは、大したもんだ。奴の勘が良いのか、それとも……。おや、公園を出たか。どうやら俺様の存在に気付いたみてーだな」



 赤来の現在の視力は10以上。この距離でも秋人の様子は十分に視認できる。空中に避難した秋人を空気弾丸で仕留める策は失敗に終わったが、赤来は不気味なほど落ち着いていた。



「まあいい、他に手はいくらでもある。今ので素直に殺されていれば、穏便に済ませてやれたってのに」



 赤来は再び右手を構える。しかしいくら精度が高かろうと、遮蔽物が多い上に動き続ける標的に弾丸を命中させるのは不可能に近い。



「一般人の犠牲はできるだけ避けたかったが、しょうがないよなあ……」



 狂笑を浮かべながら、赤来は二発目の空気弾丸を放った。



  ☆



『油断しちゃ駄目よ秋人!!』



 住宅街の道路を突っ走る中、再びインカムから春香の声がした。



『赤来は目的の為なら手段を選ばない男よ! 何をしてくるか分から――』

「!?」



 その時だった。爆音と共に数十メートル後方の民家数軒が吹き飛び、反射的に足を止めた。まさか赤来という男、手当たり次第に弾丸を放って俺を炙り出す気か!? なんて卑劣な……!!



『ちょっ、どこ行くの秋人!?』

「放っておけないだろ!!」



 俺は走ってきた道を引き返す。かなりの被害が出てるだろうし、助けが必要な人がいるかもしれない。分かっている、それが赤来の狙いだということは。だが俺には一般人を見捨てることなどできなかった。



「なんだ!? どうした!?」

「竜巻でも来たのか!?」



 周囲には人が集まり始めていた。怪我人こそいるが、今のところ死者や重傷者は見当たらない。



「ここは危険だ!! できるだけ遠くに逃げろ!!」

「は? 何だ君は?」

「早く!! 死にたいのか!!」

「あ、ああ……」



 俺の迫力に気圧されたらしく、人々は走り去っていく。どこかに逃げ遅れた人はいないか――



「!」



 崩れた家の庭に、一人の爺さんが横たわっているのを発見した。おそらくこの家の住人で、空気弾丸のバーストに巻き込まれて外に投げ出されてしまったのだろう。瓦礫の下敷きにならなかったのは不幸中の幸いか。俺はその爺さんのもとに駆け寄る。



「大丈夫ですか!?」

「う……うう……」



 爺さんが弱々しい声を漏らす。命に別状はなさそうだが、足を怪我してしまっている。一人で逃げるのは無理だろう。


 俺は爺さんを背負って走り出す。どこかに安全な場所はないか……!?



『秋人! その道を真っ直ぐ行った所に百貨店があるから、お爺さんはその地下に避難させて!』

「……助かる!」



 さすがの空気弾丸も地下までは届くまい。そこまで行けば――



「うおっ!?」



 突然地面から生えてきた腕に足を掴まれ、俺は爺さんごと派手に転んでしまった。俯せに倒れたので爺さんは無事だ。



「私のこと、忘れてるんじゃない?」



 愛城に変身した朱雀が地面から這い出てきた。別に忘れていたわけではないが、今はこいつよりも赤来の方が優先順位は上だ。まず赤来をなんとかしないと一般人の被害は拡大する一方だろう。俺は爺さんを背負ったまま立ち上がる。



「……さっきの攻撃は、お前のリーダーの仕業だな?」

「そうよ。全ては彼の作戦。まさか私が一人でノコノコ出てきたとでも思ってた? 仲間との連携も転生杯における立派な戦法の一つ。卑怯だなんて言わないでね」

「ハッ。言わないから安心しろ」




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