空気の弾丸
本日コミカライズ版の第2話が更新されました!是非読んでみてください!
『きっと地中にいる間に機器をポーチから出して身体のどこかに隠したか、もしくは最初から別の所に隠し持ってたんだと思う』
俺の疑問に答えるように真冬が言った。そういうことか、ポーチを地中に隠した=機器を持っていないと勝手に思い込んでしまった。もう一度奪いたいところだが、機器の形状が分からない以上【入替】は使えない。
こうなったら身体をまさぐりまくって無理矢理にでも機器を……ってそんな余裕があったら普通に倒した方が早いし、敵とはいえ女子の身体をまさぐるのはちょっとな。
『なにいかがわしいこと考えてるの秋人』
「か、考えてないぞ!?」
どうして俺の思考を読めるんだ。つくづく真冬が怖ろしい。
「こんなにあっさり同じ手に引っ掛かるなんてね。〝あの人〟が目を付けてたから期待してたんだけど、あまりガッカリさせないでほしいものだわ」
あの人……? この間言っていたリーダーのことか? いやそれよりも今はこいつを倒すことだけに集中しないと。変身能力も厄介だが、一番の問題は爆弾のせいで思うように闘えないことだ。せめて爆弾の位置が分かれば……。
『秋人、一旦空中に避難して。その間に私が爆弾の位置を特定する』
そうか、空中には爆弾を仕掛けようがない。単純だが最も安全な策だ。
「頼んだ真冬!」
俺は【重力】を発動して跳躍し、空中に留まる。爆弾の位置さえ分かればこっちのものだ。そう思った矢先――朱雀が口元を歪めたことに気付いた。
「チェックメイトよ。月坂秋人」
☆
遡ること十数秒前。春香は双眼鏡を使って窓から秋人と朱雀の闘いを見物していた。春香達が借りているホテルの部屋はちょうど公園全体を見渡せる位置にあり、モニター画面で見るよりも広範囲の状況を把握することができる。ちなみにこの双眼鏡は真冬が取り寄せたもので、夜間でもハッキリ見えるほど高性能な代物である。
「まったく秋人ったら、参加者一人に何を手こずってんのよ。そんな女さっさと倒して……ん?」
ふと、春香はその公園から数キロ離れたビルの屋上に、一つの人影を発見した。こんな時間に一体何をしているのだろう。飛び降り自殺でもする気なのかと思いながら、双眼鏡をズームさせてみる。
「なっ……!!」
その人物の正体が明らかになった瞬間――春香は驚愕の表情を浮かべ、無意識に双眼鏡を床に落とした。
「赤来……なんであいつが……!?」
それはかつて春香が所属していたチームのリーダー、赤来であった。春香は慌てて双眼鏡を拾い上げて再確認する。乱雑な銀色の髪に、血に濡れたような赤色の目。やはり見間違いなどではない。
赤来はピストルの形にした右手を斜め下に向けていた。その先には、今し方空中に避難した秋人がいる。まずい、あの技は――
春香は血相を変えてすぐさま真冬の所に行き、真冬からインカムを奪い取った。
「春香!? 何をして――」
「秋人、今すぐ地上に戻って!!」
春香が大声で秋人に伝える。公園に仕掛けられた爆弾を特定している最中だった真冬も思わず手を止めた。
『春香!? 何だ急に!?』
「いいから早く!! 死ぬわよ!!」
☆
『秋人!! 今すぐ地上に戻って!!』
俺が空中に避難した直後、インカムから鼓膜が破けそうになるほどの春香の大声が響いた。
「春香!? 何だ急に!?」
戦闘中に俺への指示を出すのは真冬の役目であり、春香が割り込んでくることは今までなかった。しかもやけに必死な様子だ。
『いいから早く!! 死ぬわよ!!』
訳が分からないが、死ぬなんて言われたらスルーなどできない。言われた通りにしようと重力を操作して身体を下方向に移動させ――
「!?」
次の瞬間、俺の頭上を〝何か〟が凄まじい速度で通過したのが分かった。そのコンマ数秒後、公園近くのレストランが木っ端微塵に吹き飛んだ。
「なっ……!? うおっ!?」
驚きのあまり【重力】の発動を中断してしまい、俺の身体は地上に落下した。
『秋人、大丈夫!?』
「あ、ああ……」
地面に衝突するギリギリのところで【重力】を再発動して重力を軽減したので、最低限のダメージで済んだ。
「それより今のは何だ!? 何が起きた!?」
『月が出てる方角にビルが見えるでしょ! その屋上に赤来がいる!』
「赤来……!?」
前に言っていた、かつて春香が所属していたチームのリーダーの名だ。確かに遠くにビルが見えるが、まさかあそこから攻撃したというのか。この距離では痣も反応しないので気付かなくて当然だ。
「確か赤来のスキルって【空気】だったよな……!?」
『ええ。凝縮した空気を弾丸のように放ち、着弾と共にバーストさせる。それがあいつの攻撃スタイルよ』
俺の頭を掠めたのは、赤来という男が放った凝縮した空気だったのか。吹き飛んだレストランを見れば、その威力は一目瞭然だ。もしあれが俺の身体に命中していたらと思うとゾッとする。春香の指示がなければ死んでいたかもしれない。
「チッ。まさかあれを回避するなんて……」
悔しげな表情を浮かべる朱雀。どうやらこいつの狙いは最初から俺を空中に誘導し、赤来の攻撃で仕留めることだったようだ。公園に仕掛けた爆弾も、その為の布石にすぎなかったのか。しかし春香の元リーダーと朱雀が手を組んでいたとは……!!
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