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【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


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【変身】のスキル

「お……おのれえええええ!!」



 雪風の断末魔の叫びと共に、巨大氷人形は完全に崩れ落ちた。重力についての知識がなければ、この手は思いつかなかっただろう。学校の勉強もたまには役に立つものだ。千夏には感謝しないとな。


 俺は雪風の方へ歩み寄る。巨大氷人形の残骸の中心に、四つん這いで項垂れる雪風の姿があった。戦意を喪失したのか、顔を上げようともしない。最後の切り札を破られたのだから無理もないだろう。



「……お前、何者だ」



 そんな雪風――いや、その人物に俺はそう言った。



「俺の【略奪】の能力は雪風も把握していた。あれほど慎重で狡猾だった男なら、俺が新たなスキルを獲得して更に強くなったことくらい想定できたはずだ。にもかかわらずお前は何の策略もなく、ただ徒に以前と同じ戦法を繰り返しているだけだ」

「…………」

「俺が闘った雪風は、それほど愚かじゃなかった! お前は何者だ、答えろ!!」

「……フッ。ククッ……」



 その人物は不気味に笑いながら、ゆらりと立ち上がった。



「ええ、そうよ。私は雪風じゃない……」



 口調が変わった。やはり雪風ではなかった。


 最初から違和感はあった。復讐の相手を目の前にした人間というのは、もっと怒りや憎しみに囚われるものだ。黒田に復讐した時の俺がそうだったように。


 一方こいつはただ「復讐」と口にするだけで、復讐のオーラを全く感じない。弟を殺された時の雪風の怒りは、こんなものじゃなかった。



「やっぱり赤の他人になりきるというのは、難しいものね……」



 雪風の姿をしたそいつの身体が、スライム状に形を変えていく。やがてそれは赤髪の女の姿になった。



「……それがお前の正体ってわけか」

「ええ。私のスキルは【変身】。能力は見てもらった通りよ」



 その女は袖を捲って〝54〟の痣を俺に見せつけた。


 真冬が言っていた三つ目の可能性――それは「何者かがスキルを使って雪風に化けている」というもの。やはり三つ目が正解だったようだ。しかも見たところ姿だけではなく記憶やスキルまで再現できるらしい。



「お前の目的は何だ?」

「目的? そんなの他の参加者を脱落させることに決まってるじゃない。雪風って男の記憶を視た感じだと、この学校には複数の参加者がいるみたいだし、夜中に彷徨いてたら誰か来てくれると思っただけよ」

「……なるほど」



 どうやら俺個人を狙っていたわけではなく、ただ転生杯に則った行動を取っていただけのようだ。



「いきなり雪風を殺した張本人に会えるとは思わなかったけどね。言うまでもないだろうけど、貴方に復讐を果たすだの恨みを晴らすだの言ってたのは、雪風だと信じ込ませるためのお芝居よ」



 大した役者魂だ。残念ながら俺の目を欺くことはできなかったようだが。



「悪いが転生杯の参加者である以上、お前はここで倒させてもらう」

「ふふっ。それは楽しみね……」



 再び奴の身体がスライム状に変化していき、今度は〝ある男〟に姿を変えた。



「やあ、月坂秋人くん。はるにゃんは元気にしてるかい?」

「佐竹……!!」



 それは以前はるにゃんこと春香を巡って俺と闘った、元はるにゃんファンクラブのリーダー、佐竹守人だった。



「君に譲ったはるにゃんファンクラブのリーダーの座、返してもらうよ!」

「いやそもそもリーダーになった覚えは――」



 って違う、こいつは佐竹じゃない。あの女が【変身】で佐竹に化けているだけだ。頭では分かっていても、声と姿が全く同じだからつい反応してしまう。


 強力なスキルだが、おそらく誰にでも変身できるわけではないだろう。何か条件があるはず……!!



「今度こそ君を倒して、はるにゃんとお近づきになってみせる!!」



 奴がポケットから鉛筆と消しゴムを取り出して宙に投げる。その二つの文房具は瞬く間に巨大生物へと変貌を遂げた。



『エンピー!!』

『ケッシー!!』



 これは佐竹の【息吹】。無生物に命を吹き込む能力で、俺が未だに全く使いこなせていない唯一のスキルだ。しかしこの文房具共は既に攻略済みである。


 鉛筆が高らかに跳躍し、ドリルのように回転しながら突っ込んできた。やはりあの時と同じ攻撃法。俺は【潜伏】を発動して地面の下へ回避。そのまま地中を移動して消しゴムの背後に出た。


 消しゴムには敵の攻撃を消す力があるが、それは正面からの攻撃のみ。俺は【怪力】で強化した拳を消しゴムの背中に炸裂させ粉々にした。続けて【氷結】を発動して氷の剣を生成し、地面に突き刺さって藻掻いていた鉛筆を真っ二つに切り裂いた。


 まるで佐竹との闘いの再現だな。所詮は一度倒した敵、何度闘おうと俺が負けるはずがない。



「……!?」



 鉛筆と消しゴムが元に戻った直後、俺はグラウンドから奴の姿が消えていることに気付いた。代わりに屋上にあったはるにゃんの等身大パネルが落ちている。このスキルは――



「ここよ、ここ」



 屋上に目を向けると、雪風弟の姿をした奴が得意気に手を振っていた。俺が文房具共と闘っている隙に、今度は雪風弟に変身して【入替】を発動し、奴と等身大パネルの位置を入れ替えたのか。




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