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【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


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情報交換

『連中がどのような方法で子供達にスキルを与えていたのか疑問だったが、ようやく合点がいったよ。ニーベルングには昼山をスパイとして送り込んでいたものの、そういった情報は全く入ってこなかったからな。ほんとあいつは何をしていたのやら……』



 昼山は向井から完全に信用されていたわけではなかったため、機密情報を入手できなかったのは致し方ないと言える。もっとも昼山がスパイに適任ではなかったというのが一番の要因かもしれないが。



『それはそうと、真冬は何故このような情報を私に――ハッ! まさかスキルを持たない私の胸中を察して……!?』

「違う。同盟を組んだ以上、有益な情報は共有しておこうと思っただけ」

『そうか。やはり離れ離れになっても、真冬は私のことを想ってくれていたのだな。ああっ、私は猛烈に感動している!』

「……はあ」



 相変わらず自分勝手な人だと、呆れ果てる真冬。とはいえ全く配慮していないわけではなかった。夜神は支配人からスキルを与えられなかった唯一の参加者なので、一度くらいスキルを体験させてあげてもいいと思ったのだ。スキルを持たない夜神は、その気になればスキル因子の吸飲により最大二つのスキルを獲得できる。



『しかし悪いな真冬。私にも少なからずスキルへの憧れはあるが、私は今の自分に満足してるんだ。だから今後も私がスキルに頼ることはないだろう。真冬の気持ちだけ受け取っておく』

「……ん」



 夜神ならきっとそう言うだろうと思っていたので、真冬は大して驚かなかった。



『それはさておき、情報の漏洩には気を付けろよ真冬。もしこの方法が参加者に広まるようなことがあれば、転生杯の根幹が揺らぎかねないからな』

「情報の漏洩? 誰に言ってるの?」

『おっと、これは釈迦に説法だった。しかしそんな機密情報を私に教えてくれたということは、それほど真冬は私のことを信頼してくれている、ということだな?』

「……勝手に言ってれば」

『ふっ、照れなくていいぞ真冬』

「照れてない」



 一度縁を切ったとはいえ、かつて共に闘った仲間であることに変わりはないので、真冬が夜神にそれなりの信頼を置いているのは事実であった。



『では私もお返しに、この情報をプレゼントしよう』



 間もなく隣りのモニター画面に、黒い渦のような画像が映し出された。



「これは……?」

『その反応を見るに、やはり認知していなかったか。真冬といえど、あらゆる情報を網羅できるわけではないものな。これは東京都南西部の上空の映像だ』



 真冬が日頃から監視・調査しているのは主に地上なので、空にまで目が行き届かないのは無理もない話である。



『この黒い渦は三日前、朝野が空を飛行中に偶然発見したものでな。どう見ても自然発生するものではないし、転生杯絡みというのは間違いないだろう』

「つまり、転生杯参加者のスキルの産物……」

『そう考えるのが妥当だな。そいつの目的が何なのか、そもそもこの黒い渦が何なのか、一切が謎だ。しかし一つだけ分かっていることがある。今送ったのは三日前の画像。そしてこれが昨日の画像だ』



 新たな黒い渦の画像が映し出される。真冬はその二つの画像を見比べ、あることに気付いた。



「大きくなってる……?」

『そう。三日前は半径三メートルほどだったが、昨日にはその倍以上に成長している。おそらく今後も更に大きくなるだろう。あくまで私の勘だが、この黒い渦は後に転生杯参加者だけではなく一般人にも大きな脅威をもらすことになる。真冬達も常に警戒しておいてくれ』



 夜神の勘が侮れないのは真冬もよく知っている。この黒い渦が世間で騒がれていないのは、例によって支配人が手を回しているからだろう。果たしてどのような脅威をもらたすのか、真冬も胸騒ぎを感じずにはいられなかった。



「情報ありがと。黒い渦に関しては私の方でも調べてみる」

『こちらも貴重な情報をいただいたんだ、礼には及ばない。しかしどうしても礼がしたいと言うのなら、改めて直接会う機会を設けないか? やはり画面越しに話すだけでは物足りないしな。そして今度こそパジャマパーティを――』

「通話切っていい?」

『ま、待て待て冗談だ。ところで今日の真冬はあまり元気がないな。何かあったのか?』



 夜神の言葉に、真冬は一瞬息を詰まらせた。



「……別に何もないけど」

『隠さなくていいぞ真冬。真冬の容態は画面越しでも分かる』

「うわ……」



 ドン引きする真冬。しかし実際図星であった。真冬はいつも通り振る舞っているつもりだったが、夜神の目は誤魔化せなかったらしい。



『水臭いぞ、私と真冬の仲ではないか。何か悩みがあるのなら、私でよければ相談相手になろう』

「…………」



 夜神に相談するのは不本意極まりないが、気休めにはなるだろうと思い、話してみることにした。



「その、昨日いろいろあって。そのせいで秋人が相当ショックを受けたみたいで……」

『チッ、やはり原因はあの男か……。今どうしてる?』

「部屋で寝込んでる。秋人には元気になってもらいたいけど、どうしたらいいのか分からなくて……」

『……なるほどな』




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