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【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


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共同作戦

 そう言って真冬は俺から手を離す。間もなく細道が目標地点を通過した。覚悟を決めた目で真冬は立ち上がる。



「それじゃ、行ってくる」

「ああ。頼んだぞ」



 俺と真冬の共同作戦が始まった。チャンスは一度きり。これで俺の復讐は終焉を迎えるのか、それとも――




  ☆




 真冬の作戦は難なく成功した。真冬が囮となり細道をこの場所まで誘導し【潜伏】で地中に身を潜めていた俺が細道の背後に現れる。今の細道はプロレス技でいうところのチョークスリーパーを俺にかけられている状態だ。所詮素人なので技としては不完全だが、身動きを封じるには十分だ。



「もう一人いたとは……だからいつもより痣の反応が強かったのか……!!」

「気付くのが遅かったな」



 だが【時空移動(仮)】を持つ細道にとって、この状況はどうとでもなるだろう。よってここからは俺の作戦だ。



「だがこれくらい、僕のスキルをもってすれば――」

「おっと、軽率な真似はしない方がいい。お前の大切な人を想うのならな」

「大切な人……!?」

「確か彼女の名前……若杉佐由だったか?」

「!! まさか、佐由を人質に……!?」

「ふっ。どうだろうな……」



 言うまでもないが、俺は細道の彼女を人質に捕ってなどいない。あくまでそう思い込ませているだけ。若杉佐由の〝名前〟を利用するとはそういうことだ。


 だがこれだけでは完全に思い込ませたとは言えないだろう。そこで駄目押しだ。俺が真冬に目配せすると、真冬は細道から見えないようにスマホを操作する。


 直後、細道のポケットからスマホの振動音が鳴った。俺は空いている右手で細道のスマホを取り出し、通話ボタンを押して細道の耳に当てる。



『そうちゃん!! 私のことはいいから逃げて!!』

「……佐由か!?」



 俺は通話を切った。当然これも若杉佐由本人の声ではなく、真冬が偽造した人工音声である。この短時間で若杉佐由に近い声を用意するとは、流石という他ない。


 おまけに細道を『そうちゃん』と呼ぶのは彼女くらいだろうし、もはや偽物の声だと疑う余地はないだろう。呼び名の情報がこんな形で役立つとはな。



「頼む、佐由だけは……!! 彼女は大切な人なんだ!!」

「そうか。なら下手に動かないことだ」



 どうやら細道は完全に彼女を人質に捕られていると思い込んだようだ。しかも予想以上に効いている。この時点で【時空移動(仮)】を発動されて過去に飛ばれでもしたら作戦は水の泡だが、間違いなく細道のスキルには何らかの発動条件がある。俺の【略奪】でさえ〝接触〟と〝意志〟という二重の条件があるんだ、何もない方がおかしい。


 というかそんなホイホイ時間やら空間やらを移動できたら簡単に転生杯を無双できてしまうだろうし、支配人もそのへんのパワーバランスはちゃんと考えているはず(だと信じたい)。そこで細道がスキルの発動条件を満たす行為そのものを封じさせてもらった。



「狙いは……やはり僕の命か……!?」

「安心しろ、すぐに殺しはしない。お前に聞きたいことがあってな」

「聞きたいこと……!?」

「九年前、お前が三人の人間を殺害した事件のことだ」

「い……一体何のことだ……!?」

「この状況でよくシラを切れるな。お前はあたかも別の人間がその三人を殺したように見せかけた。その人間というのが俺だ。そのせいで俺は死刑になったんだぞ……!!」



 無意識に細道の首を絞める力が強くなる。



「お前は自己顕示欲を満たすために敢えて現場に〝42〟の数字を残したんだろうが、それが仇になったな。俺は転生杯の参加者として蘇り、こうしてお前への復讐を果たしに来たってわけだ……!!」

「さっきから……何を言って……!?」

「さあ答えろ!! 何故俺を陥れた!? お前の目的は何だ!?」



 喋るのに支障がないよう若干腕の力を緩めると、細道はこう答えた。



「し、知らない!! 九年前とか三人の人間を殺したとか、何のことか全く分からない!!」

「……まだ惚ける気か。彼女のことが大切じゃないのか?」

「本当に何も知らないんだ!! だから佐由には手を出さないでくれ!!」

「……!?」



 この真に迫った反応、まさか本当に事件とは無関係なのか……?


 いや、そんなはずはない。俺は細道の右腕の袖を捲り、改めて痣を確認する。間違いなく42番目の参加者だ。やはりこいつがあの事件の真犯人に違いない。が、嘘をついているようにも見えない……。


 ここまで全て細道の演技だったとしたら大したものだが、有り得なくはないだろう。こうなったら最終手段だ。



「真冬、頼む」

「……ん」



 真冬が細道の額に人差し指を当てる。真冬の〝記憶を読み取るスキル〟なら全てが明らかになる。細道の中にあの事件の記憶があればクロ確定だ。やがて真冬は手を下ろし、動揺した様子でこう口にした。



「……なかった」

「え?」

「三人の人間を殺した記憶も、秋人を陥れようと画策した記憶も、細道の中にはなかった……」

「……嘘、だろ?」

「それ以前に、時間や空間を移動していると思われる記憶もなかった。細道のスキルは全くの別物。だから細道には九年前の事件を起こすこと自体できない」




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