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【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


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過去の詮索

「そんなにがっつり隠してるのか」

「露出させておくのは抵抗がありまして……。朝野さんみたいに全然気にしない人もいますけど」



 確かに参加者の痣は目立つし、俺も外にいる時はリストバンドなどで隠しているが、風呂に入る時くらいは外してもいいだろうに。一般人が一緒ならともかく、今は俺と夕季の二人だけだ。



「それじゃ痣は見せなくていいから、数字だけ教えてくれよ」

「ひ、秘密です!」

「なんでだよ!?」

「だってなんか、恥ずかしいじゃないですか……」



 こいつの羞恥ポイントが分からん。この城に来た時に俺の痣が反応してたから、参加者であることは間違いないが……。まあ痣の数字で強さが変わるわけでもないし、別にいいか。この時の俺は大して気にしなかった。




  ☆




「またね、春香ちゃん秋人くん! いつでも遊びに来ていいからね!」

「はいはい。アンタとはどうせ学校で会うでしょ」



 俺と春香は夜神達に別れを告げ、城を出た。もう夜なので泊まっていかないかと提案されたが、こっちは何の用意もしてないし、真冬を一人にしたまま余所で一夜を明かすのも不安なので、アジトに帰ることにした。


 その道中、俺は夜神達と同盟を結んだ旨をスマホで真冬に伝えた。



『同盟……そんなことが……』

「ああ、勝手にすまん。真冬にも相談してから決めればよかったな。俺も最初はどうかと思ったけど、メリットはあると思う」

『…………』



 短い沈黙が流れる。どうやら真冬は同盟のことをあまり良く思ってなさそうだ。



「そういや夜神が真冬のことを知ってたみたいだけど、二人は面識があるんだよな?」

『……ん。夜神がどういう人間かもよく知ってる。だから春香を攫っても酷い目に遭わせることはないって分かってた』



 だから春香が攫われたことを俺に伝えていた時も、真冬はわりと冷静だったのか。



「ったく、そういうことは事前に言っといてくれよ。春香を助けようと必死になってた俺が馬鹿みたいだろ」

『言おうとしたところで通話を切られちゃったから。あれから何度も電話したけど全然出てくれないし』



 そういやさっきスマホを見たら真冬からの着信履歴がビッシリ並んでたな。春香のことで頭がいっぱいだったから全然気付かなかった。



「それで、真冬と夜神って一体どういう関係なんだ?」

『…………』

「真冬?」



 その時、隣りを歩く春香が俺の頭をコツンと叩いた。



「やめなさいよ秋人。誰にだって話したくないことの一つや二つはあるでしょ」

「……そうだな。すまん真冬、今のは忘れてくれ。もうすぐアジトに着くから、また後でな」

『……ん』



 俺は真冬との通話を切った。夜神は真冬に直接聞くよう言っていたが、すんなり話してくれる雰囲気ではなさそうだ。



「春香は何か聞いてないのか? 二人の関係のこと」

「んー、アタシと出会う前に誰かと組んでたって話はちょろっと聞いたけど、それ以外は何も。真冬って自分のことはほとんど話さないし」

「……そうか」



 その誰かというのが夜神なのだろう。かつて真冬は夜神と組んでいたが、何らかの理由で解消するに至った、と。しかし夜神の口振りだと仲違いした感じでもなさそうだし、二人の間に何があったのか。


 人の過去を詮索するのはあまり良くないと分かってはいるのだが、それでもやはり気になる。だけど真冬から無理矢理聞き出すような真似はしたくないし……。そんなことを考えている内に、俺と春香はアジトに着いた。



「すっかり遅くなっちゃったわね。やっぱり我が家が一番!」

「さっさと寝るか……」

「ほう。ここがお前達のアジトか」



 不意に背後から声がしたので、俺と春香は素早く振り返る。驚くべきことに、そこには夜神が立っていた。



「なんで夜神がここに!? まさか俺達を付けてきたのか!?」

「ああ。お前達が私のアジトを出てからずっとな」

「嘘でしょ!? 全然気付かなかった……!!」

「気配を完全に消していたからな。気配の察知に長けた私ならば当然、気配を消す術も心得ているというわけだ」



 なんという不覚。同盟を結んだ相手とはいえ、俺達の拠点を知られてしまうとは。



「しかしこんな市街地の中で暮らしているとは、なかなか大胆だな。山奥に城を構えている私達とは大違いだ。いや、だからこそ逆に見つかりにくいとも言うべきか」



 そう言いながら、夜神は堂々と玄関の方へ歩き出す。



「おい待てよ! 勝手に――」

「ここに真冬がいるのだろう? 同盟も組んだことだし、チームのリーダーとして挨拶くらいしておかないとな」



 俺の制止も聞かず、夜神は勢いよく玄関のドアを開けた。間もなく真冬が姿を見せる。



「おかえり秋人、春香――」



 夜神と目が合い、硬直する真冬。まさかこんなすぐに夜神が来訪してくるとは思わなかっただろう。一方の夜神はというと、じんわり涙を浮かべていた。



「真冬……!! 真冬ーー!!」



 そして何を思ったのか、真冬に向かってダイブ。しかし真冬が左に避けたため、夜神はその先の壁に顔面から激突した。



「何故避けるんだ真冬!? 久々の再会なんだ、ここは感動のハグをする場面だろう!?」



 額から血を飛ばしながら叫ぶ夜神。なんかこの人さっきまでとキャラ違くない? すると真冬がジト目でこちらを睨んできた。




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