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【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


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持たざる者

 しかしまだ四桁には程遠い。この間にも夜神は着実にポイントを増やしているだろう。残り二十分でどうにかなる気がしないし、やはり夜神を倒してしまうのが一番手っ取り早いか……。


 その時、何か固い物を踏んだ感覚があった。足下の砂を掻き分けてみると、なんと金のコインが埋まっていた。ラッキーだ、これで50ptゲット。早速それを拾おうと手を伸ばしたが――途中で止めた。


 ここでコインを拾うのは簡単だ。だがこれを囮に使うことはできないだろうか。きっと夜神ならこのコインの存在にもすぐに気付くはず。名付けて〝海老で鯛を釣る作戦〟だ。


 俺は【潜伏】を発動し、金のコインの真下に潜る。すると一分もしない内に夜神がこちらに近づいてくるのが見えた。やはり来たか、俺が地中に潜んでいるとも知らず。



「おっ、金のコインか。やはり私の勘は冴えて――うおっ!?」



 夜神がコインを拾おうとした瞬間、俺は地中から夜神の右足を掴んで転けさせることに成功した。すかさず俺は地中から飛び出して夜神に跨り、駄目押しで【氷結】による氷で夜神の胴体を地面に固定した。



「ふっ。乙女に馬乗りとは、意外と積極的だな……」



 こうなってはさすがの夜神も身動きが取れないらしく、苦し紛れの台詞しか吐けないようだ。この状態なら【略奪】の発動に集中できる。こいつのスキルは未知数だが、どんなスキルだろうと奪ってしまえば何の問題もない。



「あまりこういうやり方は好きじゃないが……悪く思うなよ」



 こんな形でスキルを奪うのは俺の信条に反するが、この勝負には春香と真冬、二人の仲間が懸かっている。もはや手段を選んでいる場合ではない。



「まさか、私のスキルを奪う気か……!?」

「正解」



 俺は夜神の右腕を掴み【略奪】を発動。これで夜神のスキルは俺のものになる――はずだった。



「……!?」



 一体どういうことだ、いつまで経ってもスキルを奪った感覚がない。確かに【略奪】の発動には成功している。なのに何故……!?



「気は済んだか?」

「ぐっ!?」



 夜神は腕立て伏せの要領で胴体を覆っていた氷を容易く破壊し、俺を突き飛ばした。まさかこいつ……!!



「お前が何か企んでいることは分かっていた。というか、あんなあからさまに金のコインが置かれていたら誰だって勘付くぞ。地中に潜んでいたのには驚いたがな」



 身体に付いた氷を手で払いながら夜神が言った。確かに子供騙しの罠だとは自分でも思ったけども。



「わざと動けないフリをしていたのか。俺のスキルを知った上で……」

「ああ。お前の情報はいろいろと入ってきていたからな。お前のスキルが他者のスキルを奪うものであることは予想していたが、先程のお前の反応で確証を得られた。一芝居打った甲斐があったな」



 やはり俺に【略奪】を発動させるために……!! 罠を仕掛けたつもりが逆にこちらが仕掛けられていたとは、完全にしてやられた。



「そして私が最も知りたかったのは、お前のスキルの発動条件だ。私の腕を掴んだことから、条件の一つ目が対象への接触であることは間違いなさそうだな。だがそれだけなら私の腹を殴った際に発動しなかったのは不自然だ。わざわざ私の身動きを封じてきたのは、スキルの発動に集中したかったからだろう。となると、おそらく条件の二つ目はスキルを奪うという明確な意志。そんなところか?」



 的中してやがる。大した推理力だが「はいその通りです」なんて馬鹿正直に答える必要はない。あくまで夜神の中では憶測の段階だろうし、適当に誤魔化して――



「ふっ、どうやら正解のようだな。分かりやすく顔に出ているぞ。さてはポーカーが苦手だな?」

「……!!」



 思わず俺は自分の頬を叩いた。確かにあまり得意ではないけども。だが発動条件を知られたことよりも由々しき問題がある。それは何故奴のスキルを奪えなかったのか、だ。少なくともスキルを無力化されたような感じではなかった。



「何故スキルを奪えなかったのか、という顔をしているな。理由は実に単純だ。私はスキルなど持っていないのだからな」

「……は!?」



 それは予想だにしない答えだった。確かにスキルを持っていないのなら奪いようがないが、一体どういうことなのか。



「過去にスキルを失うような事態がお前の身に起きた、ということか……?」

「そうではない。そもそも私は転生杯の支配人からスキルを与えられなかったのだ」



 スキルを与えられなかった!? そんな参加者がいるのか……!?



「私が仮転生する際、参加者の中にそういう〝ジョーカー枠〟を一つだけ設けていると支配人が言っていた。ま、きっとただの遊び心だろうな」

「……そのジョーカーに選ばれたのがお前、というわけか」

「ああ。ただしその代わりとして、私には他の参加者よりも遙かに超人的な肉体が与えられた。スキルが使えないハンデを補って余りあるほどのな。私の気配の察知力も、その副産物のようなものだ」

「超人的な肉体……なるほど」



 俺の氷塊や拳がほとんど効かなかった理由、それは単純にこいつの身体があまりにも頑丈すぎたからか。しかしスキルの代わりに最強の肉体を手に入れたって、なんかネット小説でありそうな設定だ。




ブックマーク・評価をいただけると秋アニメも楽しく観られそうです。よろしくお願いします。

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