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【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


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朝野の過去

 春香も本気で説き伏せられるとは思っていなかったので、朝野が再び綺羅星弾・速を繰り出してくるのを見越して【逆行】による逆行壁を展開していたのである。目まぐるしく変わるスキルに気を取られていたせいで、朝野はすっかり失念していた。



「いくわよ……!!」



 この隙にスキル因子の取り込みに成功し、春香は頭上に無数の氷塊を出現させた。発現したスキルは【氷結】。春香と朝野が協力して倒した雪風のスキルである。春香はそれらの氷塊を朝野に向けて一斉に放った。



「にゃにゃにゃにゃにゃー!!」



 朝野はあちこち跳び回りながら、ステッキを武器代わりにして氷塊を打ち砕いていく。春香は朝野の動きに合わせて氷塊を絶え間なく投射していく。



「ぎにゃっ!!」



 春香の執念が上回ったのか、氷塊の一つが直撃し、朝野は地面を転がった。直後に春香から【氷結】の効力が消失する。



「にゃっはっは! やるねー春香ちゃん! 正直春香ちゃんがここまでやるなんて思ってなかったにゃ!」



 すぐに起き上がりながら朝野が言った。それを見て春香は小さく嘆息する。



「秋人と闘ってた時もそうだったけど、アンタってほんと、楽しそうに闘うわね」

「春香ちゃんは楽しくないの?」

「楽しいわけないでしょ、自分の命が懸かってるんだから。アンタみたいな戦闘狂と一緒にしないで」

「戦闘狂は言い過ぎにゃ! それに私の場合、闘うのが好きというより身体を動かすのが好きって感じかな。生前はそういうこと全然できなかったし」



 この朝野の発言に、春香は少なからず関心を抱いた。



「そういえば、アンタの生前の話は聞いたことなかったわね。アンタは一体どういう経緯で死んだの?」

「おやっ!? もしかして春香ちゃん、私に興味を持ってくれたの!? 感激にゃー!」

「別に……。ただちょっと気になっただけよ」



 朝野の性格から考えて春香や秋人のように復讐心を抱いていることはなさそうだが、参加者に選ばれるのは憎しみ・悲しみ・怒りといった負の感情を強く抱いて死んでいった者達。それは朝野も例外ではないはずだ。



「ま、他の参加者に比べたら、大した話じゃないんだけどね……」



 そう呟きながら、朝野は生前の自分を思い起こした。




  ☆




 これは、とある女の子のお話。その子はごく普通の家庭に生まれ、両親からとても可愛がられていた。二歳になる頃にはテレビを観るようになり、中でも日曜の朝に放送されている少女戦士のアニメは大のお気に入りで、毎週欠かさず観ていた。



「わたしもこの子みたいに、かっこよくてかわいい女の子になりたい!」



 それがその子の口癖であった。誕生日に少女戦士のグッズを買ってもらった時には大喜びし、いつもそれを使って少女戦士ごっこをしていた。だが、そんな日々は長くは続かなかった。



「あれ……?」



 最初の異変が起きたのは、その子がもうすぐ三歳になる頃。大好きなオムライスを食べようとした時、その子は手に持っていたスプーンを落としてしまった。それだけなら珍しい光景ではない。だが、それから何度やってもスプーンを落としてしまう。手が思うように動かないのである。



「ママ。わたしの手、なんか変……」



 その子が発症したのは、レット症候群というものであった。1歳半から3歳までの間に症状が表れ始め、主に運動機能に異常が生じる。現代医学においても根本的な治療法はまだ見つかっていない。


 症状は悪化の一途を辿り、幼稚園もろくに通えないまま、その子は病院での生活を余儀なくされた。やがて喋ることも歩くこともできなくなり、それから十年以上、その子は病院のベッドで過ごした。


 レット症候群の発症率は、0・008%だという。どうして私なんだろう。どうして私は他の子と違うんだろう。その子は自分の運命を嘆くことしかできなかった。


 薄れゆく意識の中、病室のテレビには、大好きな少女戦士のアニメが映っていた。華麗に動き回りながら敵と闘う女の子の姿を見て、その子は羨ましいと思った。


 もし生まれ変わることがあったら、あんなふうに元気いっぱい動けるといいな――そんな思いを抱きながら、その子は静かに息を引き取った。




  ☆




「どうしたのよ。いつになく神妙な顔しちゃって」



 春香の言葉で、朝野は我に返った。



「……あはは、ごめんごめん。今日のおやつは何にしようかなって考えてたところだったにゃ」

「はあ? アンタねえ……」

「まー私の生前の話なんて聞いても面白くないと思うし、別にいいでしょ」



 幸か不幸か、転生杯の参加者に選ばれたことで、朝野は生前の最期の願いを叶えることができた。だがこの身体はあくまで仮転生体にすぎない。本当の意味で願いが叶うのは、転生杯で勝ち残り、転生権を手にした時だ。



「わっ、もうこんな時間! おやつどころかもう晩ご飯の時間にゃ!」



 遠くに見える時計台に目をやり声を上げる朝野。時刻は六時半を過ぎており、空も暗くなり始めていた。



「んじゃ、そろそろ決着つけちゃおっかな。春香ちゃんもバテてきたみたいだし」




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