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【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


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死んだフリ

「きゃあっ!!」



 今度は春香の方が吹き飛ばされ、派手に地面を転がった。



「私には超強い仲間がいて、しょちゅう手合わせしてるんだよね。だからちょっとパワーが上がった程度じゃ私は倒せないにゃ!」



 その仲間とは昼山のことである。元から朝野の戦闘能力は秀でていたが、昼山と模擬戦を何度もやったことで更に磨きが掛かっていた。しかし純粋な戦闘力で遠く及ばないのは春香も承知の上である。



「いったいわね……!!」



 春香は痛みを堪えて立ち上がるが、既に【怪力】の効力は消失していた。スキル因子の吸飲量が少ない分、持続時間は短いようだ。


 一見これはデメリットのようだが、すかさず次のスキルに切り替えられるため、メリットとも捉えられる。人間の所持できるスキルが二つまでという制約がある以上、前のスキルの効力が残っていては新たなスキルを取り込めないからだ。


 春香はポケットから二個目のスキル結晶体を取り出し、口に入れた。常に十個のスキル結晶体を持ち歩いていたので、まだストックには余裕がある。



「どんどんいくよー! 必殺〝綺羅星弾・連〟」



 朝野が高らかに跳躍し、無数の星の弾を放つ。春香は回避しようとしたが、足の負傷に気付いて動き出しが遅れてしまう。そして地面に直撃した星の弾が次々と暴発し、大量の土煙が舞い上がった。



「これは勝負あったかにゃー……って、あれ?」



 土煙が晴れた時、目の前から春香の姿が消えていることに朝野は気付いた。咄嗟にどこかへ避難した? いやそんな動きができる状態ではなかったはず――



「にゃっ!?」



 背後に気配を感じ、朝野は素早く振り返る。そこには春香が立っていた。



「えええええ!? いつの間に移動したの!? どうやったの!? それもスキル!?」

「だから秘密って言ってるでしょ」



 次に春香が発動したのは【潜伏】であった。地中に潜ることで星の弾の暴発を回避し、そのまま朝野の背後に移動したのだ。あのタイミングでこのスキルが発現したのは幸運だったと言えるだろう。あわよくば背後から奇襲をかけるつもりだったが、先に気配を察知されてしまった。しかし流れは春香の方に傾きつつある。



「やっぱりあのお菓子が怪しいにゃ! あれを食べると色んなスキルが使えるってことかな? 新しいのを食べたらその前のスキルは消える? それとも残ったまま? あっ、時間経過で消えるって可能性も……? うにゃー!! 難しいこと考えるの苦手にゃー!!」



 朝野はすっかり混乱しているようだ。この隙に反撃しようと、春香は三個目のスキル結晶体を口に入れた。次に発現したスキルは……。



「にゃあっ!? いやいやちょっと待っ――ぎゃあー!!」



 路肩に停めてあった無人の軽トラックが突然動き出し、猛スピードで朝野を撥ね飛ばした。今度は【操縦】である。


 朝野の身体が宙を舞い、地面に叩きつけられる。それから数秒経っても朝野は起き上がってこない。常人ならば今のは死んでもおかしくないだろうが、秋人や巨大氷人形との闘いを見ていた春香には朝野の頑丈さがよく分かっていた。



「早く立ちなさいよ。この程度でくたばるアンタじゃないでしょ」

「……あ、バレてた? 死んだフリ作戦失敗にゃ!」



 朝野は起き上がると共に宙返りをし、華麗に着地した。そもそも転生杯参加者の仮転生体は絶命と共に消滅するので、死んだフリなど無意味なのだが。



「春香ちゃんは容赦ないねー。今のは結構痛かったにゃ」

「結構痛かった、じゃ済まないわよ普通。まったくアンタの身体、反則にも程があるわ」

「反則は春香ちゃんの方でしょ! 参加者はみんな一つのスキルで闘ってるのに、春香ちゃんはいくつもスキルを使ってズルいにゃ!」

「そういう文句は秋人にでも言ってなさいよ。ズルでもしないとアタシがアンタに勝つのなんて到底無理だし」



 そう言いながら、春香は四個目のスキル結晶体を手に取った。



「させないにゃ! 必殺〝綺羅星弾・速〟!」

「いたっ!!」



 朝野が放った星の弾が春香の右腕に直撃し、スキル結晶体を弾き飛ばされてしまった。綺羅星弾・速は通常よりも威力が低い代わりにスピードが格段に上昇した星の弾であり、常人が見切るのは至難の業である。



「理屈はよく分かんないけど、要はそのお菓子を食べさせなきゃいいんだよね。だったら対処は簡単にゃ!」

「ちょっと、それは駄目でしょ! アンタが大好きな日朝アニメに出てくる敵だって変身中に攻撃したりしないでしょ!? それと同じよ!」

「うっ。確かに……」

「だからアタシがこれを食べる時は攻撃禁止。大人しく待ってなさい」

「わ、分かったにゃ」



 朝野を説き伏せることに成功し、春香は心置きなく新たなスキル結晶体を取り出した。



「……って、それとこれとは話が別にゃ! 必殺〝綺羅星弾・速〟!」



 朝野が再度スキル結晶体を弾き飛ばそうと、先程と同じ弾を放った。どうやらそこまで甘くはなかったらしい。が、星の弾は春香に届く寸前に消滅してしまった。



「あれっ!? 綺羅星弾が消えた!? どういうことにゃ!?」

「忘れたの? アタシの本来のスキル」

「……あっ、そうだった!」




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