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【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


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スキル結晶体

「様々な実験を重ねた結果、ついにその方法に辿り着いた。それが、これ」



 真冬がビーカーを手に持ち、その中の虹色の物体を二人に見せつけた。



「この物体は、秋人のスキル因子が含まれた酸素を冷却させた結果、生じたもの」

「酸素を冷却……。あー、さっきの水蒸気はそれでか。もしかしてこの物体って、酸素が固体化したものか?」

「そんなわけないじゃない。酸素はマイナス218度にならないと固体にならないんだから。ねえ真冬?」

「ん。ここにある実験器具だけで温度をそこまで下げるのは無理。せいぜいドライアイスが作れるマイナス80度くらいが限界。そもそも酸素は固体化してもこんな綺麗な虹色にはならない」

「そ、そうか……」



 またもや女子二人との知能の差を痛感する秋人であった。



「それじゃ、この物体は何なんだ?」

「名付けるなら、スキル結晶体。スキル因子が含まれた酸素をマイナス50度まで冷却させると、スキル因子が濃縮されて、このように結晶化することが分かった」



 秋人と春香は、スキル結晶体と呼ばれたその物体をまじまじと見つめる。さすがの兵藤も、この発見には至らなかったことだろう。



「スキル因子は一度結晶化すると、常温下でも変化しない。つまりこの状態のまま保存することができる。どうしてそんな現象が起きるのかは謎だけど」

「まあ、そもそもスキル自体が謎の現象だしな」



 春香は好奇心に満ちた目で、スキル結晶体を手に取った。



「要するにこれを飲み込めば、秋人のスキルを使えるようになるってことね! このサイズなら持ち運びもしやすいし、確かに実戦で使えそう!」

「でもスキル結晶体が消化されて体内に吸収されるまで一定の時間が掛かるから、結局は即座にスキルが発現することはない」

「えっ……それじゃ意味なくないか?」

「ただ飲み込むだけでは、の話。口に入れるのと同時にスキル結晶体をスキル因子に戻すことができれば、直接スキル因子を取り込むことができる」

「いやいや、そんなのどうやって――あっ」



 何かに気付いたように、秋人が声を上げる。同時に春香もポンと手を打った。



「そっか、アタシのスキルね!」

「ん。春香の【逆行】を使えばそれができる」



 春香のスキルには対象の時間を戻す力があるため、真冬の言ったことも可能である。しかし裏を返せば、それは春香にしかできないことを意味する。


 とはいえ既に七つものスキルを所持している秋人にとっては元から無用の長物なので、実戦で使うとしたら春香だけで事足りるだろう。



「それじゃ試してみるわね! ていうかこれ、どんな味がするのかしら。元が秋人のスキル因子ってことを考えると、あまり美味しくはなさそうだけど」

「おい! 絶対美味しいに決まってるだろ!」

「待って春香」



 早速スキル結晶体を口に放り込もうとした春香だが、真冬に止められた。



「何よ、また『既にスキルを持っている転生杯の参加者がスキル因子を取り込んだら何が起きるか分からない』とか言って止めるつもり? 言っとくけどそれが問題ないことはとっくに証明されてるわよ。実際に兵藤がやってるの見たし」



 兵藤は春香との闘いで【無効】のスキルを使っていた。それは向井のスキル因子を取り込んでいたからに他ならない。その向井も同じ方法で【剣製】のスキルを得て千夏を痛めつけていた。これらのことから、転生杯の参加者がスキル因子を取り込んでも問題ないことが分かる。



「一つ、確認しておきたいことがある。一人の人間が所持できるスキルは二つが限界……そうでしょ秋人?」

「ああ。それを超えると肉体が負荷に耐えられなくなって死に至るらしい。俺は例外だけどな」



 秋人が向井と遭遇した際に向井がそう口にしていたのと、秋人の深層心理に住まう大地の発言からも、それは間違いない。秋人が三つ以上のスキルを所持できているのは、大地の力によるものだ。



「そういえば前にそんなこと言ってたわね。でも二つまでなら問題ないんでしょ?」

「秋人は七つのスキルを所持してる。その秋人のスキル因子を取り込んだ場合、七つ全てのスキルが発現することも考えられる」

「そうか。もしそうなったら春香の身体が――」



 ゴクン、という音がした。秋人と真冬は目を見開いて春香の顔を見る。



「……ごめん。もう飲んじゃった」

「おいいいいい!! 何やってんだ馬鹿!! 今すぐ吐き出せ!!」



 秋人が必死に春香の身体を前後に揺らす。



「ちょっ、やめてよ! もう【逆行】でスキル因子に変えちゃったから、吐き出したくても吐き出せないわよ!」

「どうすんだよ!! もしこれで七つのスキルが発現したら……!!」



 春香の所持スキルは計八つとなり、余裕で容量オーバーである。しかし数十秒経っても春香の身体に異変は起きなかった。秋人と真冬は深々と安堵の息をつく。



「とりあえず何ともなさそうだな……」

「元から秋人の全スキルが発現する可能性は低いと思ってたけど、春香は躊躇なさすぎ……」

「二人とも心配しすぎよ。秋人だっていくつもスキルを持ってるけど平気なんだし、仮にそうなっても大丈夫でしょ」

「だから俺は例外なんだって……」




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