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【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


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四箇条違反

「「「第一条!! はるにゃんを全力で応援すること!!」」」

「「「第二条!! はるにゃんと適切な距離を保つこと!!」」」

「「「第三条!! はるにゃんに近づく害虫を駆除すること!!」」」

「「「第四条!! はるにゃんを困らせる行為は絶対にしないこと!!」」」



 何こいつら怖いんだけど。



「君のことはこの学校のファンクラブの皆に調べてもらったよ、月坂秋人くん。君は毎日のようにはるにゃんと登校し、お昼ご飯まで一緒に食べてるそうじゃないか。証拠ならここにある」



 佐竹が一枚の写真を俺に見せる。そこには校舎の屋上で昼食をとる俺と春香が写っていた。この前感じた視線の正体ははるにゃんファンだったのかよ。



「要するに君は、ファンクラブ四箇条の第二条『はるにゃんと適切な距離を保つこと』に違反している。これは由々しき事態だ」



 そんなの知らんし。お前等が勝手に決めたルールを押し付けんなよ。



「それだけじゃない。今日だってはるにゃんが売店に行く時も図書館に行く時も、挙げ句の果てには女子トイレに行く時も、君ははるにゃんに付きまとっていたとの報告を受けている」

「うっ……」



 それは春香を転生杯の参加者から守る為という正当な理由があっての行動だったが、こいつらに話しても無意味だ。女子トイレは自分でも擁護できないけど。



「率直に聞こう。君ははるにゃんとはどういう関係だ?」

「どういうって……。ただの女友達で、小学校からの幼馴染みだよ」



 一応学校でもそういう設定になっている。同じ屋根の下に住んでいて毎日一緒に風呂にも入ってる関係です、裸もバッチリ見てます、なんて正直に答えたらこいつら卒倒しそうだな。



「幼馴染みだと……!?」

「はるにゃんと幼馴染み……羨ましい……!!」



 それだけでも十分なダメージだったらしく、野郎共は血の涙を流していた。泣いたり怒鳴ったり忙しいなこいつら。



「なるほどね。だがたとえ幼馴染みであろうと血の繋がりのない妹であろうと、君がはるにゃんファンクラブ四箇条に違反している事実に変わりはない」

「だから何だそれ! だったら俺からも言わせてもらうけどな、お前らの中に春香をストーカーしてる奴がいるだろ! それはファンクラブ四箇条の第四条『はるにゃんファンを困らせる行為は絶対にしないこと』に違反してるんじゃないのか!? めっちゃ嫌がってたぞ春香!」



 どうだ、反撃してやったぞ。めっちゃ嫌がってたというのは大袈裟かもしれないが、あまり良い気持ちはしないと言っていたのは事実だ。



「ストーカーの存在は僕も把握している。だが神に誓って言おう、僕達の中にストーカー行為に走るような浅ましい人間は一人もいない。ストーカーしているのはファンクラブとは無関係の者達だ。むしろ僕達はそういう奴等を排除してきた」

「排除……?」

「その証拠をお見せしよう。会員ナンバー4877、4878、4879、前へ!」



 佐竹がそう言うと、三人の野郎が前に出てきた。



「この三人は愚かにもはるにゃんをストーカーしていた者達だ。僕達はこいつらを捕らえた後、はるにゃんファンとしてのあるべき姿を徹底的に叩き込んだ。今ではストーカー行為からはキッパリ足を洗い、晴れてファンクラブの一員になったというわけさ」

「「「もう二度とストーカーはしません!! 正々堂々はるにゃんを応援します!!」」」



 もはや宗教だろこれ。ストーカーを排除してくれたことには一応感謝するけども。



「話を戻そうか。とにかく僕達としては、はるにゃんに悪影響を及ぼす君の存在を許すわけにはいかない。よってファンクラブ四箇条の第三条『はるにゃんに近づく害虫を駆除すること』に則り、君を駆除させてもらう」

「誰が害虫だ。だいたい俺の存在がどう春香に悪影響を及ぼすんだよ」

「君のような不埒な男がはるにゃんと仲良くしていたら、はるにゃんの人気に響くことくらい分かるだろう? 君の存在は、はるにゃんにとって迷惑でしかないんだ」

「春香がそう言ったのか? 俺のことが迷惑だって」

「それは……」

「お前等が勝手に祭り上げてるだけで、春香はただ純粋にアイドル活動を楽しんでるだけの普通の女子高生なんだ。プロのアイドルってわけじゃない。誰と仲良くしようが春香の勝手だろ」



 本当は普通の女子高生なんかじゃないけども。実は一度死んでいて中身は6歳の子供ってことを教えてやったら、どんな顔するだろうなこいつら。



「それでも僕達は、はるにゃんのことを思って……」

「ハッキリ言ってやろうか? ファンクラブ四箇条に違反してるだのはるにゃんの人気に響くだの色々と難癖をつけちゃいるが、要するにお前等は春香と仲良くしている俺に嫉妬しているんだろ? 違うか?」

「…………」



 図星だったのか、佐竹は俯いて沈黙した。



「話は終わりか? だったらはるにゃんフィギュアを俺に寄越してさっさと――」

「……さい」

「ん?」

「うるさいうるさいうるさいうるさい!! うるさーーーーーーーーーーい!!」



 なんか喚きだした。とうとう壊れたか。




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