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【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


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選ばれし者達

 支配人は俺の周りを歩きながら、言葉を続ける。



「十分な戦闘センスを持ち合わせているか、スキルを使いこなせる素質があるか、などなど。それがない者が転生杯に身を投じたところで捨て石にしかなりませんからね」



 支配人は足を止め、わざとらしく肩を竦める。



「しかしそうなると、なかなか適した人物というのは見つからないものでしてね。そこで見込みのありそうな人に〝手を加える〟ことは偶にあるんです。100人目の参加者である大宮千夏さん、そして貴方のお仲間の青葉春香さんもね」

「……!!」



 そうだ。春香の恩師を殺した氷系スキルを持つ参加者のことを、春香は生前から覚えていた。真冬は春香の記憶が改竄されなかったことを不思議に思っていたが、やはりあれも支配人の策略だったのか。



「だったら千夏も、春香も、アンタが殺したようなもんだ……!!」

「それは曲解というものです。先程〝手を加える〟とは言いましたが、私がやったのは記憶の改竄の影響から除外したというだけ。彼女達がその後どういう人生を歩むか、どういう最期を遂げるかは彼女達次第でした。言うなれば、彼女達が転生杯の参加者に選ばれたのは〝運命〟なのです」



 何が運命だ。選んだのは自分だろうが。



「そしてついに第八次転生杯は全ての参加者が揃いました。皆さんは私の期待通り、四枠の転生権を賭けて存分に争ってくれています。流石は私の見込んだ者達です」

「……まるで人間は手駒とでも言いたげだな」

「手駒、ですか。その表現はあまり好きではないですね。参加者の皆さんは、私の願いを叶える為の大切な協力者ですから」

「願い……!?」



 俺はその言葉に引っ掛かりを覚えた。



「ええ。まさか私がボランティアで転生杯を開催していると思っていたのですか? 私にはどうしても叶えたい願いがあるのです」

「何なんだ、アンタの願いって。わざわざ100人もの人間を集めて、スキルを与えて、闘わせて……。そうまでして叶えたい願いとは何だ!?」

「それはまだ秘密です。いずれ分かる時が来るでしょう。



 そう言って、支配人が指を鳴らした。



「今回のお喋りはここまでにしておきますか。また会いましょう、月坂秋人さん」

「待て!! まだ話は終わって――」



 間もなく視界が暗転し、俺の意識が途絶えた。




  ☆




 目が覚めた俺は、勢いよく身体を起こした。ここは……俺の部屋か。どうやら意識が現実に戻ってきたらしい。


 くそ、あの支配人め。何の断りもなく人の意識を呼び寄せたかと思えば一方的に話を打ち切りやがって、自分勝手にも程があるだろ。まあ例によって話の内容はほとんど覚えていないのだが、それがまたもどかしい。


 スマホを見ると、時刻は18時を回っていた。確かベッドに転がったのは春香がアジトを出た直後だったから……だいぶ寝てたな。病み上がりだし無理もないか。そろそろ春香もアイドル部の活動を終えて帰ってくる頃だろう。


 春香からLINEが来ていたが「〝たくあん〟と〝たくわん〟ってどっちが正しいんだっけ?」とか「〝オジサン〟って名前の魚がいるの知ってた?」とか、どうでもいいことばかりであった。まあ何事もなかったという証拠でもあるので安心ではあるんだが。



「…………」



 LINEを開く度、つい千夏とのトーク画面を見てしまう。お互いの会話から、千夏との色んな出来事が蘇ってくる。


 何か送ろうとしても、文字が浮かんでこない。送ったところで返事はないだろうし、そもそも今の千夏がスマホを持ってるかどうかも分からない。


 千夏に会いたい。千夏の声が聞きたい。だが、それは叶わない。しばらくの間、俺はただスマホの画面を見つめていた。




  ☆




 春香が学校から帰宅して自室で着替えていると、ドアをノックする音がした。



「どうぞー」



 春香が返事をし、ドアが開く。真冬だ。春香の下着姿が真冬の目に映る。



「……着替えてる最中なら、そう言えばいいのに」

「どうして? 別にいいじゃない、待たせるのも悪いし」



 同性とはいえ下着姿を見られることに何の抵抗もないのは、なんとも春香らしい。本人がいいならと、真冬は部屋に入った。



「それで、アタシに何か用?」

「……春香に相談したいことがあって」

「真冬がアタシに? 珍しいわね。何の相談?」



 私服に着替え終わった春香が椅子に腰を下ろす。短い沈黙の後、真冬は俯きながら静かに口を開いた。



「……秋人に、元気になってほしくて。秋人は大丈夫って言ってたけど、やっぱり千夏のことで相当ショックを受けてるから」

「あー、確かにあれは重傷だったわね……」



 今朝のことを思い返しながら春香が呟く。



「秋人は自分のせいにしてたけど、やっぱり千夏を止められなかった私に一番責任があると思うから。だからその償いに、せめて秋人を元気にしてあげたい」

「なるほどね……」

「でも何をしたらいいのか分からなくて……。だから春香に相談しに来た」

「ふふっ。真冬って頭は良いのに、こういうことは不器用よね」

「……春香は何をしたら秋人が喜ぶと思う?」




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