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【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


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ウサギ狩り

 俺の問いに、昼山は小さく口角を上げた。



「獅子身中の虫、という言葉を知っているか?」

「……生憎、学力はそこまで高くなくてな」

「そうか。気が向いたら調べてみるといい」



 まあいい、戦闘続行だ。筋書き通りの結果とはならなかったが、今のダメージで昼山の動きもかなり鈍るはず。もうこれまでのような連携は発揮できないだろう。ここにきてようやく俺にも勝機が――



「月坂秋人。お前の強さに敬意を表し、俺達も少し本気を出すとしよう」

「何……?」

「スキル【守護霊】を発動」



 昼山の全身から青色のオーラが迸る。間もなくそのオーラの中から、一羽の巨大なワシが出現した。



『キュオオオオオ!!』



 まさかの二体目。呼び出せる動物は一体だけじゃなかったのか……!!



「これが俺の二人目の家族。名を〝ツー〟という」



 ワンの次はツーときたか。名前の由来は数字だったのかよ。それよりこの展開は非常にまずい。昼山とクマだけでも苦戦を強いられているのに、更に一体増えたら……!!



「くそっ!!」



 俺は半ばヤケになりながら【氷結】を発動し、無数の氷塊を昼山達に放つ。しかしワシの羽ばたきによって発生した強風に、全ての氷塊が吹き飛ばされてしまった。こいつもクマ同様、昼山のスキルで相当強化されているらしい。



「ははっ……」



 思わず変な笑いが出る。ようやく掴んだと思った勝機が、また遠のいていく。既に身体はボロボロ、もう秘策もない。俺はこいつらに勝てるのか……?




  ☆




 ――ニーベルングビル屋上――



 向井は【剣製】のスキルで数多の剣を生成して放つ。千夏は【氷結】のスキルで何層もの氷壁を展開してそれらを防ぐ。向井が必死な形相に対し、千夏は涼しげな顔。両者の表情を見ても戦況は明白であった。


 一度に一つの事象しか無力化できない向井にとって、複数のスキルを同時に発動できる千夏はまさに天敵。今の向井にできることは、ひたすら攻撃して千夏を防御に集中させること。千夏が攻勢に出たら、今度こそ向井の命はないだろう。



「返事をしろ昼山!! 早く屋上に来い!! 昼山!!」



 向井はスマホで昼山に加勢を求める。昼山の戦闘力なら千夏にも対抗できると考えたからだ。しかし何度かけても繋がらない。おそらくまだ秋人と戦闘中なのだろう。


 この際兵藤か広瀬でもいいと二人にも電話をかけたところ――兵藤に繋がった。どうやら秋人の仲間と交戦中らしいが、子供達を引き連れてすぐに駆けつけると兵藤は答えた。


 ひとまず向井は安堵した。様々なスキルを取り込ませた子供達が加勢すれば、この戦況を覆せるはず。手塩にかけて育ててきた甲斐があったというもの。一方の千夏は、そんな兵藤を見て蔑みの笑みを浮かべていた。



「仲間に助けを求めましたか。貴方も地に墜ちたものですね」

「ぐっ……黙れ!!」



 あれだけ豪語しておきながら誰かに頼るなど向井のプライドが許さない行為だが、そんなことが言える状況ではなかった。【剣製】のスキルも所詮は一時的なものなので、いつ使えなくなるか分からない。その前に兵藤達が来てくれることを祈るしかない。



「それにしても、ここは景色が素晴らしいですね。遠くの空港までよく見えます」



 向井の攻撃を防ぎながら、千夏が呟く。もはや自分のことなど意にも介していない様子に、向井はこの上ない屈辱を覚えた。



「貴様っ……余所見をするなあああああ!!」



 向井が咆哮すると共に、剣の勢いが増す。その執念が通じたのか、一気に氷壁を貫通して千夏の防御網を突破した。



「!」



 これは千夏も想定外だった模様。好機とばかりに向井は全ての剣を千夏へと放つ。新たな氷壁の展開も間に合わない。一瞬、向井は自身の勝利を確信したが――



「何……だと……!?」



 向井に衝撃が走った。全ての剣が、千夏に到達する前に弾き飛ばされたからだ。この現象にはハッキリと見覚えがあった。向井の【無効】である。



「何をそんなに驚いているのですか? 言ったでしょう、私の【再現】はこれまで私が認識したスキルを再現できると。当然、貴方のスキルも例外ではありません」

「……!!」



 それなら、わざわざ氷壁を展開して身を守る必要などなかったはず。千夏はただ向井を弄んでいたのだ。【無効】の力は向井が一番よく分かっている。これでは向井の攻撃は一切通用しない。



「ま……まだだ!!」



 それでも向井は再び剣を生成しようとするが――【剣製】が発動しない。どうやらタイムリミットが来てしまったようだ。もはや悪足掻きすらできない。



「さて。貴方のお仲間が駆けつけてくる前に、決着をつけましょうか。貴方はここで終わりです」

「終わり……だと……この私が……!?」



 向井の表情が絶望に歪んでいく。今の向井は、ライオンに追い詰められたウサギも同然であった。あとはただ、狩られるのを待つのみ。



「貴方をどう殺そうかと考えていましたが、さっき良いことを思いつきました。私の後ろに何か見えませんか?」

「……!?」



 向井は千夏の背後に目をやる。すると遙か遠くから一機の飛行機が接近してくるのが見えた。何故こんな時間に飛行機が――




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