表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

164/283

因果応報

「もはや万策尽きたな女!! 今度こそ私の可愛い子供達の手で葬ってやろう!!」



 春香の策は空振りに終わった。もはや春香に打つ手はない――そう思われた。だが、それでも春香は笑みを浮かべる。春香の勝利への自信は微塵も揺らいではいなかった。



「……何がおかしい!?」

「アンタが向井のスキルを取り込んでたのは予想外だったわ。けど残念だったわね。私の真の狙いは別にあったのよ」

「ハッ!! この期に及んでまだ強がりを――」

「どうやら随分と視野が狭まってるようね。ちゃんと周りを見てみたら? アンタの可愛い子供達、今どうなってるかしら?」

「……なっ!?」



 兵藤は大きく目を見開いた。春香の〝時間を10年進める力〟は、室内の空気に触れる全ての物体・生物に適用される。それは当然、兵藤の操り人形と化していた子供達も含まれる。つまり子供達の身体は10年分成長したのである。



「これって……!?」

「急に身体が大きくなった……!!」

「ていうか私達、ここで何を……!?」



 困惑する子供達。急激な身体の成長と経年劣化によって衣服も破け、全員が裸になっている。そして最も注目すべきは、兵藤の【洗脳】が解けて皆が自意識を取り戻していたことだ。



「あら、いつの間にか皆の洗脳が解けてるわね。どうしてかしら? あーそっか! アンタの【洗脳】は対象の自我が発達しているほど効き目が弱くなるんだったわね!」



 わざとらしく手を叩く春香。今の子供達は20歳前後であり、自我が十分に発達している年齢である。子供達を成長させて兵藤の【洗脳】から解放すること、それが春香の真の狙いであった。



「よくも私の愛しい実験道具を……こんな醜い姿に……!!」



 形勢は完全に逆転した。子供達を闘わせることも、人質として使うことも、もはや叶わない。兵藤は完全に孤立してしまった。



「みんな!! もうあんな奴の言うことを聞く必要なんてないわ!! みんなを散々苦しめてきたあの男に、今こそ復讐を果たす時よ!!」



 春香の決起の声で、子供達は鋭く兵藤を睨みつける。これまで子供達には年齢的に十分な意思能力が備わっておらず、ただ虐げられるしかなかった。だが急成長を遂げた今の子供達は違う。何が正しくて何が間違っているのか、自分で判断する意思能力がある。そして兵藤は、明らかに間違っている側の人間だ。



「兵藤さん……いや兵藤……!!」

「私達がどれだけ苦しい思いをしてきたか……!!」

「絶対に許さねえ……!!」



 兵藤の顔が絶望に染まっていく。子供達が自分に何をしようとしているのか理解したからだ。



「待て待て待て待て!! 今まで誰がお前達を育ててやったと思っている!? 私はお前達の父親も同然なんだぞ!! 恩を仇で返すつもりかあ!!」



 もはや兵藤の言葉など誰にも届かない。子供達は怒りと憎しみを糧に各々のスキルを発動する。ある子供は【火炎】を、ある子供は【光線】を、ある子供は【念力】を。どれも兵藤が強引に取り込ませたスキルである。



「そういえばアンタは【無効】のスキルを使えるんだったわね。でもこれだけのスキルを全て無力化するのは厳しいんじゃない?」

「や……やめろ……やめっ――ぎゃああああああああああーーーーーーーーーー!!」



 兵藤の悲鳴が響き渡る。数十秒後、子供達からの集中砲火を浴びた兵藤は、まるでボロ雑巾のような見るも無惨な姿と化していた。



「因果応報ってやつね。ざまぁみろよ」



 床に横たわる兵藤を見下ろしながら、春香は言い捨てた。



「この……私が……こんな……ところで……嫌だ……まだ……死にたく……」



 間もなく兵藤の身体は塵となり、完全に消滅したのであった。



「……はー」



 安堵感からか全身から力が抜け、春香はその場に座り込んだ。最後に子供達の協力があったとはいえ、転生杯参加者との一対一の闘いで勝利したのは、春香にとって初めての経験であった。



「本当に、ありがとうございました」

「貴女のおかげで、私達は自由になれました」

「なんとお礼を言ったらいいか……」



 すっかり大人の身体となった子供達は、口々に春香への感謝の言葉を述べた。



「ま、アタシが本気を出せばこんなもんよ!」



 春香は立ち上がり、いつもの調子で胸を張った。



「あっ。そういえば私達、裸だった……」

「この姿だと余計に恥ずかしいかも……」

「こ、こっち見ないでよ」



 皆が自分の大事なところを隠し始める。殆どの子供達が元々十歳前後であり、中身が6歳の春香と違って羞恥心が芽生えている年頃なので、女子達は特に恥ずかしいだろう。春香の目には男子達の裸も映っていたが、普段から秋人の裸を見慣れているので特に何も感じなかった。



「あの、僕達って、ずっとこの身体のままなのでしょうか……?」

「安心して。そろそろ元に戻る頃だと思うから」



 春香がそう言った矢先、子供達の身体が縮み始め、元の姿に戻った。春香の〝時間を進める力〟は左手と右手の能力を掛け合わせたものであり、また左手の能力は一時的なものなので、その法則が適用されたのである。




緊急事態宣言解除記念にブックマーク・評価をいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「クズ外道の俺は、洗脳スキルで美少女を脱がすことにした。」コミカライズ版、ガンマぷらすで連載開始!
洗脳コミカライズ
画像クリックで読めます!(性的表現が強い作品となっておりますので閲覧にはご注意ください)

書籍第1巻は8/10発売です!よろしくお願いします!
168261183.jpg?cmsp_timestamp=20220725120022:small
書籍紹介ページはこちらの画像をクリック!

コミカライズ版も連載中です!
冤罪コミカライズ
画像をクリックすると読めます!

書籍1~2巻発売中の「HP9999999999の最強なる覇王様」もよろしくお願いします!
DC7UV0gVoAA5qfI.jpg:small
書籍紹介ページはこちらの画像をクリック!
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ