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【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


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反撃の準備

「実験体58に与えたスキルは【念力】。この通り物体を自由に操ることができる」



 春香が危機を察知したのも束の間、数冊の本が勢いをつけて飛んできた。それらは逆行壁を難なく通過し、春香に襲い掛かった。


 春香の逆行壁はあくまで物体の時間を10秒巻き戻すというもの。物体が受けているスキルにまでは作用しない。本の時間を10秒巻き戻したところで何の意味もないのだ。



「思った通り、この手の攻撃に対してその壁は無意味のようだな」



 畳み掛けるように、空中に浮かぶ本が春香の方へ次々と放たれる。たかが本でも速度をつけて飛ばせば強力な武器と化す。



「ぐっ……!!」



 複数の本が春香に直撃し、身体の至る所から血が噴き出る。春香は激痛に顔を歪ませながら床に膝をついた。



「どうした? 自分の身体にスキルを使わないのか?」

「余計な……お世話よ……!!」



 これまで春香が秋人の負傷をスキルで帳消しにしてきたように、ここは自分の身体にも同じ処置を施そうとするのが普通だろう。しかし春香はそうしなかった。兵藤はそれを見て不敵な笑みを浮かべる。



「あー、そうか。使いたくても使えないのか。お前のスキルは自身に対して効果を及ぼさない。そうだろう?」

「……っ!!」



 またしても兵藤の読みは的中していた。つまり春香は自分の負傷を帳消しにすることができない。それが【逆行】の最大の欠点であった。春香がこれまで戦線に出たがらなかったのも、これが理由の一つである。



「それは広瀬からの情報にもなかったなあ。いや良いことを知った、せっかく痛めつけてもすぐに治されては白けるからな」



 再び子供が何十冊もの本を操り、春香に向けて飛ばす。先程のレーザーを放つ子供との闘いで本棚や机はほとんど破壊されてしまったので隠れる場所はなく、春香は必死に動いて本の直撃を最小限に抑えるしかなかった。春香にとっては天敵の相手だが、レーザー攻撃と違って当たれば一発KOというわけではない。


 無数の本と対峙しながら春香は考える。今のところ兵藤は一人ずつしか子供を闘わせていない。おそらく兵藤の【洗脳】はかなり繊細なスキルで、複数人の意識を奪うことはできても、命令を実行させられるのは一人だけなのだろう。つまり兵藤は複数人を同時に動かすことができない。子供達に一斉攻撃されたら一溜まりもないが、一対一ならまだ勝機はある。



「ほらほらどうした! 段々動きが鈍くなってるぞ! もっと頑張らないと……ん?」



 春香に野次を飛ばしていた兵藤だったが、途中で言葉を止めた。そして煩わしそうにポケットから携帯を取り出す。どうやら電話が掛かってきたらしい。



「まったく、誰だこんな時に……。向井様?」



 向井からの電話だと分かるや否や、兵藤の顔つきが変わった。



「向井様、一体どのようなご用件で――向井様!? どうなされたのですか!?」



 兵藤の顔から血の気が引いていく。やがて兵藤は携帯を持った手を静かに下ろし、春香に目を向けた。



「ジワジワと痛めつけてやるつもりだったが……。事情が変わった。お前は今すぐ殺すことにする」

「……!?」



 兵藤のあの反応、おそらく向井の身に何かあったものと思われる。きっと秋人が向井を追い詰め、向井が兵藤に助けを求めたのだろうと春香は推察した。もっとも向井を追い詰めていたのは千夏だったが、そんなことは夢にも思わなかった。



「……だったら私も、負けてられないわね」



 兵藤には子供達という大勢の手駒がいる。加勢させると面倒なことになるのは間違いない。だったらこいつは何としてでもここで倒す。春香はより一層自分を奮い立たせた。



「遊びは終わりだ。さあ、私の可愛い実験道具たちよ。あの女の命を奪え!」

「なっ……!?」



 春香は大きく目を見開いた。春香の推測に反し、全ての子供達が兵藤の命令で一斉に動き始めたからだ。



「私の命令を実行させられるのは一人だけだと思ったか!? お前はただ私の戯れで生き延びていたにすぎないんだよ!!」



 始めから兵藤の【洗脳】に人数制限などなかったのである。全員が何らかのスキルを付与されていると考えていいだろう。これだけの数から攻撃されたら、もはやどうしようもない。


 まさに絶体絶命。だが――春香は笑みをこぼした。まるで自らの勝利を確信したかのように。



「……何を笑っている?」

「なるほど、戯れね。でもそのおかげで、私の反撃の準備は整ったわ」

「ハッ、何を言い出すかと思えば。この状況でどう反撃するつもりだ?」



 そう言いながらも、兵藤は子供達への命令を一時中断していた。こいつらも他者のスキルを取り込む方法に行き着いていた。ならばこの女も何らかのスキルを取り込んでいる可能性がある。そのスキルの正体が分からない以上、不用意に攻めるのは危険――そう兵藤の本能が告げていた。



「知ってた? マイナスとマイナスを掛けたら、プラスになるってこと」



 唐突な春香の発言に、兵藤は眉をひそめる。



「当たり前だ。何が言いたい?」

「ふーん、そう。生前の私は6歳の時に死んだから、そういうのを学んだのは仮転生してからなのよね」




おかげさまで総合評価29000ptに到達しました!30000ptまでもう少しですので、ご協力の程何卒よろしくお願いします!

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