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【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


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向井の目的

 千夏は絶望に打ち拉がれる。千夏が勝機を見出していたのは、向井に攻撃する手段がないと踏んでいたからだ。しかしこれでは……。



「それと、もう一つ良いことを教えてあげよう。お前はひらすら攻撃を続けていればいずれ私にも限界が来ると思っていたようだが、私の【無効】にはその限界がない。つまり無限に無力化できるのだよ」

「……!!」

「私は他の転生杯参加者とは一味違ってね。まあ、運がなかったと諦めることだ」



 向井は10の倍数の痣を有するマルチプルの一人。雪風同様、支配人からより強力なスキルを与えられていた。



「さて、それでは反撃といこうか」



 千夏に向けて一本の剣が放たれる。千夏は瞬時に氷の壁を生成し、それを防いだ。



「ほう、初めてにしてはよくスキルを使いこなせている。お前が転生杯の参加者だったらもっと良い勝負ができたかもしれないというのに、惜しいな」



 向井は畳み掛けるように剣を放ち、氷壁を破壊する。すかさず千夏は二つ目の氷壁を生成し、襲い来る剣から身を守る。向井が全ての剣を使い果たしたのも束の間、再び向井の周囲に数多の剣が出現した。



「さあ、休んでいる暇はないぞ。いつまで凌げるかな?」

「ぐっ……はあっ……!!」



 身体の限界がすぐそこまで迫っている。戦況は絶望的。もはや勝機もない。それでも千夏が膝を折ることはなかった。


 間もなく二つ目の氷壁も破壊される。千夏は三つ目の氷壁を展開しようとするが――氷が出現しない。千夏は【氷結】の発動に全神経を集中させるが、それでも結果は変わらなかった。



「どう……して……!?」



 確かに限界は近いが、ギリギリ余力があることは千夏にも感覚で分かる。なのに何故スキルが発動しないのか。考えられるとすれば一つしかない。



「どうやら肉体の限界よりもスキルのタイムリミットの方が早かったようだな。スプレー缶一本程度の吸飲量ではそんなものだろう」



 向井の言葉は的を射ていた。千夏がスキルを得たのは一時的な現象にすぎず、スキルの持続時間はスキル因子の吸飲量に比例する。つまりはスキル因子の吸飲量不足が原因である。今の千夏はただの一般人に戻ってしまった状態だ。



「万策尽きた、といったところか。だがこれ以上無駄に足掻いて余計な苦しみを抱かずに済んだのだから、お前にとってはむしろ喜ばしいことだろう」



 向井の攻撃を防ぐ手立てを失った。もうスキルを得る手段もない。もはや千夏はどうしようもなかった。



「さて。息の根を止める前に、一つ聞いておこうか。お前は何の為にここへ来た?」

「……!? そんなの……子供達を助け出す為に決まってます……!!」



 息を切らしながら千夏は答えた。だが千夏がこのビルに潜入した目的は既に向井も分かっているはず。なのに何故今更そんなことを聞くのか。



「本当にそれだけか? 子供達を助けたい、本当にただそれだけの為か?」

「何が言いたいんですか……!?」

「分からないか? ならば質問を変えよう。何故お前は子供達を助けたいと思った? お前にとってそいつらは赤の他人のはずだ」

「他人だろうと関係ありません! 苦しんでいる人達を助けたいと思うのは人として当然の感情です!」

「綺麗事だな。お前の本心を言い当ててやろう。お前はただ〝ある男〟に自分のことを見てほしいだけだ」

「!!」



 千夏の脳裏に、秋人の顔が過ぎる。



「何か大きなことを成し遂げれば、きっと〝その男〟は振り向いてくれるに違いない。その為にお前は、子供達を助けるという大義を利用しようとした。そうだろう?」

「そんな……ことは……」



 千夏は言葉に詰まった。子供達を助けたいというのは紛れもなく千夏の本心だ。だが向井の言葉を完全に否定できない自分もいた。



「恥じることはない。目的の為ならどんなものでも利用する、その方が人間味があっていい。私も同じだ。目的の為なら手段は選ばない」

「目的……転生杯で最後まで勝ち残ることですか……!?」

「それはあくまでゴールの一つに過ぎない。冥土の土産に教えてあげよう。私の最大の目的……それはこの腐りきった現代社会を破壊することだ」



 大袈裟に両腕を広げながら、向井は言った。



「現代社会を……破壊……!?」

「今の日本は実につまらないと思わないか? 第二次世界大戦の終結から74年間、この国は平和が続いている。だがその平和に染まりすぎた結果、人はくだらないことで啀み合い、憎み合い、妬み合うようになった。ネットが良い例だ。匿名なのをいいことに平気で他人を中傷する者達で溢れかえっている。醜い、本当に醜い。私はなんという時代に蘇ってしまったのか……」



 向井は嘆くように自らの顔を左手で覆う。



「だから私は、この現代社会には〝刺激〟が必要だと思った。兵藤や広瀬、そして多くの一般人が私の考えに賛同し、やがてニーベルングの設立に至った。子供を集めているのもその一環だ。強力なスキルを有した子供達を世間に解き放ち、派手に暴れさせたらどうなるか……。想像するだけでワクワクしてこないか?」




地震で結構揺れましたが被害はありませんでした。

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