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【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


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質疑の時間

 よっぽど疲れていたのか、目覚めたのは夕方になってからだった。これだけ寝たというのに、体調は一向に回復する兆しがない……。リビングに顔を出すと、千夏が台所で夕飯の準備をしていた。



「秋人さん! 目が覚めたんですね!」

「……ああ。ごめんな、遅い時間だったのに女の子を任せたりして」

「いえ、とんでもないです! 秋人さんは闘いを終えてお疲れだったでしょうから……」

「それで、あの子は?」

「とりあえず空いている部屋に寝かせました。今も眠ってるのではないでしょうか。体調は良好みたいです」

「そうか。それはよかった」



 おお、なんかもう普通に会話できてるし、千夏との間にだいぶ気まずさがなくなってきた感じがする。よし、ここはもう一押し……!



「お礼と言ってはなんだけど、夕飯の準備を手伝わせてくれ!」

「えっ!? そ、そんな悪いですよ! それに秋人さんって……」

「大丈夫! 確かに料理の経験は全くないけど、手伝うくらいはできる! このタマネギの皮を剥けばいいんだな!」



 俺は張り切って包丁とタマネギを手に持ったが――



「ぎゃあああああ!!」

「秋人さん!?」



 開始数秒で派手に指を切ってしまったのであった。





 千夏の足を引っ張るだけだと悟った俺は、大人しくリビングから立ち去った。まさか自分がここまで不器用だったとは。生前コンビニ弁当や冷凍食品ばかりに頼って料理を全くしなかったツケが回ってきた感じだ。


 しかしかなり深く指を切ってしまった。応急処置は済ませたが、完全に血は止まっていない。春香にお願いすれば【逆行】のスキルで指を切る前の状態に戻してくれるだろうか。


 それはさておき、女の子の様子が気になったのでどこにいるのかとアジト内を歩き回っていると、誰も使ってないはずの部屋から灯りが漏れていた。女の子はその部屋のベッドで横になっており、その傍には春香、真冬もいた。



「あっ、やっと起きたのね秋人」

「……秋人、身体は大丈夫?」

「ああ。なんともない」



 正直あまり大丈夫ではないが、皆に心配をかけたくないのでそう答えた。



「この子はまだ目覚めてないのか?」

「ええ。色々と聞きたいことはあるけど、無理矢理起こすのは気が引けるし」



 俺は今一度、女の子の腕に触れてみる。



「ちょっと秋人! いくら欲求不満だからってこんな幼気な子に……!!」

「違うから!! スキルを奪えないか試してるだけだ!! ロリコンネタしつこいぞ!!」



 しかしやはり結果は同じだった。どうやら俺が炎と氷を操る最強キャラになる道は完全に断たれてしまったようだ。無念極まりない。



「昨夜の闘いはアタシも見てたけど、随分と闘いづらそうだったわね秋人」

「そりゃそうだろ。相手は一般人、しかも子供だったんだぞ。平常運転で闘える方がおかしいっての」

「へえ、意外ね。秋人って『一般人だろうが子供だろうが関係ねえ! 俺に歯向かう奴は全員ぶっ殺してやるぜヒャッハー!』みたいなキャラだと思ってたわ」

「俺を何だと思ってる!?」

「冗談よ。そんな鬼畜だったら仲間にしたことを後悔してたところよ」

「ったく……」



 俺は改めて女の子の顔を見る。昨夜俺と闘った時とはまるで別人のような、穏やかな寝顔だ。もし何者かがこの子を操って闘いを強要していたのだとしたら、そいつは一発ぶん殴ってやらないと気が済まない。



「うっ……」



 その時、女の子から小さな声が漏れる。間もなく女の子は目を覚まし、ゆっくりと身体を起こした。



「ここ……は……?」



 女の子は部屋の中を見回した後、怯えた様子で俺達の顔を見る。



「怖がらなくていいわよ。お姉ちゃん達は、アナタを保護したの」



 お姉ちゃんて。この子は見た目的に十歳前後だろうし実年齢でいったら春香の方が年下だろ、なんてツッコむのは野暮か。



「アナタ、お名前は?」

「……里菜。小宮里菜」

「アタシは春香、よろしくね里菜ちゃん。昨夜の出来事は覚えてる?」

「昨夜……?」

「そっ。このお兄ちゃんにアナタは襲われたのよ」

「誤解を招く言い方やめろ!! つーか俺は襲われた側だ!!」

「ごめんごめん、間違えちゃった。とにかくアナタは昨夜、このお兄ちゃんと闘ったの。覚えてる?」



 里菜ちゃんは首を横に振った。覚えていないということは、何者かに操られていた説が濃厚になってきたな。支配人が記憶を改竄した可能性も考えたが、それなら不都合が生じないように何か代わりとなる記憶を入れられているはずだ。



「本当に覚えてないの? 凄い炎を出したりしてたけど」

「炎……」

「そっ。ちょっと試してみてくれる? 掌の上に炎を生み出すイメージで」



 春香に言われ、里菜ちゃんが右手を広げる。しかし何も起きなかった。俺の【略奪】でスキルを奪えなかったことからしても、今この子の中にスキルは存在しないと考えるべきか。



「里菜ちゃんの家はどこ? 両親は? きっと心配してるわよ。快復したらアタシ達が送ってあげるから」

「……分からない」

「分からない?」

「お家も……お父さんも……お母さんも……」

「それじゃ里菜ちゃんはどこに住んでるの? 誰かお世話してくれてる人がいるの? 知ってること、できる限り教えてくれる?」




おかげさまで200万PV突破しました。引き続きよろしくお願いします。

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