表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

131/283

お持ち帰り

 相変わらず女の子は血走った目で俺を睨みつけている。たとえ身体が限界でも、おそらくこの子は俺を倒すまで闘い続けるだろう。いや正確には、この子を操ってる奴が闘わせ続けるだろう。戦闘が長引けばこの子が壊れてしまうかもしれない。そうなる前に、この子を止めなければ。



『……分かった。女の子を止める方法を考えてみる』



 流石は真冬、この数秒間の沈黙で俺の考えを察してくれたようだ。だがどうする。こちらの攻撃が一切通用しない以上、そう簡単には止められない。



『秋人。今から私の言う通りにしてみて』



 真冬が俺に作戦を伝える。なるほど、その方法なら……!


 まず作戦の第一段階として【操縦】を発動。先程弾き飛ばされた自転車を再び動かし、俺のもとまで走らせる。



「わ、わあー! 駄目だ、俺じゃ勝てない! もう逃げるしかない!」



 俺はその自転車に飛び乗り、女の子から逃げる。と言っても逃げるフリだ。しかし我ながら酷い棒読みである。



「……ガアアッ!!」



 それでも女の子はしっかり追いかけてきてくれた。よし、いいぞ。ある程度女の子を引き離したところで俺は十字路を右に曲がり、自転車を乗り捨てた。


 続いて作戦の第二段階。何かちょうどいい物はないかと周囲を見回すと、とある理髪店のサインポール(赤白青の三色がクルクル回るやつ)が目に留まった。なかなか強度がありそうだし、あれを使おう。


 最後の仕上げとして、俺は【氷結】を発動し、手の平にテニスボールサイズの氷を生成した。無論こんな物で女の子を止めるつもりはない。この氷はあくまで呼び水だ。俺は路上の真ん中に立ち、女の子を待ち構える。



『秋人、来る!』



 真冬の言葉通り、間もなく十字路に女の子の姿が見えた。そして俺を発見するや否や凄まじい速さで向かってきた。


 やはり普通の子供とは思えない身体能力だ。だが速ければ速いほど、この作戦の成功率が上がるというもの。問題はタイミングだ。少しでもズレたら失敗に終わる。


 そして俺と女の子の距離が約十メートルを切ったあたりで、俺はさっき生成した氷を前方に軽く放り投げた。当然その程度で女の子が足を止めるはずもなく、構わず俺の方へ突っ走ってくる。狙い通り!


 氷と女の子の距離がギリギリまで縮まったその瞬間、俺は【入替】を発動。氷とサインポールの位置を瞬時に入れ替えた。もはや女の子が足を止められるはずもなく――



「ガッ……!!」



 女の子は勢いよくサインポールに衝突した。こちらの攻撃が通用しないのなら、相手の攻撃を利用すればいい。真冬の作戦通りだ。


 女の子が地面に倒れる。今ので気を失ったらしく、起き上がってくる気配もなかった。勝負ありだ。俺は女の子に駆け寄り、念のため命に別状がないことを確認した。


 しかし手心を加えていたとはいえ、まさか子供一人を相手にここまで手こずってしまうとはな。気付けばこれまで俺が【略奪】で手に入れたスキルを全て使ってたし、ある意味強敵だった。


 では【略奪】で有終の美を飾るとしよう。俺は女の子の細腕に触れた。これでついに俺は氷の炎を操る最強の男に――



「……んん?」



 俺は首を傾げる。おかしい。【略奪】の発動条件は満たしているはずなのに、いつまで経ってもスキルを奪った感覚がない。


 もしやこの子は最初からスキルを所持していなかった……? いやそんなはずはない、確かにこの子は【火炎】と攻撃無力化、二つのスキルを操っていた。では何故スキルを奪えないのか。



『秋人。色々と調べたいことがあるから、その幼女をお持ち帰りして』

「言い方に悪意あるだろ!」



 つい真冬の声にツッコミを入れる。しかしこの子を路上に放置するわけにもいかないので、俺は女の子を背負ってアジトに帰宅することにした。


 こんな夜遅くに幼女を背負って歩く26歳の男……。我ながら犯罪臭が凄い。警官に見つかったら一発でアウトだな。外見が16歳ってことがせめてもの救いだ。





 日付も変わり、午前一時前。幸い警官とすれ違うこともなく、俺は無事に女の子と共にアジトに帰宅した。ドアを開けると、千夏と真冬が玄関まで駆けつけてきてくれた。



「秋人さん! お怪我などはありませんか!?」

「……ああ、大丈夫。悪いな心配かけて」

「秋人、その女の子どうしたの? まさか誘拐したの? いつかやりかねないとは思ってたけど……」

「一部始終を見ておいてその発言はおかしいだろ!! 俺をロリコンキャラにするのやめろ!!」

「ごめん、冗談。お疲れ様」



 真冬の冗談好きには困ったものだ。だけど闘いに勝てたのは真冬の作戦のおかげだし、大目に見てやろう。



「春香は?」

「春香は普通に寝た」



 寝たんかい。春香らしいっちゃらしいけど。俺の帰りを待ってくれていた千夏と真冬が天使に見えてくる。



「悪いけど、この子を任せてもいいか? 俺も早く寝たい……」

「分かりました。ゆっくり休んでください」

「……ありがとな」



 女の子を千夏に預けると、俺は吸い込まれるように自分の部屋へ向かった。大した怪我はなかったが、体調が優れないまま激しい戦闘を繰り広げたので、もう限界だと身体が悲鳴を上げている。俺は着替えもせずにベッドに転がり、深い眠りについた。




ブックマーク・評価をいただけると運気が上がりそうです。よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「クズ外道の俺は、洗脳スキルで美少女を脱がすことにした。」コミカライズ版、ガンマぷらすで連載開始!
洗脳コミカライズ
画像クリックで読めます!(性的表現が強い作品となっておりますので閲覧にはご注意ください)

書籍第1巻は8/10発売です!よろしくお願いします!
168261183.jpg?cmsp_timestamp=20220725120022:small
書籍紹介ページはこちらの画像をクリック!

コミカライズ版も連載中です!
冤罪コミカライズ
画像をクリックすると読めます!

書籍1~2巻発売中の「HP9999999999の最強なる覇王様」もよろしくお願いします!
DC7UV0gVoAA5qfI.jpg:small
書籍紹介ページはこちらの画像をクリック!
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ