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【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


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ケアレスミス

第2回アース・スターノベル大賞の選考通過しました!詳しくは後書きで!




 そして30分後、数学のテストが始まった。春香とゲームをしながら待つこと90分、テスト終了。春香による採点が行われる。



「結果発表ー! 千夏ちゃん、94点! 二教科の合計点、186点!」

「……はい。ありがとうございます」



 できればもっと取りたかった、という千夏の顔。94点でも十分凄いけどな。俺なんて5点だぞ5点。


 ここで真冬の点数が87点以下だったら千夏の勝ち、89点以上だったら真冬の勝ちとなる。しかし真冬が数学で9割を切ってるとは思えない。というか普通に100点とか取りそう。千夏も敗北を悟った表情を浮かべている。果たして結果は……。



「真冬、79点! 二教科の合計点、177点!」

「……えっ!?」



 思わず俺は声を上げた。9割どころか8割を切った!? あの真冬が!?



「どうしたんだ真冬。急に体調でも悪くなったのか?」

「……ケアレスミスを連発しちゃった。それだけ」



 特に落ち込んだ様子もなく真冬は言った。ケアレスミスか。真冬にだってそういうこともある、のか……?



「というわけでこのテスト対決、千夏ちゃんの勝利ー!! 千夏ちゃん、今のお気持ちを一言どうぞ!」

「……やれるだけのことはやりました。悔いはありません」

「いやいや、勝ったのは千夏だぞ」

「……えっ!? 私、勝ったんですか!?」



 信じられないといった顔の千夏。まさか数学で大逆転するとは千夏も思っていなかったのだろう。



「そ、それでは、私が秋人さんに勉強を教えていいんですね!?」

「……ん。おめでとう千夏」

「ありがとうございます!」



 千夏は今までの中で一番の笑顔だった。そこまで喜んでくれると、俺としても嬉しい限りだ。


 そんなこんなで、俺の教育係は千夏に決定したのであった。




  ☆




 テスト対決を終えた直後。真冬が一人で風呂に入っていると、春香が浴室のドアを開けて顔を出した。



「真冬、アタシも一緒にいい?」

「……ん」

「それじゃ、遠慮なく」



 春香も裸になって湯船に浸かり、真冬の隣りに座った。



「なんか、こうして真冬とお風呂に入るのって随分久し振りよね。真冬はアタシと秋人がいる時は絶対に入ってこないし」

「……そんなの当たり前。秋人と普通に入ってる春香がおかしいだけ」

「そうかしら。そろそろ真冬も秋人に裸を見せるくらい許してあげてもいい頃だと思うけどなー」

「絶対無理!」

「ていうか前に二人でお風呂に入ったことあるんだから、今更そんなに拒否しなくてもいいじゃない。一回裸を見られたんなら何回見られたって同じでしょ」

「~~~~!! それとこれとは話が別!!」

「はいはい、分かったわよ」



 それから真冬が落ち着きを取り戻したあたりで、春香が再び口を開いた。



「さっきのテスト対決、わざと負けたでしょ」

「……何の話?」

「惚けたって無駄よ。秋人達は騙せても、アタシはそうはいかないんだから」



 真冬は観念したように嘆息した。



「どうして分かったの?」

「だって真冬の数学の答案、明らかに不自然なミスばかりだったんだもん。わざと点を取らないようにしてるってすぐに分かったわ」

「…………」

「なんでそんなことしたの?」



 短い沈黙の後、真冬が重い口を開いた。



「千夏が私に勝とうと必死になってる姿を見てたら……。なんだか私が秋人と千夏の邪魔をしてる気になって」

「邪魔?」

「ん。元々千夏が秋人に勉強を教えるって話だったのに、私が勝手に割り込んで……。それに秋人には私なんかよりも、千夏の方がお似合いだと思うから。だから千夏に勝ちを譲ることにした」



 どこか悲しげに、真冬はそう言った。



「ふーん、なるほどね。でもアタシには真冬の方がお似合いだと思うけどな。アタシから見ても二人の相性はかなり良いと思うし」

「……ほんと?」

「ほんと。だから真冬も、もっと自分に自信を持っていいんじゃない?」

「……ん。ありがと春香」



 少し嬉しそうに、真冬は顔半分を湯船につけた。



「ていうか、やっぱり真冬って秋人のこと好きなのね」

「っ!? べ、別にそんなんじゃない!!」



 思わず立ち上がって叫ぶ真冬。



「こらこら、女の子がそんな堂々と裸を晒すもんじゃないわよ」

「春香にだけは言われたくない!」

「あっ。秋人が入ってきた」

「っ!?」



 真冬は慌てて湯船の中に身体を隠す。しかし誰も浴室に入ってくる気配がない。



「ふふっ。冗談よ冗談」

「~~~~!! 春香のバカ!!」




  ☆




 翌日の放課後、俺と千夏は図書室に足を運んだ。勉強するならここが一番集中できるだろうという俺の提案だ。俺と千夏は向かい合う形で椅子に座る。



「悪いな千夏、俺の為に時間を割いてもらって」

「い、いえ! 全然大丈夫ですので気にしないでください!」

「これでも学生時代はそれなりに勉強してたんだけどな……」

「秋人さんの場合はしょうがないですよ。学生の頃からだいぶ時間が経ってますからね」



 俺は26歳の時に死んだから、高校を卒業してから8年……。仮転生するまでの期間を含めると、実に12年近く経ってるわけか。そりゃ勉強の内容なんて忘れるわな。



「頼りにしてるにゃ千夏ちゃん!」



 いつの間にか、千夏の隣りには朝野が座っていた。




前書きでも書きましたが、この度第2回アース・スターノベル大賞の選考を通過しました。

応募作4521作品の中から通過できたのは僅か44作品で、その中の一つに自分の作品を選んでいただけたというのは嬉しかったですし、また驚きでした。

ストーリーはまだまだ先が長いのですが、この段階で評価していただいた審査員の方々には感謝しかありません。

この結果はこの作品を読んでくださっている方々、ブックマークや評価をしてくださった方々のおかげだと思っています。

通過作品の中ではポイントは高い方ではないのでどうなるかは分かりませんが、ここまできたら最終選考も通過して書籍化を勝ち取りたいですね……!

最終選考の発表は10/30なので、それまで眠れない日々が続きそうです……。

長文失礼しました。引き続き応援よろしくお願いします!

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