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【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


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手中のパンツ

 改めて、その二つのスキルの紹介をしておこう。まずは元雪風のスキル【氷結】。まあ簡単に言うと氷を生成するスキルだ。氷塊を放って攻撃したり氷壁を展開して防御したり、多種多様な使い方ができる。だが雪風がやっていたように、無限に再生する氷壁や自律行動が可能な氷人形を作り出すことは、どんなに頑張ってもできなかった。


 雪風にそんな芸当ができたのは、雪風がマルチプル(10の倍数の痣)であり、より強化された状態の【氷結】が付与されていたからだと思われる。つくづくマルチプルというのはズルい存在だ。


 続いて元雪風弟のスキル【入替】。二つの物体を対象として、その二つの位置を入れ替える。こう言うと単純なスキルに思えるが、その発動条件はかなりシビアである。


 一つ目、基本的に自分以外の人間を対象にはできない。よって空を飛んでいる鳥と敵の位置を入れ替えて敵を高所から突き落とす、なんて真似はできないわけだ。それができたら強すぎるしな。


 ただし相手側にも〝入れ替わる〟という意志があればその限りではない。巨大氷人形との闘いで俺と春香の位置を入れ替えることができたのはそのためだ。


 二つ目、入れ替える二つの物体の形状と距離を正確にイメージしなければならない。二つの物体がどちらも視界にあれば形状も距離も簡単にイメージできるので発動は容易だが、どちらか一方あるいは両方が視界にない場合、発動難易度はグンと跳ね上がる。例えるならバスケで目隠しをしながら3Pシュートを決めるようなものだ。それでも雪風弟はこのスキルをかなり使いこなせていたようなので、何気に凄い奴だったことが分かる。


 では実際にやってみよう。俺達の数メートル先を一人の女子高生が歩いている。そこで俺が持っているハンカチと、彼女が穿いているパンツを入れ替えるとする。その為にはハンカチとパンツの距離と、それぞれの形状をイメージする必要がある。彼女は俺の視界にいるので距離のイメージは簡単だが、問題は形状だ。

 

 そう、俺には彼女がどんなパンツを穿いているのか分からない。つまりイメージのしようがない。よってこの場合、発動はできないのである。


 逆に言えば視界になくてもイメージさえできれば問題ない。今度は俺のハンカチと春香のパンツを入れ替えるとする。春香のパンツはさっき見せてもらったので形状のイメージは簡単だ。よってスキル【入替】を発動。俺の手元からハンカチが消え、代わりにピンク色のパンツが舞い込んだ。発動成功だ。



「ひゃあっ!?」



 同時に春香が可愛らしい悲鳴を上げ、両手でスカートを押さえた。その足下には俺のハンカチが落ちている。



「えっ!? あれっ!? なんで急にパンツが消え……ってなんで秋人がアタシのパンツ持ってんのよ!? まさかスキルを使ったの!?」

「あっ……。ご、ごめん」



 冷静に考えたら何やってんだ俺。ついさっきまで春香が穿いていたから生温かい……。



「もう、一緒に住んでるんだからアタシのパンツを盗むチャンスなんていくらでもあるでしょうに……。そんなに欲しいならあげるわよ」

「マジ!? ありが――っていやいや返すからちゃんと穿いてくれ!! 俺が悪かった!!」





 やがて俺と春香は学校に着いた。先生に挨拶する生徒や、友達と談笑する生徒。平和な光景がそこにあった。先日の事件がまるで嘘のようだ。



「秋人くーん! 春香ちゃーん!」



 校門を通り過ぎたあたりで、背後から聞き覚えのある声がした。朝野だ。



「おっはよー! 二人とも元気にしてた?」

「ああ。朝野も元気そうだな」

「私はいつだって元気100%にゃ!」

「……この間は色々と助かった。ありがとな」

「えー、お礼なんていいって! なんか照れるにゃ!」



 朝野が協力してくれなかったらより多くの犠牲が出ていただろうし、雪風を倒すこともできなかっただろう。



「ちょうどよかった。アンタに話があるの」

「春香ちゃんが私に? ハッ! ももももしかして、愛の告白!? 困ったにゃー、私にそういう趣味はないのに……」

「何言ってんの!? 馬鹿じゃないの!?」

「あれ、違った? じゃあ話って何?」

「それは……ってかアンタ、痣が丸見えじゃない!」

「え? あ、ホントだ。うっかりしてたにゃ」



 夏服になったというのに、朝野は〝27〟の痣を全く隠していなかった。



「まー別にいいんじゃない? この痣を見られたところで私達の正体がバレるわけじゃないし、仮にバレても支配人さんが何とかしてくれるはずにゃ」

「いいわけないでしょ! 目立つし不自然だし! まったく、これあげるからちゃんと隠しなさいよね」



 春香は俺に渡そうとしていた青色のリストバンドを朝野に手渡した。



「おおー、カッコイイにゃ! ありがと春香ちゃん、大事に使うね!」

「どういたしまして」



 ま、女子同士ならお揃いのリストバンドを付けていたところで騒がれることはまずないだろう。



「それで春香ちゃん、私に話って?」

「っと、そうだったわ」



 一呼吸置いて、春香は口を開いた。



「朝野。アタシ達の仲間にならない?」



 春香の思いがけない発言に、隣りにいた俺は目を丸くした。



「アタシ達はチームを組んでいて、四人の参加者を集めてる最中なの。今のところアタシと秋人、そして真冬の三人。だからあと一人欲しいのよ。いいわよね秋人?」

「……ああ、勿論」



 突然の勧誘には驚かされたが、朝野は俺と互角に闘えるほどの実力があるし、朝野が仲間になってくれたら戦力が大幅に上がる。悪い奴じゃないってのはもう分かってるし、俺としても大歓迎だ。


 しかし一方の朝野はというと、なにやら難しげな顔を浮かべていた。



最近色々とうまくいかないことが多いですが、頑張って更新していきます。応援よろしくお願いします。

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