46:参考文献とおまけ話
* このお話を書くのに、参考にさせていただいた本の紹介 *
監修 かんのなおみ 『いちばんわかりやすい かぎ針編みの基礎BOOK』 成美堂出版 2009年
編集 小苅米アヰ子 『大好きなあみぐるみ』 株式会社 雄鶏社 2007年
ほし みつき 『編み犬の毎日』 文化出版局 2008年
ほし☆みつき 『あみぐるみネコと仲間たち』 株式会社ブティック社 2009年
企画・編集 E&Gクリエイツ 『週末で完成! かぎ針編み 刺しゅう糸で作る ミニチュアレストラン77』 アップルミンツ(E&Gクリエイツ)発行 朝日新聞出版 2018年
* おまけ話 *
ここは、「魔」の公爵家の別邸。
森に囲まれたこのお屋敷の窓辺に、ライオンのあみぐるみがちょこんと座っていた。
彼の名前は「ライ」。「ライオン」だから、「ライ」。
窓の外は、うっすらと雪が積もってキラキラしている。爽やかな朝の光を浴びながら、ライはぴょこんと立ち上がった。
そして、とたとたと歩いて食堂に行く。
「ライちゃん!」
声を掛けてくれたのは、大好きなママ。
ライはママの元へ駆け寄り、ぎゅっと抱き着いた。ママは微笑みながら、ライを抱っこしてくれる。
そこに、パパがやって来た。
「……ライはまた抱っこしてもらっているのか。甘えん坊だな」
「ふふ、可愛いですよね! やっぱりあみぐるみは最高なのです!」
パパの名前はレオンハルト。魔術が得意で、とってもかっこいい人だ。
ママの名前はフィロメーナ。編み物が得意で、とっても優しい人だ。
パパとママは、数か月前に結婚した。ライはママに連れられて、パパのいるこの素敵なお屋敷にやって来た。
ライは、パパもママも大好き。だから、毎日とっても幸せだ。
「さあ、そろそろ城に行くぞ。ライ、おいで」
パパが大きな手を伸ばしてくる。ライはママの腕の中からぽんと飛び出して、パパに抱き着いた。
そう、これからライはパパと一緒に、お城へお仕事をしに行くのだ!
「行ってきます、メーナ」
「行ってらっしゃい、レオン様、ライちゃん」
ママに見送られて、パパとライは魔術でお城に移動した。
「あ、おはようレオンハルト。それに、ライくん」
迎えてくれたのは、この国の王子様。いつも忙しそうにしているこの王子様は、今日もなんだかバタバタしている。
机の上が、書類でぐちゃぐちゃだ。
「レオンハルト、騎士団がまたもめてるみたいなんだ。来たばかりで悪いけど、様子を見てきてくれないかな?」
「分かった。……ライ、王子のこと、頼んだぞ」
パパの言葉に、ライは力強く頷いた。
ライのお仕事は、パパに教えてもらった魔術で王子様を守ること。
そう、ライは王子様の護衛なのだ!
パパが部屋から出て行くと、ライは王子様と二人きりになった。
「……それにしても、ライくんはレオンハルトによく似ているね。本当にそっくりだ」
王子様は優しい瞳でライを見つめてくる。
背の高い赤髪の人間であるパパとどこが似ているのか、ライにはよく分からないのだけど。
でも、パパにそっくり、と言われるのはすごく嬉しい。思わずぴょんぴょん跳ねてしまう。
「はあ、可愛いなあ、ライくんは。癒されるー」
ライは王子様の膝の上に乗せられた。そして、頭をぐりぐりと撫でられる。
こうしていると、ライは王子様の護衛というより、癒しのペットな気がしてくる。
まあ、良いけど。撫でられるの、好きだし。
ライは王子様の膝の上で、ぽんぽんお尻を跳ねさせた。
――そんな風に、一日お仕事を頑張った後。
ライはパパと一緒に、大好きなママが待つお屋敷に帰る。
「ただいま、メーナ」
「おかえりなさい、レオン様、ライちゃん!」
笑顔でお迎えしてくれるママを、パパがぎゅっと抱き締める。ライは二人の間に挟まれて、幸せいっぱいの気持ちになった。
「あ、ベル兄様とオル兄様から手紙が来たのですよ! 今度のお休みに遊びに来てくれるそうです!」
「……休みのたびに遊びに来てないか? 君の兄たちは」
「ふふ、今度こそレオン様の魔術に勝ってみせるんだって意気込んでいるみたいですよ。なんか、レオン様と勝負するのが楽しくて仕方ないって書いてありました!」
ママがにこにこしながら、ママのお兄様たちの話をする。ママのお兄様たちはちょっと恐いけど、とっても面白い。遊びに来てくれるのが楽しみだ。
「……俺は、やっぱり君の兄たちに嫌われているのだろうか……」
パパが少しだけ、元気のない声を出した。ライはなんだか心配になってしまう。
でも、ママだけはくすくすと明るい笑みを零した。
「逆ですよ。ベル兄様もオル兄様も、レオン様のことを本当の弟みたいに考えているのです。家族の一員だって思ってくれているのですよ」
「……本当に?」
「はい! だって、兄様たちは嫌いな人に対しては無視を貫くタイプですから。レオン様は間違いなく好かれてますよ!」
「そうか。それなら嬉しいな……」
パパの表情が明るくなって、ライも釣られて嬉しい気分になった。
ママはすごい。パパをすぐ笑顔にできるから。
「メーナと結婚して良かった。俺、メーナの言葉にいつも救われている気がする。結婚してから、本当に毎日幸せなんだ」
「私もレオン様と結婚してから、いつも幸せなのです!」
「大好きだよ、メーナ。……愛してる」
「レオン様……私も、レオン様のことが大好きです……」
パパがママにキスをすると、ママの顔が真っ赤になった。
そんなママに、パパは「可愛い」と囁いて、またキスをする。
ライは仲良くし始めたパパとママの傍から、慌てて離れた。
部屋を抜け出し、広い廊下をとたとた走る。
仲良くしているパパとママの邪魔はしたくない。
だって、邪魔をしないようにしていればこのお屋敷に赤ちゃんが来てくれるって、使用人のトビアスとソフィアが教えてくれたから。
きっと、その赤ちゃんはライの弟か妹になるのだと思う。赤ちゃんが来たら、一緒にいっぱい遊んで、可愛がってあげるつもりだ。
ふと見上げたら、窓の向こうにキラキラの星空が広がっていた。
瞬く無数の星は、まるで宝石を散りばめたみたいに綺麗。
ライの毎日は、とても充実している。
赤ちゃんが来たら、もっと楽しくなるだろう。
ライは素敵な未来に思いを馳せ、ゆらゆらとご機嫌にしっぽを揺らした。
おまけ話の次は、あまあまな番外編となります♪
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次回からは、ほのぼの、甘々、ラブラブな番外編が始まります。
二人のラブラブ生活が気になる方、引き続きお楽しみください!




