第六十八話 三色の薔薇
請負人(個人事業主)として、初めて請負契約を済ませた俺は請負人組合を後にした。
すっかり辺りは暗くなっている。
『連撃の剣』のフレィたちと約束していたので、俺は食い処『春風と共に』へ向かった。
本当なら、このまま花街へ向かいたかった。
下半身が疼いてジュニアが今にも暴れだしそうだ。
昼間にホブシャウワーレと戦った後からずっと疼いていたけど、カーミュイルに接した事で抑えが効かなくなっていた。
彼女は特別なまでの美人だが、それ以上に醸し出すムードがヤバい。自然と男を惹きつける魅力に溢れている。
年齢的には対象から少しはずれるのだが、並の大人の女性とは比べものにならない色気が漂っている。
俺は大きく深呼吸して、煩悩を払う。
食事をして、フレィたちと話を済ませるのが先だ。
抗い難い誘惑にかられるが、どうにか我慢して『春風と共に』の暖簾をくぐる。
店内では『連撃の剣』のメンバーが食事をしていた。
俺を見つけると、リーダーのフレィが嬉しそうに手を振った。
「来てくれて良かったよ。もしかしたら今日は来ないかもって思っていたよ。」
「約束をしたからね。無暗に破ったりはしないよ。」
「若いのに立派な心掛けだね。ディケードには感心するよ。」
「当たり前の事だろう。」
「けっ、良い子ちゃんブリやがって…って、お前、なんで赤のカードを張ってんだよ!?」
早速、因縁男のジュットゥがケチをつけるが、俺の新しくなったカードを見て驚く。
他のメンバーも一様に驚いているが、フレィだけは楽しそうに笑う。
銅鉄ランクのカードは赤銅色なので、赤と呼ばれる事が多い。
「ホブシャウワーレの単独退治で昇格したんだね。流石だよディケード。おめでとう。」
「ありがとう、フレィ。もう知ってるんだね。」
「黒鉄ランクによる単独退治と聞いたからね、そんな事が出来るのはディケードしか居ないと思ったよ。」
「ま、マジかよ!? あのホブシャウワーレを倒したってのか!それも単独で!」
「あれは銀鉄ランクのパーティでも退治に失敗していたはずだ!」
「本当なのか、それ!?」
「信じられん!」
フレィ以外は皆驚くが、無理ないのかもしれない。それだけ凶悪で恐れられていたのだろう。それに、ここのメンバーは誰も俺の戦いを見た事がないしな。
そこへ丁度、俺の頼んだベーエルがやって来た。
「この前は散々奢って貰ったからね。今回は俺が奢らせて貰うよ。」
「えっ、良いのかい?僕たちがお祝いする方なのに。」
「まあ、懐が暖まったからね。」
「ああ、そうだね。あの賞金額は凄かったね。」
「「「「 !!! 」」」」
フレィ以外のメンバーの顔色が変わる。
「こ、こいつは請負人になってたった3日で、俺たちの2年分を稼いだのか!」
「すげ―――――っ!」
「い、いや、それはあくまで賞金だけだ。魔石と亡骸の買取で、それ以上になるはず!」
「そ、そうだ!ホブシャウワーレの魔石なら金貨5枚以上は確実だ!」
呆然とするメンバーたちに、フレィがやれやれといった感じで声を掛ける。
「他人の収入をあれこれ考えてもしょうがないだろう。ディケードは狩りをする請負人の脅威となっていた、ホブシャウワーレを排除してくれたんだ。素直に感謝して祝福するべきだろう。」
「………」
「あ、ああ、そうだな。確かにその通りだ。」
「そうだ。これで無駄に怯えなくて済むしな。」
「そうだな、ここは感謝するべきだ。」
フレィの言葉に皆が賛同する。
が、その中にあって因縁男だけが感情のやり場に困ってブスッとしていた。
フレィが乾杯の音頭を取る。
「それじゃ、ありがたくご馳走になるよ。ディケードのホブシャウワーレ退治を祝って、乾杯!」
「「「「 乾杯! 」」」」
「………乾杯。」
皆が素直に祝ってくれるのに対して、因縁男だけはボソリと呟いていた。そのまま勢いよくジョッキを煽ると一気にベーエルを流し込んだ。そして、勢いよくジョッキをテーブルに置くと、俺を指さして睨みつけた。
「お前が強いらしいのは解った。でも、俺は認めない。お前の戦いを実際に見るまではな。お前が本当に強いと判ったら、その時はお前にベーエルを10杯奢ってやるよ。」
「「「「 おお―――っ! 」」」」
因縁男の言葉に皆が驚く。フレィもだ。
えっ、そこって驚くところなのか。
俺からしたら、因縁男は勝手に憤って、勝手に奢る宣言をしてるだけで、何と戦ってるんだこいつは、という感じなんだが。
しかし、他のメンバーが囁きながら話すのを聞いて納得した。
「すげーよ。ジュットゥが奢る宣言をしたぞ。」
「しかも、ベーエル10杯だぞ。」
「あのケチンボがなぁ。」
そうか、ベーエル10杯を奢るのが驚きのポイントだったのか。
なんだかなぁ…
その後、フレィを始め『連撃の剣』のメンバーには、ホブシャウワーレとの戦いについて根掘り葉掘り訊かれた。
が、やはり俺の戦い方は特殊なのか、指弾や投球といった攻撃方法は中々理解されなかった。それに《センス》や《フィールド》を織り交ぜた戦いとなると、訳が分からんという反応を示された。
実際に見てみるのが一番という訳で、明日は俺も一緒に狩りに出る事になった。
俺も、剣の達人と云われるフレィの戦いを見るのが楽しみだ。それと、剣士だけのパーティの戦い方もだ。
皆でワイワイ話をしていると、その間だけは疼くような性欲を誤魔化していられたが、流石にそれも限界に近づいてきた。
俺は話を切り上げて退席させてもらった。
フレィはもっと話をしたがったが、大人だけあって訳を尋ねたり、無理に引き止めようとはしなかった。
☆ ☆ ☆
で、今日も『熟練の薔薇』へとやって来た。
他の店でも良かったけど、せっかく貰ったサービス券もあるしな。
それに、できれば昨日迷惑をかけたシャイエーランに会って、無事を確かめたかった。
「これはこれは、ようこそいらっしゃいませ。連日のお越しとは、当店を気に入って貰えて何よりです。」
マネージャーがホクホク顔で迎えてくれる。
「シャイエーランは出勤しているかな?無事なら一言挨拶をしたいが。」
「おお、お若いのにそのお気遣い、痛み入りますな。ええ、無事に元気で出勤しておりますよ。是非、お声を掛けてやって下さいませ。」
仰々しい程に丁寧に対応する。上客となった俺を逃がすまいという意気込みが感じられる。
俺はシャイエーランが待機する小部屋の前へと向かう。
「ひぃっ!」
シャイエーランは俺を見るなり悲鳴を上げて後ずさった。トラウマになっているようだが、それだけ辛かったのだろう。
その態度にショックを受けるが、止むを得ないと思う。
「昨日はすまなかった。無事に出勤できているので安心したよ。今日は指名しないので安心してくれ。」
「えっ、あっ、そ、そうなの……」
シャイエーランはホッとしたような仕草を見せた。が、少し寂しそうだ。
一応会話に応じてくれるので、トラウマと言っても軽い程度のようで何よりだ。
シャイエーランの無事を確認した俺は、他の嬢を指名するために立ち去る。
が、シャイエーランが呼び止める声が聞こえた。
「ね、ねえ、お兄さん。今日も三人を相手にするのかしら? それなら、わたしも入れて欲しいわ。」
「そのつもりだけど、大丈夫なのか?」
「だ、大丈夫よ。他の嬢も居るなら、わたしだってやれるわ。娼婦のプライドにかけて最後まで受け止めてみせるわ。」
シャイエーランからは決意が感じられる。
昨日は一方的にやられてしまったのが悔しいのだろう。なんとかやり切ってトラウマを克服しようとしている。それに、一方的に若造にしてやられたという噂が立っては、今後に差しさわりが出るだろうしな。
少し、腰は引けているようだが。
「いいね、それじゃあ指名させて貰うよ。この店の中ではシャイエーランが一番の好みだからね。俺はディケードだ。」
「ディケードね。ウフン♪嬉しい事言ってくれるワァ。お姉さん、頑張っちゃうんだからネ♪」
前向きな姿勢に感動したからな。これくらいのリップサービスは当然だろう。
その後、誰を指名しようかと思っていると、昨日相手をした三人の嬢から声が掛かった。
「お兄さん、今晩もわたしたちと遊んでよォ。特別サービスしちゃうよォ。」
「そうそう、お兄さんのツボは覚えたから、ばっちしヨォ♪」
「今晩はお兄さんをギブアップさせちゃうよん。」
「ほう、いいねいいね、それじゃあ、またお願いしようかな。」
「「「 やったぁ! 」」」
この嬢たちは、三人セットで新たに売り出すようだ。『三色の薔薇』というグループ名になっている。
アピール欄に『三色の薔薇が、あなたを天国へ誘ってあげる♪』と書いてある。
普通は一人でいる待機部屋に三人で控えている。なので、他の部屋の嬢よりも華やいで見える。しかも、それぞれの嬢を三人指名するよりも割安価格になっているので、お得感がある。元々は人気のない嬢たちだったが、昨日の経験を基にグループを結成したのだろう。生き残りのために色々と考えているようだ。
話が纏まったので、シャイエーランと三人の嬢、ノベンジュ、トロイス、ファムを伴って受付に向かった。
「いやはや、四人を貸し切るとは豪気ですな。存分にお楽しみ下さいませ。」
マネージャーはニコニコと手もみしながら俺たちを見送る。
一番奥の個室に入ると、そこにはキングサイズのベッドが置いてある。やはり複数プレイ用の部屋もあるんだな。
チップを渡すと、皆のテンションが跳ね上がる。
ノベンジュ、トロイス、ファムの三人の嬢が俺の服を脱がすと、自分たちも脱いで裸になった。良い脱ぎっぷりだ。
やはり目の前に全裸の女性が三人も居るのは圧巻だ。目の保養になるし、一段と漲ってくる。
いっぽう、出遅れたシャイエーランは俺たち四人に見られながら服を脱ぐ羽目になった。恥ずかしいのか、慌ててドレスの紐を解いていく。
そんなシャイエーランを、三人の嬢が囃し立てる。
「ヒューヒュー。シャイエーランのストリップで~~~す♪」
「脱~~げ、脱~~~げ、脱~~~~げ…」
「おおっと、オッパイポロリだ〜。慌てたので胸当てが外れたようだ~~!」
「オ~ッパイ、オ~~ッパイ、オ~~~ッパイ…」
「な、何よ~~~っ!変な実況しないでよ、恥ずかしいじゃないの~~~っ!」
「シャイエーラン選手、慌てています!真っ赤になって慌ててま~す♪」
「おおっと、今度はコケタ―――!ドレスの裾を踏んづけてコケタ―――!」
「丸見えです!大事な所が丸見えになって床に突っ伏した―――っ!」
「お~尻、お~~尻、お~~~尻…」
「こんなのイヤ―――――っっっ!!!」
なんだ、このムード……というかノリは……
俺はHしに来たのであって宴会しに来た訳じゃないぞ。
しかし、俺の思いとは裏腹に、トロイスがノリノリでインタビューするように感想を窺う。
「どうですか、ディケードお大尽様。シャイエーランのコケっぷり、採点されるなら何点でしょうか?」
「ふむ、そうだな…95点と言ったところだな。ドジっ娘(熟女)の見本のようなコケ方が素晴らしい!ちゃんとこちらにお尻を向けているのが、またグッドだ。」
「おおっと、高得点が示されました!これは素晴らしい!! シャイエーラン選手、ドジっ娘(熟女)選手権の優勝間違いなしです!!!
では、ディケードお大尽様、5点減点となったポイントはどの辺でしょうか?」
「うむ、ネコ尻尾がダランと垂れ下がっているところだな。これでユラユラと揺れて大事な所が見え隠れしていたなら、100点満点だった。」
「成程成程~~!ドジをしても恥じらいは忘れるな!ですね!勉強になります。」
ふう…
ノリ切ったぜ。
元サラリーマンの悲しい性だな。
周りがノッている時にはノリ遅れるな。会社の宴会の時にはそうしろと先輩社員から徹底的に仕込まれたからな。
なんせ俺が入社した当時はバブル景気真っ盛りで、日本中が好景気に沸いて狂ったような世の中だったからな。宴会なんてほぼ毎日と言っても過言ではなかった。
今の若者には信じられないだろうけど、陽キャも陰キャもイケイケどんどんだったんだよな。
まあ、陰キャの俺にはそれなりにストレスだったけどな。
俺はシャイエーランを助け起こして抱っこする。
「大丈夫かシャイエーラン、災難だったな。」
「ありがとう、わたしは大丈夫よ。恥ずかしかったけど。
それより、あなたたちどうしてくれるのよ、ドレスの裾が破けちゃったじゃないの!」
「ドンマイ、ドンマイ~~♪」
「メンゴメンゴ、後で縫ってあげるわよ。」
「アップリケも付けちゃうよ。」
「要らないわよ!どうせHなの付けるつもりなんでしょ!」
シャイエーランは俺にしがみ付きながら、ノベンジュ、トロイス、ファムの三人にアッカンベーをする。三人の嬢のノリにうんざりしている。
シャイエーランはムードを楽しむHが好みみたいだからな。
それは俺も同じで、相性という意味では三人よりもシャイエーランの方が合っているように思う。
しかし、ノベンジュ、トロイス、ファムの三人はノリノリだな。悪ノリだけど。
昨日は、三人とも陽気なムードだったけど、まだ自信のなさが現れていたのにな。グループを結成した事で弾けたみたいだ。今後は宴会芸を売りにするのかね。
まあ、複数プレイをするなら、こういったムードになるのも仕方ないか。三人を相手にしっぽりしたムードで、というのも難しいだろうしな。
それに、ファムの乳房が疼くという、痛い中二病設定はなくなったようだけど、その方が良いと思う。
ちょっと困ったムードではあるが、俺としてはもう我慢の限界にきていた。
なんせ裸の女性が目の前に四人も居るからな。これ以上辛抱するのは無理だ。
先ずは俺にしがみ付いているシャイエーランからだ。指名した順番的にも丁度良いだろう。
「よーし、それじゃあ始めるぞ。」
「わ、分かったわ、お手柔らかにネン……」
シャイエーランは怯えを見せたが、頑張って俺を迎え入れた。
俺は溜まりに溜まった欲を吐き出すために、無我夢中で攻め立てた。
「あひ―――っ!や、やっぱり、ディケードは凄いわねェ……」
「あ…あっ…ああっ…あひ―――――っ!」
「はあはあはあ……あひ―――――っ!」
「だめ…だめなの……あひ―――――っ!」
「はあはあ…ね、ねェ…まだ続くのかしら……はぁはぁ…あひ―――――っ!」
「はぁはぁ…お、お願い……す、少し休憩しない…?あひ―――――っ!」
「はひぃはひぃ……だ、だめェ…許してェ……あひ―――――っ!」
「あひ―――――っ!あひ―――――っ!あひ―――――っ!」
「ひぃぃぃ~~~~~~~~~~!!!」
俺は我を忘れて快感の虜となった。
と、同時にかつてのディケードのビジョンが脳内で飛び交っていた。
「おおっと、ディケードお大尽様、そこまでだ!」
「そうそう、これ以上はダメよん♪」
「ストップ、ストップ。」
「はっ!!」
やはり、いったん始まってしまうと制御が利かなくなってしまう。暴走が止まらなくなったところで、ノベンジュたちが止めに入った。危うく、昨日の二の舞になるところだったが、三人が俺を押さえつけて止めてくれたので助かった。
気をつけようと思ってはいるけど、一旦始まってしまうと無我夢中になってしまう。どうにも、このディケードの身体は感度が良すぎる。日本で高梨だった時には、こんなにも自分を見失う程、気持ち良く感じる事なんてなかったのにな。
この肉体は、身体能力の向上と共に性感も向上しているらしいしな。更には、培養途中での未完成のアバターのために、生体エネルギーが暴走しやすいとも、グリューサーが言っていた。
特に俺の場合はアバターでなくなっているので、ダイレクトに脳に刺激が送り込まれてしまう。そのせいでより激しく暴走してしまうのだろう。
俺は繋がりを解いて、シャイエーランを解放する。
「す、すまない、大丈夫かシャイエーラン?」
「はぁはぁ…え、ええ…なんとかネ……でも、凄すぎよォ…はぁはぁはぁ……」
良かった…シャイエーランは無事のようだ。下手をすると壊してしまうところだった……
シャイエーランとの行為を見ていた三人が怯えを見せる。
「こ、怖いわねぇ…昨日も凄いと思ったけど、あれはまだセーブした状態だったのね……」
「そうね…搾りかすに近かったのね……」
「最初に相手をしなくて助かった。シャイエーラン、安らかに逝ってくれ…」
「し、失礼ね!はぁはぁ…死んでないわよ!」
こうしてみると、やはり俺の相手が一人では無理だというのが良く分かるな。
俺は身体能力が常人を遥かに上回っているが、それは精力においても同じだ。一人で俺を受け止めきれる女性なんて存在するのかね。
〈超越者〉の女性なら可能なのだろうか?
仮に居たとしても、その女性とそういった関係を持てるようになるのかね……
なんにせよ、今は複数の女性に相手をして貰いながら、無我夢中になって暴走するのを抑えてもらうしかないな。
やれやれだ。まだまだギンギンになっているジュニアが恨めしいぜ。
「さて、次は誰が相手をしてくれるのかな?」
「「「 うう…… 」」」
怯える嬢たちに求めるのは酷だと思うが、俺もまだ全然収まりがついていない。
三人はお互いに見つめあいながら譲り合いをするが、順番が決まらずに『三すくみ拳』を使って決めた。
この三すくみ拳だが、日本のジャンケンに相当するものだ。
親指を蛙、人差し指を蛇、小指をナメクジに見立てて勝負をする。
結果、次の相手はファムに決まったが、正直、こういう決められ方はちょっとショックだ。
「わたしが相手ね。ちょっと怖いけど頑張るわ、この乳房にかけて!」
「わたしたちも後に続くぞ。頑張れ!」
「そうよ、ガッツよ!これは私たちの試練なのよ!」
「「「 オオーッ、ファイトオー!ファイトオー!ファイトオ―――っ! 」」」
三人は励まし合った後、スポーツ選手のように円陣を組んで気合を入れた。
だから、お前たちのそのノリはなんなんだよ!
全然Hしようっていうムードじゃないよな。
お前たちに人気がなかった理由がよく解るよ。
気分が萎えるぜ………まあ、ジュニアは元気だけどさ。
そんな訳でファム、ノベンジュ、トロイスを順番に相手していったが、思わぬ良さがあった。
この三人はムードこそいまいちだが、テクニックは流石と思わせるものがあった。伊達にベテランという訳ではないな。
俺が我を忘れて夢中になり始めると、スルリと躱してメンバー交代する。そうやってこまめにメンバー交代をしながら、巧みに誘導して俺の暴走を防いでいく。
暴走しない分、俺は意識を保っていられるので、元々のディケードの記憶がフラッシュバックしなかった。
こんな事は初めてで、俺は普通にHができた。これは新鮮な感覚だった。俺は三人に感謝しつつたっぷりと楽しませて貰った。
「はぁはぁ…ひぃ~~~、ディケードお大尽様~~~ご勘弁を~~~~!」
「ふうふう…ギ、ギブ…ギブ…ギブアップです~~~~~!」
「ひぃひぃ…も、もう…堪忍してェ~~~~~!乳房が破裂しちゃう!」
が、この三人を以ってしても、やはり俺の体力には着いて来れなかった。
俺としてもかなり楽しめたので満足はしたけどな。
これまで休憩しながら俺たちのプレイを見ていたシャイエーランが三人に詰め寄る。
「ノベンジュ、トロイス、ファムの三人に尋ねますゥ。今のお気持ちはァ?」
「こ、ここでインタビューなんて鬼か!しょ、正直、はあはあ…めっちゃキツイ~っす~~~」
「た、体力が~~~ふうふう…歳には勝てませ~ん…くすん…」
「ひいひい…ババアだって認めたくないけど…これが現実……乳房が萎んだ……」
「お仲間ができて嬉しいわァ♪」
してやったりの、シャイエーランの笑顔が何よりだ。
やはりドレスの件を根に持っていたのだろう。何気に女の怖さを垣間見たな。
俺はシャイエーランの腰を掴んで引き寄せた。
この際だから、自分の限界を知っておいた方が良いだろう。
「えっ…えっと、もしかして、まだする……の?」
「夜はこれからじゃないか。」
顔を引きつらせながら見つめるシャイエーランに、俺はニッコリと微笑む。
「優しくするよ。」
「う、嘘よ~~~っ!絶対に嘘だわ~~~~~っっっ!!!」
「頑張れ、シャイエーラン……」
「もう、わたしたちにディケードお大尽様を止める力は残ってないわ……」
「冥福を祈る……」
「嫌――――――――――っっっ!!!」
こうして、俺たちの夜は更けていった。
読んでいただき、ありがとうございます。
感想や誤字脱字を知らせていただけるとありがたいです。




