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テイマー姉妹のもふもふ配信 ~もふもふをもふもふする最愛の妹がとってもかわいいので配信で自慢してみます~  作者: 龍翠


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配信三十五回目:わたあめラッキー

「エストさん」


『な、なにかなれんちゃん』


「わたしもエストさんのこと、きらい」


『うぐう……』

『これはひどいwww』

『マジで何があったんだよwww』


 まだ続きがあったんだけど、これはもういいかな。

 れんちゃんは私にひしっと抱きついてきた。コメントを、そして光球を睨んで、言う。


「おねえちゃんは、わたしのおねえちゃんなの」


『あ、なるほど。だいたい察した』

『お姉ちゃん大好きっ子のれんちゃんにとっては逆鱗だな』

『ごめんなさいごめんなさいごめんなさい』


 おお……。嫉妬してもらえるのってちょっと嬉しいかも。とりあえずれんちゃんをぎゅっとしておく。うえへへへ。


「…………。おねえちゃんもちょっときもちわるい……」

「ぐはあ!?」


『ミレイwww』

『お前せっかく甘えてもらってたのにw』

『ある意味喧嘩両成敗だなw』


 こ、今回は痛み分けってことで許してあげよう……。

 ちなみに。私がこいつを嫌ってるのは、私がこいつの告白をやんわり断った時に、妹なんかより自分の青春に時間を使え、とか言われたからだ。あの時ほど本気で怒ったことはないと思う。

 自分で言うのもなんだけど、当時から私は妹がかわいい大事だってれんちゃん一番宣言してたからね。その大事な妹を、なんか呼ばわりされたのだ。自分でも何を言ったか覚えてないぐらいに怒鳴り散らしてたと思う。


「そろそろ買ってくれないかしら?」

「あ、はい。すみません」


 店番のお姉さんに促されて、改めてわたあめを買うことになりました。

 お姉さんからちょっと長めの木の棒をもらうれんちゃん。お姉さんが機械の真ん中に、え、なにあれ!? 液体!? いや、うん。いっか。それを入れると、その周辺に白い線がたくさん出てくる。


「ほら、れんちゃん。その棒でくるくるっと」

「う、うん」


 私がれんちゃんを抱き上げて、れんちゃんがおっかなびっくり棒をくるくる回す。すると、もこもこもことわたあめがまとわりついてくる。


「わあ!」


 れんちゃんの満面の笑顔。機嫌はちゃんと直ったみたいで一安心だ。

 そうして楽しそうにくるくるしていたれんちゃんだけど、悲劇はそこで起こってしまった。


「あ」

「え?」

「ああ!?」


 れんちゃんの頭の上のラッキーが、ずる、と落ちて。ものの見事に、わたあめの機械に落ちてしまった。


『ラッキー!?』

『ちょwww』

『ラッキーが! ラッキーが白く! 元々白いけど!』


「あ、あ、おね、おねえちゃん! どうしようどうしようどうしよう!」

「あははー。よいしょ、と」


 きょとん、としてるラッキーを掴んで持ち上げる。見事にわたあめに包まれたラッキーがそこにいた。これは、うん。ゲームだから笑い事で済むけど、リアルだと冗談抜きで大惨事だったね。

 ラッキーを地面に下ろすと、ぺろぺろ自分で舐めていた。美味しかったのか、自分で舐め続けてる。これはこれでかわいいかも……。


「ごめんねラッキー」

「わふ?」


 ぎゅっと抱きしめて謝るれんちゃんがとてもかわいいです。やっぱり私の妹は天使だよね。んふふふふ……!


「ミレイさん、顔がすごいことになってるわよ」

「おっと失礼」


『マジで変質者のそれだった』

『正直通報ものだったぞ』

『少しは自重しろ?』


「そこまで!? き、気をつける……」


 さすがに変質者で通報はされたくない。いや、運営さんならきっと分かってくれるはず……、だめかな……。

 気を取り直して、れんちゃんもわたあめを食べる。今更だけど、わたあめ作りすぎじゃない? ものすごく大きいんだけど。

 でもれんちゃんは気にした様子もなく、ぱくりと食べた。


「ふわふわ……! おねえちゃん、すごくあまい!」

「うんうん。そうだろうね」


 子供の頃ってわたあめは不思議の塊だったよね。棒をくるくる回すだけでふわふわの甘いお菓子ができあがっていって……。夢に溢れるお菓子だったよ。


「理科の授業で仕組みを知って冷めたけど」


『おいばかやめろ』

『あの頃は夢いっぱいだったよね……』

『やめろお!』


 うん。やめよう。へこむから。

 さらにおみやげにわたあめをもらった。ちゃんとインベントリにも入れられるみたいで、しかも百個までまとめられる。まあ、今回は十個だけだけど。れんちゃんのお菓子にはちょうどいいかな。

 わたあめ機、できれば私も欲しいところ。アリスとかに聞いてみよう。

 その後もたくさんの露店を巡って、れんちゃんが一度ログアウトする時間になったので解散した。

 いつか、リアルのお祭りもれんちゃんと行きたいものだ。




 触れ合い広場でだらだらしつつ、十八時を待ちます。シロにもたれかかって、みんなの様子を見守る。体が大きくて順番待ちが少ないからか、レジェが一番人気だ。すぐに触れるしふわふわだしと、何度も並んでる人がいる。

 ご飯を食べたり訪問者とちょろっと会話したり、としていると、いつの間にか十八時になってた。


「おねえちゃん、起きてる?」

「起きてるよー」


 いつの間にこちらに来てたのか、頭にラッキーをのせたれんちゃんが目の前にいた。浴衣のままだ。うーん、かわいい。なでなでしたい。


「ちょっと暗くてびっくりしちゃった。夜だから? でも、いつも明るいよね?」

「え? ああ、そっか……」


 そう言えば、れんちゃんがログインする時間はほとんどが十八時からだ。たまにお昼にログインする時も十二時を過ぎてるから、夜を体験したことがなかったはず。


「このゲームはね、三時間ごとに昼夜が変わるんだよ。十八時から二十一時はお昼だから、この世界の夜は初めてだね」

「そうなの? でも、今は暗いよ?」

「うん。イベントだから、今日だけの特別仕様のはず」


 今はリアルに合わせて夜になってる。でもまだまだお祭り真っ最中。空は暗いけど、街はどこもかしこも明るいままだ。だからもっともっと遊べるよ。


壁|w・)ゲーム内の時間について触れてなかったのでこっそり触れておきました。

ざっくり三時間ごとにかわっています。

お祭りの他のお店は、機会があれば番外編で……。多分……。



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ではでは!

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― 新着の感想 ―
[一言] 朝と夜が三時間ごと、つまり、六時間で一日かぁ
[一言] ぁー...私だって猫なんてどうでもいいから一緒に来いって言われたら全力でキレる自信ある...
[一言] わたがし懐かしい……マジで糖分の塊なんだよねアレ、その辺気にするようになるともう食べられない 味のするバーチャルわたあめ羨ましいかも
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