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テイマー姉妹のもふもふ配信 ~もふもふをもふもふする最愛の妹がとってもかわいいので配信で自慢してみます~  作者: 龍翠


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配信三十五回目:金魚すくいとわたあめ

「一回、いいですか!」

「ああ、うん。もちろん」


 店番さんに提示された金額を私が支払う。ちなみに無料にしようかという案もあったらしいけど、さすがにれんちゃんに勘づかれるかもしれないのと、一般客さんへの説明が面倒くさい理由もあって、支払うことになってる。私は当たり前だと思ってるよ。


「はい、がんばって」

「うん!」


 お椀とポイをもらったれんちゃんが、構えた。


「あ、待って。やり方だけど……」


 止める間もなく、れんちゃんが勢いよくポイを水にぶち込んだ。知らなかったら、そうなるよね、当たり前だよね……!

 破れたポイを見てしょぼんと落ち込むれんちゃん。どうしようこれ。何とかしてよ店番さん。

 気付けば一般客ですら気の毒そうな表情と、何とかしろよと店番さんに視線を送ってた。店番さんがかわいそうだけど、がんばって!


「仕方ないなあ。れんちゃんには特別仕様だ!」


 そう言って店番さんが新しいポイをれんちゃんに渡す。ぱっと顔を輝かすれんちゃんはとってもかわいい。

 でも、言わせてほしいんだ。


「鉄じゃん」


 これはひどい不正を見た、そんな気分。一般客さんたちすら苦笑いだ。でも、特に何か言うつもりはないみたいで、優しい人たちだと思う。

 れんちゃんは楽しそうに金魚をすくって、三匹だけもらっていくことになった。アリスが用意してくれた金魚袋はこのためにあったみたいだね。

 金魚を入れた金魚袋を、れんちゃんは楽しそうに眺めてる。シロの背中に揺られながら、にっこにっこゆらゆら。


「金魚さん、かわいい……」


「おまかわ」

『おまかわ』

『おまかわ』


 視聴者さんと心が一つになった気がしました。


『金魚で満足してくれるのは嬉しいけど、他も! 他も是非!』

『食べ物もあるよ! 美味しいよ!』

『なにせゲームだからね! いくら食べても太らない!』


 ゲームのいいところだよね。ただ、リアルと違って空腹感もなければ満腹感もないから、少し物寂しかったりもする。味だけを楽しむなら問題ないけど、やっぱりそこはリアルには及ばない部分だ。


「れんちゃん。何か食べる?」


 仕方ないから促してあげよう。


「んー……。あ、わたあめ食べてみたい。あるかな?」


『わたあめなら通り過ぎてるぞ。入口すぐだ』


「おっと、ありがと」


 れんちゃんと一緒に引き返す。入口まで戻ると、あったあった、わたあめだ。

 アニメの袋に入ってるものじゃなくて、目の前で棒をくるくる回してその場で作るやつ。この機械もわざわざ運営に作ってもらったのかな、とか思ったけど、これに関しては最初からあるものらしい。

 もふもふが大好きな開発がわたあめを作りたかったんじゃないか、とのこと。さすがにそんなことはないだろう、とか思いたいけど、あり得そうだからちょっと困る。


「いらっしゃい」


 そう言って出迎えてくれたのは、妙齢の女性、なんだけど……。

 シロクマの着ぐるみだった。


「わあ! おねえさんかわいい!」

「あらそう? ふふ、ありがとう」


 れんちゃんには大好評みたいだけど、ええ……。その、いい年した大人がそれは……。

 うわ、なんか見られた。え、なに、心でも読めるのこの人!?


『シロクマの着ぐるみか』

『かわい……、ごめん無理』

『きっつ』


「あらあらうふふ」


 あらあらうふふとか本当に言う人いたんだ。そっちの方がびっくりだよ。でもコメントを眺める視線がとても怖い。これが、目が笑っていない笑顔。怖すぎる。


『あわわわわ』

『すみませんごめんなさい申し訳ありません』

『ひぃぃぃ』


 えっと。視聴者さんたちはこの人を知ってるみたいだけど……。誰か説明してよ。正直どうしていいか分からないよ。


「エスト。いるわね?」


『!?』


「てめえ後で覚えておけよゴルァ……」

「うわ」


『いやあああ!』

『ざまあwww』


 やっぱり怖いよこの人!

 えっと。とりあえずエストの知り合いってことは、上位プレイヤーの人か。この短い時間で分かるけど、色々ぶっ飛んだ人なんだろうな。なるほどなるほど。まあ私としては。


「エストおつかれー。ざまあ」


『ミレイwww』

『前から思ってたけど、エストはなんでこんな嫌われてんの?』

『いや、その、それは……』


 あっはっは。心の底から楽しいなあ!

 なんてにまにま笑ってたら、れんちゃんにすごく冷たい目を向けられてしまった。あ、まって、その目は結構心にくる。


「おねえちゃん、そういうこと言っちゃだめだよ」


 怒られてしまった。いやでも待ってほしい。言い訳をさせてください!


「ごめんね。でも、エストって人、本当に嫌いでね……」

「おねえちゃんがそう言うのって珍しいね……。何かあったの?」

「んー……。いっか。学校のクラスメイトなの。こいつ」


『なんて?』

『は? まじで?』

『おいばかやめろくださいお願いします!』


 んー……。まあ、そうだね。これ以上はちょっとかわいそうだ。でも、れんちゃんにはちゃんと教えておこう。私はまだ、怒ってるから。

 れんちゃんを手招きして、小声で教える。ごにょごにょと。


「しかも、私に告白してきたことあるの。教室のど真ん中で」

「は?」


 おっとれんちゃんのマジギレ入りました! 約一ヶ月ぶりだけどちょっと怖い! さっきまで恐怖を振りまいてたお姉さんが思わずひぇっとか零すぐらいに怖い!


壁|w・)お姉ちゃんが取られそうになったので怒ってます。

ちょろっとしか出てないので忘れられてそうですが、初期の配信の時に名乗ってた視聴者さんがエストです。

コメントでしか出たことないのに嫌われ役。

ちなみにミレイが嫌っている理由はまた別です。



面白い、続きが読みたい、と思っていただけたのなら、ブックマーク登録や、下の☆でポイント評価をいただけると嬉しいです。

書く意欲に繋がりますので、是非是非お願いします。

ではでは!

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― 新着の感想 ―
[一言] クラスのど真ん中の告白はあかんやろ……………ww
[一言] 鉄のポイ… でもチビッ子なら許せる!
[一言] せめてあく取りあみくらいにしとけよw
感想一覧
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