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テイマー姉妹のもふもふ配信 ~もふもふをもふもふする最愛の妹がとってもかわいいので配信で自慢してみます~  作者: 龍翠


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配信三十三回目:ペンギンとシロクマの、家族


 というわけで、戻ってきましたれんちゃんのホーム。出迎えてくれるのはもふもふな子たち。れんちゃんは子犬たちを撫でてから、雪山に走って行く。表情から分かる、わくわくしてるのがよく分かる。

 ところで雪原には雪像もかまくらも残ってるんだけど、あれってもしかして消えないのかな。消えないんだろうなあ……。

 れんちゃんと一緒に雪山を登って、途中の凍り付いた池に行くと、


「わあ……!」


 ペンギンの親子三組と、シロクマの親子がいた。子供だけで遊んでいて、なんだか不思議な光景だ。シロクマは肉食動物のはずなんだけどね。

 そんな子供たちは、れんちゃんに気が付くと我先に集まってくる。撫でて撫でてとばかりにれんちゃんにまとわりつき始めた。


「ふわふわだあ……えへへ……」

「れんちゃんの顔が、すごくとろけてる……」


『でれっでれだな!』

『幸せそうで、俺も嬉しい』

『なんだろうな。人の幸せって鼻につくけど、れんちゃんの幸せは素直に喜べる』


「いや、さすがにそれはひねくれすぎでは?」


 人の幸せも喜んであげようよ。

 あれ、れんちゃんが戻ってきた。ペンギンとシロクマは……それぞれの親の元に戻ったみたいだ。ご飯の時間なのかな。それぞれご飯を食べ始めてる。親子仲良く。平和だね。

 そう思って眺めてたら、れんちゃんに服の袖を引かれた。はて、なにかな?


「どうしたの? れんちゃん」

「ん……」


『お? れんちゃんはどうしたんだ?』

『なんか、ミレイにひっついてるぞ』

『足にぎゅっとしてるの、なんかかわいい』


 ああ、これは、そっか。いきなりだったけど、ペンギン親子とシロクマ親子が原因かな? れんちゃんは私にきゅっとしがみついてる。

 だっこして、背中を優しく叩く。れんちゃんが強くしがみついてくるけど、気にしない。よしよし、良い子良い子。


『なんだなんだ?』

『れんちゃん、どうしたんだ?』

『大丈夫?』


 あはは。みんな優しい人で、嬉しいよ。


「多分、ペンギンとシロクマの親子を見てたら、誰かに甘えたくなったんだと思うよ。すごく、仲よさそうだからね」


『へえ……。もしかしてミレイの両親って仲悪いのか?』

『お前リアルのこと聞くなよ』

『マナー違反だぞ』

『あ、ごめん。流してくれ』


 別にそんな慌てなくても、言いにくいことがあるわけじゃないよ。

 れんちゃんの顔をのぞき込む。ん、いやいやしてしがみついてきた。寂しくなっちゃったのかな。今から病院に行って、面会とかできるかな……?


『ミレイ? どした?』

『本当に大丈夫か?』

『配信中断する?』


 心配性だなあ……。


「あまり気にしなくて大丈夫だよ。私の両親だけど、普通に仲良いから心配しないで」


『そっか。安心した』

『でも、だったられんちゃんはどうしてそんなに?』


「んー……。いや、さ。ゲームを終えたら、暗い部屋に一人っきりだよ」


『あ』

『ああ……』

『そうだな。そうだったよな……』


 普段なら、ゲームを終えたらすぐに看護師さんと一緒にお風呂に入って、すぐに寝てしまう。手が空いてる看護師さんがいればしばらく一緒にお話しすることもあるみたいだけど、あまりないらしい。

 明るい世界で遊んで、遊び終えたら暗い部屋に戻る。正直、私なら気が滅入る。冷静になって考えてみると、れんちゃんを誘うべきじゃなかったのかもしれない。

 れんちゃんの苦しみは、れんちゃんにしか分からない。私のしたことは、ただのお節介を通り越して、ありがた迷惑だったのかも。


『ミレイ! おい!』

『ミレイちゃんまで暗くなったらだめだよ!』

『お前が元気づけないでどうすんだこのバカ!』


「バカとは何だバカとは。追放するね」


『まって、いきなり正気に戻ってカウンターうちこまないで』

『やめろください』


 いや、まあバカなのは認める。私がうじうじしちゃだめだな。


「れんちゃん」

「なあに?」

「あれ?」


『おや? れんちゃんの様子が……』

『戻った? 戻ったの……?』


 れんちゃんは私の顔を見て、いたずらっぽく笑った、すぐに私から離れて、にっこり笑ってくれる。


「もう大丈夫! ごめんね、ちょっと甘えたくなったの」

「そっか。もういいの?」

「うん!」


 そっか。そうか。


「れんちゃんが成長していて、嬉しいような寂しいような、複雑な心境です」

「おねえちゃん……」

「やめて。冷たい眼差しは心にくるから!」


『なんだこれ』

『てえてえかなと思ったけどそんなことはなかったぜ!』

『いつも通りかな?』


 うん。そうだね。いつも通りだ。


「おねえちゃん」

「うん。どうしたの?」

「今日はもう疲れちゃった」

「そっか。じゃあちょっと早いけど、ログアウトしよっか。ちゃんとお風呂に入って寝るんだよ」

「はーい。おやすみ、おねえちゃん」

「はい、おやすみ」


 れんちゃんの姿が、消える。

 …………。よし。


「じゃ、ちょっと行ってくるよ」


『おう。いってらっしゃい』

『もう暗いからな。気をつけて行ってこいよ』

『れんちゃんによろしくね』


 視聴者さんたちは察してくれたらしい。本当に、みんな優しくて、だから大好きだ。

 私は配信を終了させて、さっさとログアウトした。


壁|w・)家族を意識しちゃって、寂しくなったれんちゃんでした。

次回は、ちょっとシリアス。



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― 新着の感想 ―
[一言] こういうに弱い泣いちゃう 幸せになってくれ。。。 寒い地域のもふもふだとラッコも最高で、寝るときははぐれないように手を繋いで寝たり、昆布を体に巻き付けて寝たりと可愛いところあるかられんちゃ…
[良い点] れんちゃんちょっと溜め込んでそうだし吐き出させてあげたい
[一言] 辛い現実だけど優しい世界(__;(,,ェ);)
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