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テイマー姉妹のもふもふ配信 ~もふもふをもふもふする最愛の妹がとってもかわいいので配信で自慢してみます~  作者: 龍翠


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配信三十三回目:妹を助けるのはお姉ちゃんの役目

 ということで、れんちゃんと一緒についていきます。向かう先は、端っこの壁。方角が分からないからそうとしか言えない。

 その壁には横穴があった。人一人が楽に通れる大きさだ。中をのぞき込むと、このドームほどではないけど、それなりに広い部屋があった。

 その部屋の中央にいるのは、シロクマかな? 丸くなって寝てる……?


『そのシロクマがボスね。そいつだけモンスター扱いで、襲ってくるから』


「それはまた、いきなりだね。ペンギンは襲ってこないのに」


『そうね。だから十分気をつけてね』

『まあもう手遅れだけどな』

『お前ら絶対気付きながら会話続けてるだろ……』


 いや、まあ、うん。もちろん気付いてるけど、今更というか、なんというか。


「シロクマだー!」


 我らがれんちゃんは突撃しました。うん、知ってた。


「さすがれんちゃんだね。あははー」


『もはや心配すらしてねえw』

『まあ心配するだけ無駄だからなw』

『俺ならあんなでかい熊が目の前にいたら、ゲームだと分かっててもびびるわw』


 それが普通なはずだから、その感性を大切にしてほしい。

 あれ、シロクマが唸ってる。れんちゃんを攻撃しようとはしてないけど、威嚇してる。


『れんちゃんが……警戒されてる、だと……?』

『なんてこった、仕様でも変更されたのか!?』

『ここで変更してたら悪意ありすぎだろw』


 れんちゃんを狙った仕様変更ってことになるからね。怒るよ私は。

 でも、そんな心配は多分いらないと思う。れんちゃんが目の前に立っても、襲いはしないようだし。私ももうちょっと近づいてみよう。


「こんにちは!」


 れんちゃんの挨拶は当然のようにスルーされた。いや、まあ、熊だからね。

 れんちゃんは頭の上のラッキ……、ラッキーじゃない!? ペンギンの雛だ!


『いつの間にw』

『すり替えておいたのさ!』

『だとしたら、ラッキーは?』

『れんちゃんの背中にしがみついてるぞ』

『くっそwww』

『なにやってんだあれw』


 地味にかわいそうなんだけど! れんちゃん助けてあげよう!?

 れんちゃんも気付いてなかったみたいで、頭の上に手をやって一瞬固まった。目の前に雛を持ってきて、首を傾げて。

 とりあえずは続けることにしたみたいだ。雛の羽を持ち上げて。


「がおー!」


 がおー入りました! ペンギンはきゅー! だったけど。いや、でも、がおーもちゃんといたよ。背中のラッキーが必死になってがおーしてたよ。


『なんて涙ぐましい努力なんだ……』

『誰かれんちゃんに教えてやれよ……』

『ラッキーがんばれ、超がんばれ』


 うん。終わったら、教えてあげよう。

 さてさて。シロクマはというと、もう見るからに困惑してた。ですよね。

 見つめ合うれんちゃんとシロクマ。この子たちの間では一体どんな会話がされているんだろう。されていることになっているんだろう。それは誰にも分からない……。

 シロクマが突然歩き始めた。れんちゃんがそれを追いかけていく。何かが、進んだらしい。


「誰か解説してくれない? もう意味がわからないよ」


『こっちが聞きたい』

『戦闘にはならなさそうだよな』

『私もまったく知らない。是非とも、最後まで見たい』


「え、本当に誰も知らない? 他の人は?」


『言ったでしょ、ボスだって。みんな戦って倒したの』


「ええ……」


 いやでも、納得はできるかな。どう見ても戦闘する流れだったし、普通なら倒すと思う。

 シロクマが歩いて行った先は、大きな穴。この氷の下も池みたいだね。穴には真っ暗な水。れんちゃんは当然のように釣り糸を垂らし始めた。


「あー……。うん。とりあえずラッキーを助けようかな……」


『そうしてやってくれ』

『未だにしがみついてるのが健気すぎる……』


 れんちゃんに近づいて、背中からラッキーを引きはがす。ラッキーはれんちゃんのところに戻りたがってたけど、今日は私と一緒に見守っていてもらおう。きっとすぐに終わるはず。

 ラッキーを抱いて、もふもふする。うーん、やわらかくてふわふわ。かわいいやつめ。


『ラッキーはほんとにれんちゃんが好きだな』

『まだ戻りたがってるw かわいいなw』

『仲が良いのはいいことだね』


 ずっと一緒にいるぐらいだからね。私にとっても、れんちゃんの頭の上にはラッキーが当たり前になってる。

 お、れんちゃんの釣り竿に反応が。れんちゃんはすぐに釣り竿を引いた。自動のシステムがあるから、すぐに釣れて……。あれ?

 なかなか釣れない。れんちゃんがすごく慌ててる。


「これってつまり……」


『釣ろうとしてるのは、それだけ大物ってことだな』

『おいおい何してんだよミレイ! 早く助けてこい!』


「あ、そ、そうだね! ちょっと行って……」


 私が駆け出す前に、シロクマがれんちゃんの背後に立った。まさか不意打ちか、なんて思ってしまったけど、ただの杞憂だった。

 シロクマはれんちゃんの体を持ち上げると、ぽーん、と上に放り投げた。れんちゃんも、必死になって釣り竿を手放さないようにしてる。その結果、大きな魚も一緒に空中に放り出された。

 大きい、本当に大きな魚だ。見た目はさっきの鮭と似てるけど、大きさが全然違う。シロクマよりもずっと大きな鮭だった。


「って、れんちゃあああん!?」


 さすがに高すぎる! 落下ダメージは、発生するのかなここ!? あ、いや、でも大丈夫かな、シロクマがれんちゃんの下に……。

 いやちょっと待て。


「シロクマごときに! その役目を譲れるかああぁぁ!」


『草』

『ですよねー!』

『いつだって妹を助けるのはお姉ちゃんの役目だもんね!』

『シロクマと張り合う理由がくだらなさすぎるw』


 くだらないとは何事だ! 私にとってはすごく大事なことだよ!

 私はこれでもそれなりにレベルが高いんだ。こんな初期エリアにいるようなシロクマごときに素早さで負けるなんて、いや速いなシロクマ! うっそでしょ!?


「負けるかこんにゃろおおぉぉ!」


『俺たちは……何を見せられてるの……?』

『シロクマと人間の勝負だよ。見れば分かるだろ?』

『ただし人間側が一方的に張り合ってるだけです』

『うん。わけわからんわwww』


 誰が何と言おうと! れんちゃんを助けるのはお姉ちゃんの役目なのだー!


壁|w・)わけわからん理由でイベントに張り合うプレイヤーがいるらしい。



面白い、続きが読みたい、と思っていただけたのなら、ブックマーク登録や、下の☆でポイント評価をいただけると嬉しいです。

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ではでは!

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― 新着の感想 ―
[一言] お姉ちゃんの愛が重いじゃなくて面白いwww
[一言] この後、お姉ちゃんはシロクマに勝ち?れんちゃんを助けられたが、着地の事を考えていなかったが...それに気づいたシロクマがその下潜り込み!無事2人を助けたのだった!
[良い点] 最終的にお互いに「なかなかやるじゃない」なノリでシロクマと友情が芽生えそう
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