表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
テイマー姉妹のもふもふ配信 ~もふもふをもふもふする最愛の妹がとってもかわいいので配信で自慢してみます~  作者: 龍翠


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/338

配信三十三回目:ペンギンを籠絡した幼女

 ところでそのれんちゃんなのですが。


「そうこう話している間に不思議な空間になりました」


『こいつらこんなにいたのかw』

『すげえ……一羽お持ち帰りしたい……』

『同じく』


 うん。ばれないような気がするよね。

 れんちゃんの周りには、ペンギンの雛がたくさん集まってる。軽く三十羽はいるんじゃないかな。のんびりまったり釣り糸を垂らすれんちゃんの周りに、邪魔をしないように少しだけ離れて見守ってる。よく見ると座ってるれんちゃんの膝の上にも雛がいるし。

 こうして見ると、やっぱりかわいいよね。頬がにやけちゃう。


「で、ルルさん。こういうイベントなの?」


『うん。多分、仲良くなるとこのイベントが発生して、釣りに成功すると一部のペンギンがホームにお引っ越ししてくれる』


「…………。仲良くなると?」


『普通は最初から懐かれるなんてないから』


 ですよね。知ってた。

 お、れんちゃんの竿が動いた。れんちゃんが慌てて釣り上げようと……。


「お、おねえちゃん! 助けて!」

「れんちゃん。その釣り竿には自動機能があるよ。釣り竿を叩いたらメニューが出てくるから、自動をタッチして」

「えっと……。こうかな?」


 れんちゃんが釣り竿を軽く叩く。あ、とれんちゃんが声を上げたので、ちゃんと出てきたんだろう。すぐその後に、魚を釣り上げていた。


「ちなみに川の主とかそんな大物になると使えない機能らしいから、あまり期待しないように」


『今一瞬期待してたw』

『最高レアじゃないし課金してでも、と思ったけど、そうかだめか……』

『さすがにそこまで甘くないわな』


 れんちゃんが釣り上げた魚をえっちらおっちら側に下ろす。不慣れだと一目で分かる手つきだけど、そこはゲーム、釣り上げたという成果が出てるので、逃げられることはない。

 私もペンギンの雛の間を通って釣果を見に行く。お、穴に通るぎりぎりの、大きな魚だ。


『なんでやねん』

『お、どうした。何の魚か分かるのか?』

『鮭。キングサーモン。池じゃないだろうお前は』

『草www』

『草に草を生やすな』

『多分、あれだ。池の底で海と繋がってるんだよ!』


 そ、そうかもしれないね。うん。きっとそうだ。

 ちなみに鮭はゲーム内でまだ見つかってなかったはず。もしかしたら、昨日の時点で釣果として報告されてるかもだけど。

 れんちゃんは自分一人で釣った鮭を見て、すごく嬉しそうだ。こう、すごく堪えた笑顔。にまにましてる。かわいい。

 満足したのか、れんちゃんは改めて周りを見回して、


「わあ!? たくさんいる!」


 あ、気付いてなかったのかこの子。


「え、と。どうしよう。一匹じゃ足りないよね……。もうちょっと待ってね」


 れんちゃん、釣りを再開。どうやらみんなに行き渡るように釣りたいらしい。良い子だなあ……。でもさすがに時間がかかりそうなので、私も手伝うとします。

 釣り竿を出して、れんちゃんと同じ穴に糸を垂らす。リアルでこれをやると糸が絡んだりするだろうけど、ゲーム内では大丈夫。のはず。


「れんちゃん、その子にすごく懐かれてるね」


 膝にいる雛を見ながら言うと、れんちゃんは嬉しそうに頷いた。


「うん。すっごくかわいいよ。すごく人懐っこくて、もふもふしてるの。ぎゅっとしても、嫌がらないよ」


 れんちゃんが雛を抱きしめる。雛は目の前のれんちゃんの腕にすり寄っていた。なるほど、これは、かわいい。


『俺、絶対テイム覚える。九尾テイムして、ペンギンさんと会う』

『九尾をテイムするだけならそんなに難しくないらしいしな』

『俺もがんばるかな……』


 ペンギンの魅力にやられた人は結構多いみたいだ。

 その後、私が一匹、れんちゃんが二匹釣り上げて。計四匹になった。これで足りるかな?


『しれっと流してるけど、れんちゃん合計三匹で、ミレイは一匹のみです』

『ミレイ……』


「言いたいことがあるなら早く言えばいいと思うよ? うん?」


『すみませんでした』


 私だって実はちょっと凹んでるから、触れないでほしい。

 れんちゃんが鮭を地面、と言えばいいのか氷の上と言えばいいのか。とにかく並べると、ペンギンの雛たちが集まってきた。みんなでつんつんつついて食べ始める。れんちゃんはそれを、にこにこと見つめていた。


『ああ……。三匹以上、釣っちゃったのね』


「ん? どういうこと?」


『三匹以上の釣果で次のイベントが発生、ボス戦というか、なんというか……』


「ん……?」


 なんだろう。ちょっと煮え切らない返事だ。ボス戦? ペンギンはモンスターじゃないのに?


「おねえちゃんおねえちゃん!」


 どういうことかなと考えていたら、れんちゃんに呼ばれてしまった。はいはい今行きますよっと。


「こんなの出たよ!」


 れんちゃんが出てきていたメッセージを見せてくれる。えっと、なになに? 引っ越しを希望しているペンギンがいます。招待しますか。おお、目的達成だ。


「やったねれんちゃん。はいを選択してね」

「うん!」


 れんちゃんははいをタッチすると、何匹かのペンギンが前に出てきた。ペンギンが六羽と、雛が三羽。えっと、三家族かな? この子たちがれんちゃんの雪山に来てくれるらしい。


「うわあ! うわあ!」


 れんちゃん大喜び。歓声を上げてペンギンに抱きついた。ペンギンは抵抗とかはせず、されるがままだ。雛もれんちゃんの周りに甘えるように集まってる。

 いいね。これが見たかった。写真写真。


「タイトルは、そうだね。……ペンギンを籠絡した幼女」


『籠絡www』

『れんちゃんに怒られるぞw』

『けど間違ってはないと思ってしまう……』


「冗談だよ、冗談」


 さすがに本人に言うつもりはないよ。嫌われたくはないしね。

 ん? あれ、ホームに来てくれる予定のペンギンたちが歩き始めた。えっちらおっちら、時々れんちゃんへと振り返って。


「これが次のイベント?」


『うん。そう』


 ふむ。じゃあ、とりあえずついていこう。ボスということは、大きなペンギンかもしれない。


壁|w・)平和的な籠絡。……平和的とは。

次回は、ボス。ペンギンじゃないです。



面白い、続きが読みたい、と思っていただけたのなら、ブックマーク登録や、下の☆でポイント評価をいただけると嬉しいです。

書く意欲に繋がりますので、是非是非お願いします。

ではでは!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 1:オットセイ 2:アシカ 3:セイウチ 4:トド 5:ラッコ……………ww
[一言] 白い狼、白いドラゴン、白いキツネ… ペンギンのいる辺りで白くてモフいやつったらアイツしかないだろ!
[一言] ペンギンの天敵というとアザラシかシャチだな、、、、でも池だから何が出てくるんだろうか?コウテイペンギン?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ