配信三十一回目:不正はなかった
というわけで、チーム分けです。
「れんちゃんともふもふな仲間たち!」
「わーい!」
れんちゃんは一人だけど、その代わりテイムモンスの参加を許可だ。たくさんいるよ。ディアもいるし白虎もいるし、なんならオルちゃんたちまでいる。レジェはその後ろでのんびりこっちを眺めてる。
「ばーさす! ミレイと愉快な仲間たち!」
こちら側はなんと三人だ。私とアリスとエドガーさん。いやあ、一対三とか、すごく不公平だよね! ごめんねれんちゃん、勝負は非情なのだ!
「いやいやミレイちゃんミレイちゃん」
「なにかなアリス」
「人数差ァ!」
ふむ。人数差。
「私たちが三人。れんちゃんは一人。なるほど確かに不公平だね」
「いや違うから! あっちのテイムモンス何匹いると思ってるの!?」
『これは草』
『ひどい戦力差だwww』
『なるほど、確かに一対三だな。れんちゃんはテイムモンスに頼ってるだけだもんな』
「テイムモンスを人数に入れるとか、テイマーさん全員を敵に回すよ」
「いやいや! いやいやいやいや! 数! 数! あっちの数!」
「うん……。大丈夫だね!」
たくさんいる。だからなんだと言うんだろうか。アリスは騒がしいなあ。
「え、なにこれ。私が悪いの!? エドガーくんも何か言ってよ」
「いやいや、アリス。考えれば分かるよ」
「なにが!?」
あははー。あっはっはー。
「これじゃあこっちの勝ち目がないから! 可能性がとても低いじゃなくて、ないから! 勝てるわけないから!」
「アリスは不思議なこと言うね。れんちゃんに勝つつもりでいたの?」
「え」
にっこり笑って問いかける。どうして固まるのかなアリス。顔が青くなってるよアリス。不思議だね。
「本当に勝つつもりでいたの? それなら、残念だよ。開始すぐに、私がアリスを倒すから」
「味方が……いない……?」
「よっしそれじゃあ、始めましょう!」
「ちょお!?」
私が開始を宣言してすぐに、蹂躙が始まった。
「ガアアァァァ!」
「うぴゃああぁぁ!」
ちょっと離れたところで、ケルちゃんの咆哮とアリスの悲鳴が聞こえてくるけど。
「気のせいだね」
『ひどいw』
『助けようとは思わないのかw』
「助けたところで勝てるわけないしね」
『これは間違い無く鬼畜の所業w』
失礼だなあ。
私はただいまかまくらを作るために、雪合戦から少し離れています。アリスとエドガーさん、まあ二人で何とかするでしょう。
実際には、れんちゃんも不公平だとは思ったみたいで、雪合戦に参加してるモンスはオルちゃんとケルちゃんだけだ。いや、まあ、この二匹を選んだあたり、れんちゃんも負けず嫌いなのかもしれない。正直に言えばその二匹が出てきただけで戦力差がおかしいからね。
でも、れんちゃんを見ると楽しそうだし、これでいいと思う。あ、れんちゃんはケルちゃんに乗ってるんだね。……いや、あれは当てられないでしょ物理的に……。
「アリス。エドガーさん。君たちの犠牲は無駄にはしないよ……」
『草』
『無駄にはせずにかまくらを作ります』
『れんちゃんの要望だからね! 仕方ないね!』
そう、れんちゃんがかまくらを望んでるのだ!
というわけで。ここで問題が一つ。
「かまくらってどうやって作るの?」
『知らないのかよw』
『まあ俺も知らないけどな』
『同じく』
困った。どうやら視聴者さんの多くが知らないらしい。仕方ない、今から調べて……。
そんなことを考えていたら、いつの間にか足下に何かが来ていた。
「お。白キツネだ」
私の足下にすり寄ってきてたのは、あの雪山で真っ先にれんちゃんに向かった子だ。ふわふわの尻尾をふりふりさせてとても可愛らしい。抱き上げてみると、白キツネは嬉しそうに短く鳴いた。かわいすぎる。
「どうしたの?」
優しく撫でながら聞いてみると、白キツネは短く鳴いて、すぐに私の腕から下りてしまった。むう、もうちょっともふもふしたかった。
『ミレイの表情w』
『残念そうだな』
『本当に白いのは他よりもふもふだよなあ』
撫で心地も抜群でした。いやあ、役得だね。
白キツネは私から離れて、ぺしぺしと地面を叩く。何してるんだろう。
不思議に思いながら見守っていると、白キツネが今度は大きく鳴いた。その瞬間、雪がいきなり盛り上がってきた。
「わわ!?」
すぐに大きな雪玉になった。雪玉、というか、ドームみたいなもの。半球みたいな感じだね。そして今度は白キツネが雪玉を掘り始めた。
「ん……? これを掘れば、かまくらになるのかな?」
『さあ?』
『何事もやってみればいいさ』
『レッツチャレンジ!』
『なあに、崩れてもミレイが生き埋めになるだけさ!』
「それは嫌なんだけど」
壁|w・)ちょっとふざけすぎたような気もする。
実は雪遊びは難産なのです……。
次回は、かまくらとキツネ山再び
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ではでは!






