配信十回目:友達100人できました
おっとれんちゃんが食いついた! そうだよね作りたいよねパラダイス! 名付けなしのモンスターは五匹まで、なんて制限もなく呼べちゃうのだ! まあ、連れて歩けるのはさすがに五匹までだけど。
「ちょっと前にウルフ百匹テイムとか、馬鹿なことした配信者もいたよね」
「百匹! すごく楽しそう!」
「そうだね楽しそうだね、すごくいいアイデアだよね!」
『手のひらクルックルやなw』
『ミレイのお手々はドリルってマ?』
『れんちゃんが全ての中心だから……』
何か文句でもあるのかな、こいつらは。
とりあえずぽちっとな。……うん、まだあんまり違いは出てないけど、この先増やしていけば分かると思う。楽しみだね。
「ただ、引き継ぎの購入を忘れちゃうと一気に減っちゃうんだよね」
『ウルフ百匹の人もそれで絶望してたよな』
『自業自得とはいえ見てて辛かった』
『その後二百匹に増やしたのを見た時は正直頭がいかれてると思いました』
「二百匹! 楽しそう!」
『そうだね楽しそうだねいいアイデアだよね!』
『お前もドリルじゃん』
『うるせえ当たり前だろうが!』
喧嘩はよくないと思います。とても気持ちが分かるので!
「おねえちゃん、行ってきていい?」
「え? あ、うん……。ディアと一緒ならいいよ」
「わーい! ディア、行こう!」
というわけで、れんちゃんがディアとラッキーを連れて行っちゃいました。ウルフが増えそう。どうなることやら。
「とりあえず忘れたら怖いので、ある程度の引き継ぎ購入をしておこうと思います。いいかな?」
『おk』
『そのコインはもう二人のものだから好きにしたらいいと思う』
『忘れてれんちゃんが泣くぐらいなら賛成だ』
「ありがとー。ではとりあえず十年分ぽちっとな」
『ふぁ!?』
『ええ……』
『いや確かにそれなら安心だけど。安心だけど……!』
まあ私もさすがに買いすぎかなとは思うけど、念のためにね。万が一にもれんちゃんの泣き顔なんて見たくないからね!
「でも半分も使ってない……。うん。有り難いけど投げ銭しすぎだと思うなあ!」
『ほんまになー』
『れんちゃんのためになるなら!』
「有り難いけど……。えっと、あと何か買うものあったっけ。お家周りはれんちゃんに任せるとして……」
『ガチャやろうぜガチャ』
『金にものを言わせてレアアイテムをゲットだ!』
『真面目に言えば、れんちゃんにあの最高レアの卵をプレゼントしてほしい』
「あー……。あれか」
このゲームにもスマホで流行ったゲームのようなガチャがあるんだけど、まあお遊び要素みたいなものだ。最高レアの装備とか、あれば攻略が楽になるけど、なくても別に問題ない、という程度のもの。
その程度のお遊び要素だから、確率もお察し。最高レアが出る確率はわずか一パーセントで、最高レアそのものも二十種類ある。まあ正直、狙ったものはまず出ないと思った方がいい。
一応いわゆる天井は設定されてて、百回、一万円で必ず最高レアは出るようになってる。ピックアップとかはなし。
最高レアの卵というのは、テイマー向けのアイテムで、正式名称は四聖獣の卵。孵化させることができれば、朱雀、青龍、白虎、玄武のうちどれかが手に入る、らしい。
ちなみにこの間れんちゃんがテイムした白虎は、本当にただ白くて大きいトラなだけで、四聖獣とはまた別物。わかりにくい。
「んー……。きりがなくなりそうだし、一日十回ずつやっていくね」
というわけでぽちっとな。
『わくわく』
『他人のガチャってなんでこんなに楽しいのか』
『自分の金がかかってないからだろ』
『よく考えなくても最低だな!』
「はいはい。結果発表! クズアイテムです本当にありがとうございました」
『ですよねーw』
『知ってたw』
『まあそんな甘くはねーわなw』
いきなり最高レアが出る方がおかしいから、こんなものだ。まあそのうち、何かくるだろう。
ところで、だ。さっきから、妙に楽しいことが起きてるんだけど。光球をそちらへ向けまして。
「ねえ、あれってなんだと思う?」
『続々ウルフが入ってきてる』
『前触れなく急に出てくるんだな』
『これってもしかしなくても』
「れんちゃん、だろうね……」
なんだろう。ウルフに囲まれながらわしゃわしゃもふもふしながらエサを上げてるれんちゃんを容易に想像できる。ここは本当にもふもふパラダイスになりそうだ。楽しそう、だけどさ。
その後のんびりとウルフが出てくる様子をみんなで眺めていたら、百匹ほどでれんちゃんが戻ってきた。有言実行しちゃったよこの子。
「おともだちたくさん!」
「うん。そうだね」
『ミレイの目が死んでる……』
『なんか、すごい光景になったな……』
『自動拡張はちゃんと働いてるな。ウルフの住処なのかちっちゃい森もできてる』
ああ、ほんとだ。森、というか林? みたいなのができてる。ウルフたちはみんなでそっちに行くみたいだ。なるほどこうなるのか初めて知ったなあ。
「おねえちゃん?」
「なんでもないさー」
とりあえずれんちゃんに与える情報はもう少し考えようと思いました。
壁|w・)翌日には猫も100匹になっていたらしい。
次回は間をすっ飛ばして、配信二十一回目です。
いや、ストーリーをプレイする描写なんて(私が)楽しくないですし。
それまでの期間、例えばガチャの様子などは気が向いたらこそっと書くかもです。
誤字脱字の報告、感想などいただければ嬉しいです。
ではでは。






