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テイマー姉妹のもふもふ配信 ~もふもふをもふもふする最愛の妹がとってもかわいいので配信で自慢してみます~  作者: 龍翠


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配信十回目:投げ銭準備


 いつもの配信の直前、私は山下さんに呼び出されて、へんてこ空間に来ていた。なんと山下さんの個人用アカウントの、山下さんのホームだそうだ。

 何がへんてこかと言うと、何もない。それに尽きる。


「こんなホームが作れますって見本を見せてくれたゲームマスターの個人用とは思えない」

「あちらはほとんど制限なく、プレイヤーが手に入れられるものなら何でも使えましたから。こちらは個人用なので自分で手に入れないといけません。そしてそんな時間はありません」

「も、もしかしてブラックですか……」

「ご想像にお任せします」


 うわあ……。どんな企業にも黒いところはあるとは思っていたけど、運営さんも真っ黒だったんだ。個人でゲームも楽しめないとか、私なら耐えられない。

 私が知られざる運営の闇に戦いていると、山下さんが小さく噴き出した。


「ごめんなさい。冗談ですよ。単純に、仕事が終わってから、もしくは休みまでAWOをしていると、休んでいる気がしないためです。オフの時は食べ歩きがメインになっています」

「ああ、なるほど……。太りません?」

「…………」

「ごめんなさい!」


 こわい! 笑顔なのに笑ってない! 山下さんにとっての地雷らしい。この話題は封印しよう。


「本題ですが」


 こほん、と咳払いをしてからの山下さんの言葉に、私は背筋を伸ばした。


「投げ銭の申請が通りました。本日から利用できます」

「本当ですか!?」

「はい。ただし、他の方と違い、現金が入金されることはありません。ミレイ様のアカウントのゲームコインとして扱われます。また、要望の通り、ミレイ様のアカウントには一つだけ特別なメニューを入れておきましたので、適時ご利用ください」

「了解しました!」


 投げ銭は、視聴者さんが配信者にお金を支払うシステムだ。これをしないと配信が見れなくなる、なんてこともなく、まあ寄付みたいなものになる。金額も百円から三万円までで、視聴者さんの好きなようにできるというもの。

 投げ銭の一割は運営さんに支払われて、九割が配信者さんの利益になる。本来なら通帳を登録して月に一回そこに振り込まれることになるんだけど、私は未成年で、なによりもれんちゃんがいるということで、全額ゲームの課金アイテムを購入できるコインになることになった。


 私としては文句なんてない。別に儲けたいから投げ銭に申請したわけじゃないし。いや、ある意味で儲けたいから、なのかな……?

 ともかく、視聴者さんに報告しないとね!




「というわけで、投げ銭解禁だー!」


『おめ!』

『申請してたのかw』

『早速……できねえぞ?』


「あ、説明させてください。それまで止めてます」


 いきなりすぎるでしょこの人たち。念のために止めててよかった。


『れんちゃんがディアの上で何か読んでる』


「あ、うん。投げ銭についての説明文。私がみんなに説明してる間に、れんちゃんは基本的なお勉強です。……ごろごろれんちゃんかわいい。うえへへへ」


『誰かこいつをどうにかしろよ』

『できるわけがないんだよなあ……』

『ミレイちゃん、早く説明しよ?』


 怒られてしまった。反省はしないけど!


「まず投げ銭は手数料を除いて、ゲームコインになります」


『ほう』

『なんで?』


「私が未成年っていうのもありますけど、それ以上にれんちゃんがいますから。あまり現実のお金に直結させるのはよろしくないのでは、とのことで」


『気にしすぎだと思うけどな』


「まあ私も、れんちゃんは賢いので心配しすぎだと思います。でも私自身お金稼ぎしたいわけじゃないので」


『そうなん? せっかく登録者数も視聴者数も順調なのに』

『上手くやれば配信で生活できるぞ』


 それは、まあ。考えなかったと言えば嘘になる。確かにとても順調に、どころか順調過ぎるほどにどちらも増えてるけど、でもだからといってそれで生活できるとも思えない。

 不安定過ぎる、いとも簡単に稼げなくなる、というのもあるけど、それ以上に。


「これはれんちゃんのための配信だからね。みんなも、れんちゃんに会いに来てると思うし。だからこの配信での投げ銭は、れんちゃんのために課金アイテムとか買っちゃいます」


『把握』

『了解ー』


 とりあえず納得はしてもらえたらしい。荒れなくて安心した。


「それに、私にも将来の夢があるわけで」


『へえ。何になりたいの?』


「保育所とかで働きたいなあって……」


『よせ。やめるんだ!』

『お前が? 冗談は寝てから言わないと誤解するだろ?』

『保育所の子供たち、逃げて!』


 いや、ひどくないかな!? 私のれんちゃんへの接し方が原因っていうのは分かってるつもりだけど、それでもあまりにひどいと思う!


「いやいや、確かに子供はかわいいけど、そういう意味じゃないからね!?」


『誤魔化さなくてもええんやで?』


「誤魔化してないから!」


 確かにれんちゃんがきっかけにはなったけど、それが全ての理由じゃない。ただ、れんちゃんと触れ合って、子供の相手が意外と楽しかった、ただそれだけ。それだけなんだってば。

 残念ながら私の説明は、分かってる分かってると流されてしまった。折を見てちゃんと説明しないと……!


『使い切れなかったコインはどうすんの?』


「ああ、それらは寄付です」


 メニューを操作して可視化する。そうしてから、課金アイテムの購入ウィンドウを出した。他の人にはない、私だけの特別メニューが商品一覧にあるのだ。

 それを指し示すと、案の定視聴者さんたちは困惑していた。


『寄付って、こんな項目あったか?』

『今確認してみたけど、ないぞ?』

『こちらも同じく。ミレイちゃん、それってなに?』


「これは私だけの特別メニューです。れんちゃんの病気の治療でいつも寄付金募ってるんだけどね、そこに募金しますよっていう項目。余ったらこっちに入れるので、無駄なくれんちゃんのために使われます」


壁|w・)つまり投げ銭はもれなくれんちゃんのもの。

れんちゃんのために課金システムでホームを拡張したり、治療費に募金したりするよ!


今日まで連続投稿を続けてきましたが、ついにストックが尽きました。

明日から毎朝6時投稿、つまりは1日1回になります。

またストックが増えたら、こっそり突発投稿するかも……?


少しでも面白い、続きが読みたいと思っていただけたら、ブクマや評価を入れていただけると、とても励みになります。突発投稿が増えるかも!

是非よろしくお願いします。


誤字脱字の報告、感想などいただければ嬉しいです。

ではでは。

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― 新着の感想 ―
[良い点] てえてえ(*´ω`*) [一言] ミレイさんが座禅組んで煩悩吹き飛ばして白虎さんもう一匹テイムすればきっと楽勝っすよ …言ってて思った。無理ね。。。
[一言] 顔の知らない誰かや関わらない人に対する寄付のハードルってめちゃくちゃ高いけど、こうして接してて可愛い投げ銭での募金となるとね。そらみんな入れまくっちゃうやつ
[良い点] 応援してます [気になる点] 頑張って下さい [一言] 楽しみにしてます
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