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テイマー姉妹のもふもふ配信 ~もふもふをもふもふする最愛の妹がとってもかわいいので配信で自慢してみます~  作者: 龍翠


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配信九回目:ちょっとしたおねだり

「そ、そっか。うん。どうしようかな……」


 あのダンジョンは、現時点でのエンドコンテンツの位置づけだ。このゲームにもメインストーリーというのがあるんだけど、そのストーリークエストを全てクリアして初めて挑戦できるダンジョンなのだ。

 つまりは、れんちゃんは行くことはできない。

 でもなあ……。できれば、会わせてあげたいよね。この期待の眼差し、裏切りたくないよね。


「れんちゃん、ちょっと待ってもらっていい?」

「うん」


 不思議そうに首を傾げるれんちゃんに愛想笑いをしつつ、光球をこちらに戻して振り返る。コメントのウィンドウを小さくして、と。


「助けて」


『言うと思ったwww』

『あのきらっきらな目は裏切れないよなw』

『言うて、あのダンジョン以外にドラゴンなんて出てこないぞ』

『ワイバーンなら出てくるけど……』


「あんなにドラゴンに喜ぶれんちゃんだよ? 期待してたのに出てきたのがワイバーンだったら、がっかりするでしょ」


『だな』

『それは俺らとしても見たくない』

『いやでも、マジでドラゴンなんてどこにもいないぞ』


 やっぱりだめか。いや、まあ私も無茶ぶりがすぎるとは思う。正直に、れんちゃんに話すしかないかな……。

 そう思い始めたところで、そのコメントが流れた。


『いや、ドラゴンならいるだろ』


 は?


『どこにだよ。フィールドボスにすらいないのに』

『最終ダンジョンの最後で否応なく戦うじゃん』


「あ」

『あ』

『あ』


 盲点だった。盲点だった、けど。いや、でも……!


「あれはだめじゃないかなあ!?」


 ストーリーのラストの最終ダンジョン、そのボス。つまりはラスボス。私もまだ見たことはないけど、動画とかでその姿は知ってる。れんちゃんがイメージしているような鱗のドラゴンじゃないけど、確かにドラゴンだ。

 ただし、でかい。冗談抜きででかい。れんちゃんが乗ったあのドラゴンが赤ちゃんだと思うほどにでかい。豪邸レベルの大きさだ。

 まあそのサイズよりも、理不尽なほどの強さの方が有名だけど。ストーリーで味方にかけられるバフ特盛りでもぎりぎりの戦いだし、そもそもとして倒しきることを想定していないボスだったりする。


『ストーリーは見れないけど、最終ダンジョンに同行するだけならストーリーをやってないプレイヤーでも行けるはず』


「つまり、私に最終ダンジョン直前までクリアしろってことだね」


『そうなるな』


 それなら、まあ、どうにかなるかもしれない。さすがにソロでは厳しいだろうけど、幸い協力してくれそうなプレイヤーならたくさんいる。ここでお願いしても、きっと誰かが助けてくれるはず。ただ、それでもれんちゃんとの時間を優先したいから、すぐには無理だろうけど。


「決まりだね。とりあえずれんちゃんに説明して、待ってもらうようにするね」


『がんばえー』


「気の抜ける言い方だなあ……」


 さて、と振り返ると、何故かれんちゃんがしょんぼりしていた。その隣にはおろおろと慌てるエドガーさん。これは、話しちゃったかな?


「どうかしました?」


 念のために聞いてみると、エドガーさんが申し訳なさそうに眉尻を下げた。


「いや、ごめん。せめて説明だけでもと思って、ダンジョンのこととれんちゃんは入れないってことを伝えたんだけど……」

「ああ……。落ち込んじゃった、と」

「うん……。その、本当に、申し訳ない……」

「あはは。まあ、大丈夫です」


 さすがにこれでエドガーさんを責めようとは思わない。説明だけでもしてくれただけ有り難いからね。おかげで時間の短縮ができるというものさ。


「れんちゃん」

「うん……」


 ああ、でも、しょんぼりしちゃってる。こう、しょぼーん、て。


「しょんぼりしてるれんちゃんもかわいいなあ」

「おねえちゃん?」


『草』

『お前ほんといい加減にしろよ?』

『いつかれんちゃんに心の底から嫌われるぞ』


 それは困る。こほんと咳払いして、改めて言う。


「ドラゴンだけどね。エドガーさんと同じドラゴンは、ちょっと会いに行くのは難しいの」

「うん……」

「でも、違うドラゴンなら、時間をもらえれば会いに行けるよ」

「え!」


 れんちゃんが勢いよく顔を上げて、エドガーさんも目を丸くした。やっぱりエドガーさんも思い至っていなかったみたいだ。いや、すぐにあれが思い浮かぶ方がおかしいと思うけど。


「一ヶ月ほど、待ってもらえる? とびっきりのドラゴンに会わせてあげる」


 一ヶ月でストーリークリアっていうのは、学生の私にはかなり厳しいところではある。でも、れんちゃんのためならやってやりますよ。


「だから、ちょっとだけ待ってね?」

「うん!」


 私の言葉に、れんちゃんは嬉しそうに頷いた。この笑顔だけで私はがんばれるよ……!


壁|w・)ちょっとしたおねだり『ドラゴンとお友達になりたい!』

というわけで、ラスボスさんとお友達になりに行きます。


次回は投げ銭開始、なのです。課金システムが使えるように……!

今晩も更新します、ですよー。


誤字脱字の報告、感想などいただければ嬉しいです。

ではでは。

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― 新着の感想 ―
れんちゃんならワイバーンはワイバーンで喜ぶ気がします。 むしろそれぞれの良さがあるよ的な事を言いそう。
[一言] なんかあったなこう言うの 妹の為にラスボス倒してきます!ってやつだね(倒さないけど
[一言] これは「ちょっと世界を救ってくる」並みの頭の悪い発言なのではw
感想一覧
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