いざ、大阪へ
港付近の市町はあらかた探したが、吸血鬼は見つからなかった。
このままじゃ一生探す羽目になるぞ。
「他に何か吸血鬼が集まる場所に心当たりはないのか?」
「個体差もあるからなんとも言えんな。共通点と言えば、吸血鬼は血が好きだ。霊気が多い者のな。だが、逃亡中に陰陽師を狙うとは思えんがな」
それを聞き、俺は陰陽師協会に電話をする。
この馬鹿から逃げていないと考えると、上級陰陽師を狙っている可能性がある。
「ここ一週間の間に、一級陰陽師、二級陰陽師で死亡、もしくは行方不明になった者は居ませんか?」
「そうですね……うちが全て把握している訳ではありませんが、今のところそんな報告は受けていないですねえ」
「では、三級陰陽師で同様に死亡、もしくは行方不明になった者は居ませんか?」
「三級は人数も多いですからねえ……たまに行方が分からなくなる者も居ますよ」
と言われる。
やはり、この情報だけでは厳しいか?
「あっ。ですが昨日大阪の小泉三級陰陽師が戻っていないとの報告が上がっていますね。昨日の話なんで、どこか近くに居る可能性もありますが」
大阪か……兵庫から近い。
兵庫から血を求めて人の多い大阪を目指した、可能性もあるか。
「大阪に向かいましょう」
「大阪? ああ、日本の都市か。そんなところに居るとも思えないが」
アドルフが難色を示す。
「大阪で、B級相当の陰陽師が行方不明になっています。吸血鬼との関連は不明ですが、このままここで探しているよりはまだ可能性があるでしょう」
「……仕方ないな。見つからなかったらすぐに戻るぞ」
こうして俺達は大阪に向かうこととなった。
◇◇◇
その頃、プリシラは……大阪を満喫していた。
お好み焼きを一人で二枚平らげた後、今は屋台のタコ焼きを注文していた。
「どれもとっても美味しそうじゃのう。これ二つ欲しいんじゃが」
「あいよ!」
たこ焼きを二舟貰い、美味しそうに食べるプリシラ。
「美味しいのう! あのタコがこんな美味しくなるなんて不思議じゃ!」
「嬉しいこと言ってくれるねえ! ほら、これも食べな!」
とたい焼きを貰う。
「これも美味しいのう! ありがとうじゃ!」
プリシラはたい焼きも平らげた後、ふらりと中央通りから消える。
(長船とやらは今大阪に居らぬみたいじゃ。待つべきか……東京に向かうべきか悩むのう。とりあえずは……腹ごしらえをしようかのう)
その日、大阪で再び三級陰陽師が一人行方不明となった。
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